これまではパーティショニング技術を効果的に活用できるケースを紹介してきましたが、ここからは、HP-UX環境でのパーティショニング技術の種類と特長について紹介していきます。
ここで気づくと思いますが普通にインストールするのとデポ化するのとでは、装置のリブートをするか、否かの違い程度であまり手間が変わらないんじゃないの?と思われるかもしれません。
確かにこの方法はGUIを利用するので分かりやすいのですが、作業にかかる時間はほとんど同じです。
より手間をかけずにデポ化するためにはGUIではなく、コマンドラインで実行する方が遥かに早く、楽に作成できます。
実際には次のコマンドをパッチの数だけ繰り返せば良いので、そういうシェルスクリプトを作成し、実行すればコマンド一回でデポ化ができます。
swcopy -p -s /gear/fibre/”パッチ名”.depot @ /var/spool/sw
また、複数のパッチを1つのデポ化に改良したものが下記のスクリプトです。
例)複数のパッチ群を1つのデポ化にするシェルスクリプト
#shプログラム DEPOTDIR=/gear/fibre # ^^^^^^^^^^^バッチファイルがあるディレクトリ名 TERGETDIR=/var/spool/sw # ^^^^^^^^^まとめてコピーする場所のディレクトリ名 cd $DEPOTDIR for i in PH* do sh $DEPOTDIR/$i done for i in *.depot do swcopy -s $DEPOTDIR/$i \* @ $TERGETDIR done
ここまででディレクトリデポの作成ができました。これでデポがあるシステムやそのネットワークに接続している他のシステムにもデポのインストールが可能になりました。
しかし、全国規模のシステムなどになると、セキュリティを考慮して、ネットワークにつながっていない環境の時も考えられます。単にゲートウェイなどでネットワーク層を分けているだけならば、ゲートウェイサーバにデポを構築する方法や、ルーティングテーブルを一時的に設定する方法などが考えられますが、それすらもできない環境の場合、テープメディアを使ったシステムへのパッチインストールが有効です。
またテープメディアなどに落としておけばバックアップとしても利用できます。ここではテープメディアとしてDATを想定したときのテープデポ化の実際について説明します。
swpackage -s /var/spool/sw -x target_type=tape @ /dev/rmt/0m
ここまで、ディレクトリデポとテープデポの作成方法について説明してきました。デポを作成したら実際にインストールができるかを確認してみましょう。テスト環境がないなど実際にインストールできない場合でも、インストール画面から作成したデポが見えるか?までは次の手順で確認できます。
swinstallを実行するとGUIの画面が表示され、実行するデポの場所を指定する画面が表示されます。[Source Depot Type]をスペースキーで選択し、ディレクトリデポであれば「Local Directory」、テープデポであれば「Local Tape」を選択することでデポが表示されるかを確認します。自分が作成したデポ名が表示されれば問題なくインストールできます。
今回、ご紹介したパッチのデポ化、そしてデポのインストールにより、複数パッチのインストール作業時間を短縮することが可能となります。この他に、本文でもご紹介したようにテープデポはバックアップとしても利用でき、またネットワークデポは離れた拠点でのパッチインストール作業を容易にします。今後のシステム管理業務にお役立てください。