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Hitachi

日立アドバンストサーバ HA8500/9000Vシリーズ

前回は、バックアップシステムを構築するにあたって考慮しなければいけないことを説明しました。最終回は、個人情報保護法やSOX法などの施行に伴う大量データの長期保存で注目されているアーカイブシステムとILMを紹介していきます。

バックアップとアーカイブの違い

大量のデータを安全かつ長期的に保管するアーカイブ

ストレージシステムは、企業内の大事なデータを安全に格納するための保管庫です。そして、直近のデータを保護するために、ディスクサブシステムやテープストレージによるバックアップを併用しています。これまでは、急増するデータをいかに安いコストで保管するかが重要な課題とされてきましたが、今後はコンプライアンスやコーポレートガバナンス(企業統治)を視野に入れながら、安全で低コストなのはもちろんのこと、いかに長期的にデータを保管するかが重要になってきます。このようにして長期保管されるデータの集まり、もしくは長期保管そのものを一般にアーカイブと呼んでいます。

画像 バックアップとアーカイブ
図1.バックアップとアーカイブ

保管コストが安く、遠隔地への物理的搬送も可能なテープ

アーカイブ用ストレージとして長年使用されてきたのがテープストレージです。テープは、データの保管コストが非常に安く、大量のデータを長期保管するのに適しています。従来は、バックアップの延長線上にアーカイブを定め、データが保存されたテープカートリッジを外部の倉庫に搬送することでアーカイブを実現していました。現在でも、すぐに参照する必要性のないデータは同様の手法で長期保管を行っています。

テープ内のデータを守るWORMメディアや暗号化機能

画像 WORMメディアの写真

コンプライアンスに対応するには、データの改ざんや消去を防ぐ仕組みが不可欠です。テープでは、このような仕組みをWORM(Write Once Read Many)メディアによって実現しています。例えば、LTO UltriumにはUltrium3の世代からWORMメディアが追加されました。WORMメディアは、未使用部分にのみデータを書き込めるもので、以前書き込まれたデータを消去したり、新たなデータを上書きしたりはできません。また、Ultrium4以降、情報漏洩を未然に防ぐ暗号化の機能も標準でサポートしています。

ディスクとテープの利点を兼ね備えた仮想テープライブラリ

ランダムアクセスが苦手なテープストレージ

アーカイブの基本はデータの長期保管ですが、近年の法規制では情報検索の高速性や利便性が求められるようになりました。つまり、ただ単にデータを長期保管すればよいわけではなく、必要なときに必要なデータをすぐに検索、取得できなければならないのです。

ここで問題となるのが、テープのランダムアクセス性能です。テープは先頭から順番にアクセスしていく順次アクセス方式を採用しているため、順番通りにデータを読み出す速度こそ高速ですが、テープ上のさまざまな場所に対してランダムに読み書きを繰り返すような操作はたいへん苦手です。つまり、一度データを保管したら滅多に読み出すことのない用途には適していますが、たびたびアクセスが発生するような用途にはあまり向いていないのです。

ディスクとテープのメリットを兼ね備えた仮想テープライブラリ

そこで、登場したのが仮想テープライブラリです。これは、テープメディアとテープドライブをディスク装置で仮想化したストレージです。サーバからはあたかもテープドライブに見えるため、従来のバックアップ手順を変更することなく、テープに本来書くべきデータをテープイメージとしてディスクに書き込むことができます。そして、ディスクに保管された論理的なテープイメージは、必要に応じてバックエンドに接続されているテープストレージによって物理テープへと書き込むことができます。こうすることで、ディスクストレージの高速アクセスとテープストレージが持つ安価なデータ保管コストという両者のメリットを兼ね備えたアーカイブシステムを構築できます。

アクセス頻度の高いデータを仮想テープに配置する

基本的には、アクセス頻度の高いデータが含まれるテープイメージをディスク上に置き、アクセス頻度が落ちたらテープストレージに移すようにします。仮想テープによるリストアは、物理テープと比べるとかなり高速です。こうすることで、テープならではのメリットを維持しながら、ディスクベースのアーカイブソリューションに匹敵する迅速なデータ取得が可能になります。また、テープイメージそのものが仮想化されるため、バックエンドにあるテープ技術がどのようなものであってもかまいません。ディスクからテープへのステージングを意識する必要もなく、サーバからはあたかも単一のフォーマットで読み書きできるテープオートメーションとして扱うことができます。

画像 仮想テープライブラリ
図2.仮想テープライブラリ

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