形成外科という診療科については徐々に耳慣れた言葉になりつつあると思いますが、あらためて確認させていただきますと、”形成外科とは外科の一分野ではあるが、特に先天性および後天性の身体外表の形、色の変化、すなわち醜状を対象とし、これを外科手技により形態解剖学的に正常にすることにより、個人を社会に適応させるものである。”と難しい言葉が並んでしまいましたが、具体的には以下のような疾患を扱っています。
水戸以北で唯一形成外科を常勤として標榜し、県内では少ない日本形成外科学会認定施設となっています。顔面や手足の外傷、先天性外表奇形、腫瘍摘出およびその再建など形成外科全般の診療を行っております。基本的には健康保険での診療となります。
外傷は、交通事故や仕事中の事故などによる顔面骨骨折、手指切断、全身の軟部組織損傷の再建からその後に発生する神経障害、瘢痕拘縮まで、長期にわたり様子を観察し必要に応じて加療しています。
また我々は先天性外表奇形(多合指症、口唇口蓋裂、耳介変形、臍ヘルニアなど)を主に専門とし、特に口唇口蓋裂に関しては、日立総合病院口唇口蓋裂センターを設立し、患者さんの成長に伴い手術、言語治療を行っています。また矯正歯科治療の指導などを含め、長期的に治療を続けています。
皮膚腫瘍(黒子や粉瘤など)は特に顔面など傷跡が気になる部位においても、できるだけ傷跡が目立たぬように最良の方法で治療にあたります。
乳癌による乳房欠損に対し自家組織、また組織拡張器や人工乳房による乳房再建。頭頚部癌摘出手術後の再建など外科や耳鼻科、整形外科、脳外科など他科との協力により手術をすすめています。形成外科の脇に再建外科と標榜したいくらいです。
(1)外来
2023年の形成外科新患数は426名です。
手術は事前に予約して行っております。
(2)入院
熱傷や顔面外傷(骨折など)、先天異常や各種再建手術は入院手術となることが多いです。
(3)治療実績
2023年の手術症例数
1.外傷 110例
2.先天異常 31例
3.腫瘍 151例
4.瘢痕、ケロイド 19例
5.難治性潰瘍 27例
6.炎症変性疾患 29例
7.美容外科 0例
8.その他(レーザー) 19例
宇佐美 泰徳 (主任医長)
医学博士。日本形成外科学会指導医、皮膚腫瘍外科指導医、日本創傷外科学会専門医、小児形成外科指導医、再建マイクロサージャリー指導医、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会認定医、日本美容外科学会、日本口蓋裂学会、日本頭蓋顎顔面外科学会、日本マイクロサージャリー学会会員、昭和大学兼任講師、日本形成外科学会評議員。
水戸市出身、1978年茨城高卒、1984年昭和大卒(大学院卒)後、昭和大学形成外科入局、麻酔科、整形外科研修を経て昭和大学病院のほかに聖マリア病院(福岡県久留米市)など数ヶ所の研修病院出向後、1995年に当院勤務となる。専門は先天性外表奇形、マイクロサージャリーによる再建であるが形成外科全般にわたり診療する。
趣味は、ドッグスポーツ。
江川 智昭 (医長)
医学博士。日本形成外科学会専門医、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会認定医、日本美容外科学会、日本頭蓋顎顔面外科学会、日本創傷外科学会会員。
2012年聖マリアンナ医科大学卒。東大和病院、日立総合病院、千葉こども病院、昭和大学病院、昭和大学藤が丘病院、製鉄記念八幡病院を経て2021年4月より当院勤務。
松井 容 (医員)
2020年昭和大学卒。諏訪赤十字病院、昭和大学病院、藤枝市立総合病院を経て2023年10月より当院勤務。
言語療法士:非常勤1名