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Hitachi
イノベーションを生み出すアプローチとして、“デザイン思考”が注目されています。
デザイン思考とは、ユーザーや顧客の視点を起点に、解決案の創生と検証をスピーディーに繰り返して価値あるサービスやソリューションを探索的に見いだす思考法で、デザイナーがデザインを行なう際の考えかたやプロセスを課題解決に転用したものです。 日立では、まだデザイン思考という言葉がなかった1950年代から、こうした思考法をベースに人や社会に貢献してきました。NEXPERIENCEは、日立に蓄積されてきた「人起点」の考え方やアプローチをまとめたものです。
Design Thinking

1957

人起点のデザイン活動をスタート

意匠研究所が創設され、家電製品のデザイン活動をスタートさせました。外観デザインのみならず、生活研究や人間工学といった視点から家電製品の安全性や使い勝手のテストを行いました。人々の生活を丹念に見ていくという姿勢が日立デザインのDNAとなり、今も受け継がれています。

1970年代

生活を提案するデザイン

⾼度成⻑期を背景にした家電事業の拡⼤とともに、多様化した顧客ニーズに対応したデザインが求められるようになりました。店頭販売体験などを通して、顧客視点に基づく商品づくりや⽣活提案型の商品提案が生まれ、着実な成果を出していきました。

1990年代

「人と情報の関わり」をデザイン

情報化社会への移行に伴い、デザイン業務も従来の「人と機器・生活と機器の関わり」に加え、「人と情報の関わり」への新しい視点が求められるようになりました。ユーザビリティ・デザインやインタラクション・デザインの活動が増え、心理学や人間工学、情報工学など新分野の人財を採用し、コミュニケーション・デザインを追求していきました。

日立のデザイン思考①

冷蔵庫

1995年に発売した冷蔵庫「野菜中心蔵」は、野菜室を中央にレイアウトし、大ヒットしました。当時、キッチンに最も長い時間滞在していた主婦を対象に観察し、冷蔵室の次に開閉頻度の高いのは野菜室であることをつきとめました。
そして、主婦の平均身長に合わせて使いやすい配置、サイズ、容量を検討し、プロトタイプを作成。それを元にユーザー調査を行ない、使いやすさを確認する、このプロセスを繰り返して、設計・デザインに磨きをかけ、商品化につなげました。
購入したユーザーから、「野菜中心のヘルシーな食生活になりました」というお礼の声が届きました。腰をかがめずに楽な姿勢で野菜を出し入れできるという操作性やプロダクトのデザインに留まらず、ユーザーが真に求めていた健康的な生活、つまり新しいライフスタイル(価値)を提供したのです。

日立のデザイン思考②

英国鉄道保守業務における
エスノグラフィ

日立におけるエスノグラフィは,現場に入り込み生活様式や習慣を観察・理解することで,ユーザーや生活者が実際に行っている行為の全体像,暗黙のうちに前提としている価値観,満たされないニーズや願望を明らかにする文化人類学に基づく調査手法です。2003年からソリューション創生の上流プロセスにエスノグラフィを適用し、金融・保険業務、電力プラント建設・保守,化学系プラントの生産・製造,鉄道車両保守や運行指令,建設機器保守,物流や医療業務といった国内外の幅広いドメインで, 約200件の実績があります。

2009年には、日立が英国で行っているClass395の保守業務でエスノグラフィを行いました。鉄道サービスは、列車の運行や保守に携わる多くのスタッフが支えています。豊富な経験や知識が求められる運用や保守のような業務の特徴は、現場が抱える本質的な問題・ニーズが顕在化しにくい点にあります。というのも、作業員は長年かけて培ってきた暗黙知を駆使して、日々直面する困難を解決しているため、問題が表層化しにくいのです。
実際に現場で、鉄道保守を行うメンテナーが行う検査や修理などの作業を丁寧に観察すると、実にさまざまな工夫をしながら作業を進めていることがわかります。これらは仕事をスムーズに進めるために、メンテナーが生み出したノウハウであり、それこそが保守作業効率向上の鍵をにぎっていることも少なくありませんでした。そこで、エスノグラフィで現場のノウハウを抽出し、それらをITで支援する将来像やソリューションを創案することで、メンテナーの働きやすさやパフォーマンス向上を支援しました。

2000年代

経験をデザインする
エクスペリエンスデザイン

2000年ごろから経験をデザインするエクスペリエンスデザインを提唱し、デザイン思考のプロセスにより、幅広い日立の製品・サービスを開発していきました。写真は駅の異常時案内用ディスプレイです。それまで異常時を文字情報のみで知らせていましたが、同じ運行情報データをベースに、路線図を活かした表示に変換し、駅利用者のエクスペリエンスを向上させました。

2010年代

エクスペリエンスデザインを
ベースとしたExアプローチ

お客さまの経験価値を高めていく活動「Exアプローチ」を開発し、お客さまのITシステム構築のプロセスに適用を開始しました。
具体的なシステム要件定義に入る前の構想策定やシステム化計画の段階でステークホルダー全員の合意形成を作り上げることで、手戻りのないシステム構築と業務価値を向上させる数々の改革実績を積み重ねてきました。

2000-
2010年代

デジタル技術を活用した
サービス工学

1970年ごろからの情報システムの研究を発展させ、対象となる業務、サービス、事業へと範囲を広げ、サービスや事業を工学的に設計・評価するためのサービス工学の研究を進めてきました。これらは、NEXPERIENCEの事業発想、ビジネスモデル設計、ビジネス検証シミュレーション、ワークショップにおけるデジタルツールなどを開発に繋がっていきます。

2015

NEXPERIENCE
協創方法論として体系化

これまで培ってきた、家電から社会インフラを含むさまざまな分野での「⼈起点」のデザイン思考と、⼈⽂科学や社会科学の知⾒、デジタル技術を活⽤したサービス⼯学を融合し、協創方法論NEXPERIENCEとして体系化しました。

先進デジタルツールやデジタル技術活用の知見を使いながらワクワクした未来を構想していく。みなが主体性をもってワクワクしながら自由な発想を出し合う。
NEXPERIENCE に添えたメッセージにはこうした想いが込められています。

デジタル×デザインで、
ともに未来にワクワクを

ともに、ワクワクした未来を創って行きましょう。