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Hitachi

日立アドバンストサーバ HA8500/9000Vシリーズ

今回から何回かにわたって、「基本的すぎて今さら聞きづらい知識」や「知っていてちょっと役に立つ情報」を取り上げていきます。 1回目として、HA8500サーバを構成するハードウェアの基本コンポーネントについてご紹介します。

HA8500ラインアップ

HA8500シリーズは9000Vシリーズの後継に位置しており、高さ2Uのコンパクトなエントリーモデルからメインフレームに匹敵する信頼性と業界最高水準の性能を両立するハイエンドモデルまで、幅広いラインアップを取り揃えています。プロセッサーには、インテルRItaniumRプロセッサーを採用し、さらに、DDR2 SDRAM (Double-Data-Rate2 Synchronous Dynamic Random Access Memory)、PCI-X 2.0などの新テクノロジーにより、9000Vに勝る高いパフォーマンス、高信頼性を実現しています。

エントリーモデルの310、410、520は、2.5インチSAS(Serial Attached SCSI) HDDを採用しているため、より多くのHDDをシステム装置筐体内に搭載可能とし、省スペース化を実現しています。特に310は、シングルコアモデルもあり、コスト面で優れたモデルとなります。

ミッドレンジモデルの630、740は、ハイエンドクラス相当の高信頼性に加え、最大32コア(740の場合)のインテルRItaniumRプロセッサーによる優れたパフォーマンス、最大32個のPCI-Xスロットによる高い拡張性などによって幅広いビジネス用途に対応します。

ハイエンドモデルの860は、最大128コアのSMP構成を可能とし、圧倒的な演算性能と、パーティション機能によるサーバコンソリデーション、さらにはHA構成による高可用性など、基幹業務に欠かせないパフォーマンスと柔軟性を両立した最上位モデルです。

最新モデルのHA8500シリーズでインテルのItaniumR プロセッサー 9100番台を搭載したD5モデルがあります。D5モデルでは、上で述べたDDR2 SDRAM、PCI-X、SASなどの新テクノロジーに加え、フロントサイドバスの高速化、電力消費監視(*1)および制御機能(*2)の特徴があります。以下に、HA8500シリーズ D5モデルの仕様を表1で紹介します。

*1
HA8500/310,410,520のみサポート
*2
インテル® Itanium® プロセッサー9140M,9150Nのみサポート
表1. HA8500シリーズ D5モデル仕様
モデル種別 エントリーモデル ミッドレンジモデル ハイエンド
モデル
概観

310D5

410D5

520D5

630D5

740D5

860D5

機種名 310 D5 410 D5 520 D5 630 D5 740 D5 860 D5
最大プロセッサー数Processor/Core Single:2P/2C
Dual:2P/4C
2P/4C 4P/8C 8P/16C 16P/32C 64P/128C
チップセット zx2 HP sx2000
最大メモリー容量 32GB 96GB 192GB 256GB 512GB 2,048GB
最大ディスク容量 1,168GB 1,168GB 2,336GB 1,200GB 1,200GB/
2,400GB
-
PCIスロット数 PCI-X×3 PCI-X×8 PCI-X×8 PCI-X×15 PCI-X×32*1 PCI-X×192*1
ラッキング占有スペース 2U
(卓上設置可)
4U 7U 10U 17U/26U*1 -
電源 AC100V/AC200V
単相 50/60Hz
AC200V
単相 50/60Hz
AC200V
三相 50/60Hz
*1
I/O拡張時

それでは、次項より、HA8500サーバを構成する基本コンポーネントであるDDR2 SDRAM、PCI-X、SASについてご紹介します。

メモリーシステム

データ転送速度の高速化と消費電力低減、発熱量減少を同時に実現

zx2、sx2000チップセットを採用したHA8500ではメモリーシステムが強化されています。DDR2 SDRAMは、パソコンではすでに主流となっていますが、HA8500でも従来のSDRAMに代わり、DDR2 SDRAMをサポートしています。
DDR2 SDRAMでは、Double-Data-Rateという、転送速度を2倍にする技術を採用し、さらに外部クロックに内部クロックの2倍のクロックを用いるため、同一クロックで動作するSDRAMの4倍のデータ転送速度を得ることが可能です。また、動作電源電圧は、SDRAMの3.3Vに対し、DDR2 SDRAMは1.8V動作となっており、消費電力の低減、発熱量の減少が実現されています。

耐メモリー障害機能強化によるシステム稼動継続力の向上

zx2、sx2000チップセットを採用したHA8500ではメモリーシステムのパフォーマンス向上と消費電力低下に加え、チップセット側の機能として、ダブルチップスペアリング機能を採用することで、耐メモリー障害機能を強化しています。

サーバ製品の大半はECC(Error Correction Code)メモリーを採用しています。ECCは64ビットのデータに対して8ビットの冗長ビットを付加することで、1ビットエラーの訂正と2ビットエラーの検出を可能にしています。ECCメモリーを導入することでソフトエラー(*2)によるシステムダウンの確率は低くなりますが、ハードエラーの発生時には 4ビットや8ビット(DRAMの1ワード)単位でデータが失われる可能性が高いので、ECCによるエラーの訂正や検出が不可能になります。すなわち、 DRAMチップが1個故障するとシステムがダウンしてしまいます。

そこで、各社のハイエンド/ミッドレンジサーバでは、チップスペアリングもしくはチップキルと呼ばれるエラー訂正技術が採用されています。チップスペアリングでは、データを1ビットずつ異なるDRAMに分散して保存し、1つのDRAMが故障しても「大量の1ビットエラー」として扱うことでECCによる訂正が可能になります。これはRAID構成によるハードディスクの冗長化に似たメカニズムです。ただし、2つのDRAMが故障するとやはりシステムダウンになります。 ダブルチップスペアリングは、ECCのアルゴリズムに改良を加えたもので、 2つのDRAMが故障してもシステムは稼働を継続します。この技術により、メモリー障害によるサーバ停止の発生を低減できます。

表2、図1にメモリーのエラー訂正技術をまとめます。

表2. メモリーのRAS機能比較
エラー
訂正技術
障害内容
パリティ ECC チップスペアリング ダブルチップスペアリング
1ビットエラー 検出
(ダウン)
訂正 訂正 訂正
2ビットエラー 検出不可
(ダウン)
検出
(ダウン)
訂正 訂正
DRAM×1個故障 検出不可
(ダウン)
検出不可
(ダウン)
訂正 訂正
DRAM×2個故障 検出不可
(ダウン)
検出不可 (ダウン) 検出
(ダウン)
訂正
DRAM×3個故障 検出不可
(ダウン)
検出不可
(ダウン)
検出不可
(ダウン)
検出
(ダウン)

画像 ダブルチップスペアリング
図1. ダブルチップスペアリング

さらに、HP-UXでは、DMR(Dynamic Memory Resilience)という、シングルビット・エラーの発生と訂正が多発するメモリー・ページを動的に切り離す機能も提供しています。DMR機能は、ページ単位での切り離しとなるため、メモリーそのものを修理・交換する必要はありません。

HA8500では、DMR とダブルチップスペアリングにより、コストを最小限に抑えつつ、同時にメモリーの耐障害性を最高レベルまで高めています。

HA8500ではVirtualPartition(vPars)を用いる事で大型モデルの高信頼性を活かしたスケールアウトを実現できます。さらにnPars+iCAP構成にすれば、物理的に分離させたパーティション間でvParsと同じようなスケールアウトを実現させることも可能です。
vPars機能及びiCAP機能は630以上のシステム装置にて使用できます。

PCI-Xモジュール

転送速度を倍速に、かつPeer-to-Peerアクセスを実現してバスへの負担軽減

チップセットzx2、sx2000を搭載したHA8500では、PCI-Xモジュールが PCI-X 2.0に準拠しています。PCI-X 1.0では、最大133MHzでの動作(転送レート1066Mbytes/s)でしたが、PCI-X 2.0 (Mode2)では、266MHzでの動作をサポートしますので、転送レートは2133Mbytes/sとなります。133MHz のPCI-X 1.0モジュールでは、266MHz動作をサポートしているアダプタの性能を活かしきれていませんでした。PCI-X 2.0モジュールはバスの転送速度が倍速になったので、アダプタの帯域幅を活かせるようになりました。

また、PCI-X 2.0は、転送レートを上げるだけでなく、Peer-to-Peerのデータ転送にも対応しますので、バスへの負担を局所化し、システム性能の向上に大きく寄与しています。(図2右側の青、オレンジ色で示すダイレクトパスでアクセスが可能になる)

画像 PCI-X2.0のPeer-to-peerダイレクトアクセス
図2. PCI-X2.0のPeer-to-peerダイレクトアクセス

実質のI/O接続数を増大

これまでは、サーバコンソリデーションにおいて、PCIスロットの性能がネックで、複数ポートのアダプタや、Comboアダプタ*1が使えず、PCIスロットを有効活用できないために、筐体を分けるケースもありました。ところが、現在は、PCIモジュール、チップセットの性能向上により、ネックが解消されたため、複数ポートのアダプタや、Comboアダプタが使えるのでPCIスロットを有効に活用でき、実質的に接続できるI/O数が増加します。ただし、スロット毎に動作モードが異なりますのでアダプタの選択と配置には注意が必要です。表2に HA8500サーバのスロット数と動作モードをまとめます。

*1
Fibre Channel+NIC(1000BASE-T)というように、1枚のPCI-Xアダプタに2種類の異なる機能を搭載したカード
表3. PCI-Xスロット数と動作モード
モデル種別 エントリーモデル ミッドレンジモデル ハイエンド
モデル
概観

310D5

410D5

520D5

630D5

740D5

860D5

機種名 310 D5 410 D5 520 D5 630 D5 740 D5 860 D5
PCI-X
スロット数
3 8 8 15 16/32* 最大192
動作モード 266MHz 2 2 2 8 8/16* 最大32
133MHz 1 2 2 6 6/12* 最大96
66MHz - 4 4 1 2/4* 最大64
  • * I/O拡張時

なお、オプションボードの詳細に関しましては下記ページをご参照ください。

SAS

SCSIインターフェースを更なる高速化が可能なシリアルインターフェースへ

zx2チップセットを搭載したHA8500のエントリーモデルでは、HDDの接続方式として、SAS(Serial Attached SCSI)を採用しています。ここでは、SASの特徴を説明します。

SASは、プロトコルの観点ではSCSIでありながら、インターフェースは完全なシリアルインターフェースという、SCSIの高いパフォーマンスや信頼性を持ち、シリアルインターフェースの利点も同時に享受する接続方式です。

従来のパラレル SCSI (Ultra320 SCSI等)との大きな違いは、Serial Attached SCSIという名称の通り、シリアル・バス方式を採用したことです。これまでのパラレル・バスでは、データ転送速度を高速化すると信号のひずみやスキュー(到達時間のずれ)が大きくなり、複数ビットのデータ信号をクロックに同期して読み取るのが困難なため、Ultra320 SCSIを超える同期転送速度は困難とされていました。
SASでは、シングル・ストリームで信号を送るため、パラレル方式が抱えていたスキューやクロストロークの問題は原理的に発生せず、データ転送速度のさらなる向上が可能です。

この他、ケーブル幅が細くなるため筐体内の風通しが良くなり、ファンの冷却効果が増大するといった利点もあります。パラレルSCSIでは3.5インチHDDのみがサポートされていました。これに対し、SASでは3.5インチ型に加え、2.5インチ型のHDDもサポート。2.5インチHDDは、3.5インチ型と比較して、体積比で約70%減という圧倒的な省スペース化が図れます。この結果、サーバ本体や外部ストレージに、より多くのHDDを搭載できるようになり、システム全体のストレージ性能向上が図れます。

なお、SASの詳細に関しましては下記ページをご参照ください。

まとめ

サーバ全体の性能や信頼性向上、また仮想化やセキュリティといった機能の適用には、今回ご紹介したような、サーバを構成する各コンポーネントの進化が寄与する部分も少なくありませんので、今後もHP-UXと共に進化する、 HA8500にご注目ください。

  • * 本記事は、掲載時点の情報です。製品名称等、現時点の情報と異なる場合があります。