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Hitachi

日立アドバンストサーバ HA8500/9000Vシリーズ

近年、HP-UXなどに代表される商用UNIXにおいても、パーティショニング技術を活用したシステム構築事例が注目されるようになってきました。 本コラムでは、技術的な観点ではなく、「どのような目的で、どのような効果を狙ったものか」という視点でパーティショニング技術を解説します。

パーティショニング技術は汎用性が高く、様々な用途に使用されていますが、ここでは、1)スケールアウト構成によるシステム性能向上を中心に、2) 効率の良いホットスタンバイ構成による可用性の実現、3) サーバ集約(コンソリデーション)による総費用の縮減についても紹介します。

また、この中で、HP-UXが用意する物理パーティション「nPartitions(nPars)」、論理パーティション「Virtual Partitions(vPars)」と「Integrity Virtual Machines(Integrity VM)」の特長についても紹介します。

近年のシステム構造とパーティショニング

画像 従来のシステム構成
図1. 従来のシステム構成

従来、マルチユーザ・マルチタスクOSであるUNIXを用いたシステムは、図1のように、業務システム(ここでは、仮に販売管理システムとしておきます)に必要なミドルウェアを混在させてアプリケーションを構築し、これを1つのOSの上で稼慟させてきました。しかし、近年は3階層構造で、例えば、Webサーバ機能、APサーバ機能、DBサーバ機能にOSを分離する方式が採用されるようになってきています。

3階層に分離する効果として、
(1) アプリケーション毎にOSを分離できる
(2) 用途ごとに適したOSが採用できる
(3) ミドルウェアのCPUライセンスが節約できる

(1)については、例えばWebサーバのセキュリティ強化の定期的なバージョンアップ /Patchを適用する場合、OSが分離されていれば、更新箇所がWebサーバに限定されるため、1)評価時間の短縮 2)により影響範囲をWebサーバだけに限定(影響の最小化)することができます。

(2)については、例えば性能重視で、APサーバはLinuxを採用し、DBサーバはHP-UXなど別OSを適用することで、投資効果に見合ったOSの選択が可能です。

(3)については、各機能でサーバを分離すれば、ミドルウェアのライセンス費用は、その動作環境に用いられるCPU数に依存するため、費用を節約することができます。
(上図では、いずれのミドルウェアも8CPU分のライセンスが必要ですが、下図では2又は4CPU分のライセンスでよいことになります)

このような効果を狙って、従来の業務に必要な機能を1つのサーバ(すなわち、1つのOS)で構成されていたものが、1業務/複数サーバ構成に切り替わるようになってきました。

画像 3階層構造のシステム
図2. 3階層構造のシステム

HA8500ではnPartitions(nPars)を用いる事で一台のシステム装置内に物理的に分離されたパーティションを作成することが可能なため、上記課題に対しても一台のシステム装置内に3階層システムが構築できます。
nPars機能は630以上のシステム装置にて使用できます。

性能ネックへの対応とパーティショニング

業務の処理量が増大した時に、性能が不足する事態に直面する時があります。性能ネックには、一般にCPU性能が不足するCPUネックとディスク性能やネットワーク性能が不足する I/Oネックとがあります。
CPUネックに対応する方法として、スケールアップとスケールアウトとがあります。

画像 スケールアウトとスケールアップ
図3. スケールアウトとスケールアップ

スケールアップ

スケールアップは、1つのOSの配下にCPU数を増大させる方法であり、一般的にはアプリケーションをそのままにして、できるだけアプリケーションに影響を与えずにハードウェア(CPU増設)だけで能力アップを図る方法です。また、分割することが難しいDBサーバ用途に適用される場合があります。ただし、サーバが定める最大CPU搭載数を超えることはできません。

スケールアウト

スケールアウトは、ロードバランサと言った仕組みを導入し、1つのOSへの負荷を制限し、複数のOSに分担させ、その集合で全体の性能向上を図る方法です。一般には、1番から10番はAのOSで受付、20番からBのOSで受付と言った割当てをして、トランザクション処理に行う用途に適用されています。
スケールアウトの実装方式は1Uや2Uの小型サーバを積み増していくラッキング方式と、大きなサーバをパーティション技術で細かく切り分けていくパーティショニング方式とがあります。なお、ブレードサーバは分類上はラッキング方式に含まれます。

画像 スケールアウトの実装方式
図4. スケールアウトの実装方式

ラッキング方式はパーティショニング方式よりも、比較的安価に構成することができます。また、複数台で構成されていますので、ロードバランサを組み込むことで、1台のサーバに障害が発生しても、残りで業務を継続させることができます。

ただし、増設が必要になった時点で既設と同様のサーバを設置することが求められますので、モデルチェンジによるサーバ仕様の変化に配慮しておくことが望まれます。

一方、パーティショニング方式でスケールアウトを構成する時は、大型モデルを用いますので、高信頼、高性能、高機能を活用することができます。また、サーバを分割する単位を変えることにより、処理が集中するサーバには割当てるCPU数を増加させると言った、部分的なスケールアップ構成を取ることができます。

さらに、余裕を持ったCPU 搭載構成であれば、サーバ増設が必要になった時でも、余剰のCPUを使うことで、増設対応期間を短縮することができます。iCAP(Instant Capacity)を使えば、より効果的な投資効果を図ることができます。

表1. パーティショニングとラッキングの比較
項目 ラッキング パーティショニング
スケールアウトの構成方法 小型モデルのサーバを積み上げてシステムを構成 大型モデルのサーバを分割してシステムを構成。
サーバ費用と信頼性 小型モデルを集合させて比較的安価にシステム構成ができるが、大型モデルが持つ高信頼性、高性能技術は適用できない。 高信頼、高性能技術を搭載した大型モデルを使用できるが、 小型モデル集合より高価になる。
増設への対応 スケールアウト性能限界まで、積み増すことができるが、 増設が必要になった時に、既設と同様のサーバの確保が必要。 大型モデルの最大CPU搭載数を超えることはできないが、 余剰CPUが搭載されていれば、現用に取り込み、増設期間の短縮が図れる。

HA8500ではVirtualPartition(vPars)を用いる事で大型モデルの高信頼性を活かしたスケールアウトを実現できます。さらにnPars+iCAP構成にすれば、物理的に分離させたパーティション間でvParsと同じようなスケールアウトを実現させることも可能です。
vPars機能及びiCAP機能は630以上のシステム装置にて使用できます。

リソースの有効活用

処理量の増大に対応してCPUを増設することは、従来より行われてきました。ここでの課題認識は、常時処理量とピーク処理量との乖離です。常時だけに注目すると、搭載したCPU利用率が低くなりますので、ピーク時対応のCPUが余剰構成に見えてしまいます。

この常時の余剰構成を有効に活用する手段として、パーティショニング技術が注目されています。複数の業務システムのピーク時が重ならないことが前提ですが、例えば図5のように、販売管理システムは常時は4CPU、人事システムは2CPUのリソースが必要だとした時に、それぞれのピークが6CPUと4CPUが必要だとしても、パーティション技術でCPU割当て数を変動させることにより、両システムを 8CPUのサーバで収容することができます。

このようにリソースを単純に増設するのではなく、パーティショニング技術を適用すれば、余剰構成の活用、または複数システムで余剰構成の共有をすると言った、効率的なスケールアップが図れるようになります。

しかし、複数の仮想化したパーティションを構築することは同じIOシステムを複数用意することになるため、IOシステムに掛かる費用が大きくなってしまいます。Integrity Virtual Machine(IntegrityVM)ではこれを解決する手段としてI/O共有に対応しています。さらに、IntegrityVMはvParsと異なり、プロセッサー・リソースを5%単位で複数OS環境に分割することが可能。

OS関連の障害をパーティション内に閉じ込めると同時に、nParsと組み合わせることでハードウェア障害にも対応。信頼性を確保しつつ「複数の小規模なワークロード」の統合によりさらなる使用率向上を実現します。

画像 効率的なスケールアップ
図5. 効率的なスケールアップ

IntegrityVM機能はHA8500の全システム装置にて使用できます。

  • * 本記事は、掲載時点の情報です。製品名称等、現時点の情報と異なる場合があります。

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