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日立ワークスタイル変革ソリューション

第2回 オンラインでチームをつなぎ、成果を出すために

在宅勤務で一人ひとりが仕事をしている環境で、チームとしてどうやって連携し、成果を出していくのか?オンラインでのコミュニケーションの在り方は、多くの皆さんが悩まれたのではないでしょうか。株式会社テレワークマネジメントの田澤由利氏と鵜澤純子氏、そして日立の荒井達郎と板橋正文が、コロナ禍でのさまざまな試行錯誤を振り返ります。

試行錯誤したコミュニケーション

田澤: 実は、緊急事態宣言から数か月たった今までの間に、私どもテレワークマネジメントのお客さまのニーズに変化がありました。
まず、緊急事態宣言下では、就業時間の見える化に関するお問い合わせが驚くほど増えました。急遽在宅勤務を強いられた企業の一番の悩みは、従業員がどれだけ働いているのかわからないということです。そういうニーズがストレートに出た問い合わせでした。
ところがこのところ増えてきたのが、私どもの「クラウドオフィス(新規ウィンドウを開く)」というツールへの問い合わせです。これは在宅勤務する従業員の間でいつでも気軽に声を掛け合える、チャットともオンライン会議とも違うツールなのですが、皆さんの興味は基本の時間管理から、コミュニケーションをなんとかしたいという高度な課題へ明らかに移ってきています。

荒井: 日立でも、自宅にいながらチームのつながりを深めるためのコミュニケーションを、従業員がそれぞれ工夫しています。今回は、どんな工夫をしているのか聞きたくて、この場に何人か呼びました。まず植原さん、どうですか。

植原: この数か月で、チャットをうまく使えるようになったなと実感しています。
チーム全メンバーのチャットはもちろんですが、それ以外に人数が半分くらいのチャット、若手だけのチャット、1対1のチャットなど、いろんなチャットが同じプロジェクトでも並行して動いています。
やっぱり若い人はベテランが参加している場だと、チャットといえども発言しにくいんです。私たちも、ちょっとした思いつきやこんなニュースあったよ、とかランチしながら肩ひじ張らずにチャットできる。多様な意見を吸い上げるのに、すごく有効なやり方だなと感じています。

荒井: 在宅勤務だとどうしてもちょっとした会話からのひらめきが生まれにくい。それがイノベーションの種になるわけだけど、そこを補完するいい方法かもしれませんね。

田澤: 今、私たちに問い合わせをしてくださる皆さんが一様に言う言葉が、イノベーションなんです。オンラインでのイノベーションを生むコミュニケーションづくりは今、多くの企業にとっての課題だと言えます。

荒井: それでは、津嘉山さんはどうですか。

津嘉山: 今、オンライン会議がすごく増えていますが、会議に参加したら若い人でも必ず発言しなくちゃいけないというプレッシャーはあまり良くないと思っています。とても高度な内容の会議もありますので。
そのかわり会議が終わったら一斉にパチンといなくならずに、引き続き若手のラップアップの時間をとってあげて、あの内容はこういうことだったんだよ、とか会話できれば疎外感もなくなるし、理解も進むいい方法かなと思っています。

詰め込み過ぎが見えない

板橋: 以前だと会議が終わった後に普通にやっていたことだけど、確かに在宅勤務だと若い人は下手をすると放っておかれるような状況も発生するかもしれないですね。

そしてあと、チーム全体のラップアップも大切かなと思います。会議がひと通り終わったら、誰がどのタスクを受け取るのかラップアップを行って、その状況をスケジュールも含めて見える化するしくみを持つことはオンラインで共同作業を行う上で不可欠かなと思います。
また、そのあとの作業も在宅勤務だと一人ぼっちになりがちですが、ここでも例えば、各メンバーが作業する際に何か調べ物をしたり、アイディアを書き留めたりしたら、それをチームで共有できるスペースをオンラインにつくれば、それぞれの気づきが新しい気づきを生んで、より大きな成果につながるかもしれません。もしかしたら個々がアイディアをパソコンに眠らせていたオフィス時代よりも、生産性の高い働き方ができるのでは、という期待さえあります。

鵜澤: 日立さんではすでに新しい文化が芽生えつつあるんですね。世の中的にもオンラインのハードルは下がっていて、当社にも、オンラインでちょっと話を聞きたい、というご相談が全国から数多く寄せられるようになりました。出会いが増えるのはオンラインのメリットですが、そうなるとコミュニケーションの質とは別に、量をどうするかという問題が浮上してきます。つまり在宅勤務は、過剰労働に陥りやすい傾向があります。従業員の皆さんを守るためにもマネジメントのしくみも考えなければならないと思います。

板橋: 在宅勤務は、会議が終わったら、休みなくまた次の会議とか、詰め込み過ぎが発生しやすい状況です。オフィスにいたら上司が実際に目で見て部下の作業負荷を判断できるんですが、在宅勤務だと公私の切れ目なく働き続けてしまう部下を把握することが難しくなってしまいます。

1on1ミーティングが活発化

荒井: 在宅勤務というのは、従業員の心身の問題が見えにくい環境です。そこで当社では、以前から進めていた上司と部下の「1on1ミーティング」を、在宅勤務環境においてオンラインで実施することを従業員に推奨してきました。
また同時に、従業員一人ひとりの働くことに関する意識を見える化する取り組みも進めていますが、在宅勤務実施後に意識調査を行うと、実はコロナ前よりもより高い意識で働いている、という結果が出ているんです。これは上長とのコミュニケーション量が増えたことに起因していると考えられるんですね。

板橋: 実はオフィスで向き合っていても、必ずしもコミュニケーションが密にとれていたわけではないということかもしれません。在宅勤務になって時間が柔軟に使えるようになったことなどが相まって、逆に一人ひとりに寄り添えるようになった部分もある。これもオンラインの可能性のひとつかなと思います。

荒井: ここまでオンラインでのコミュニケーションの可能性を考えてきましたが、イノベーションを創り出すためには、やはり可能ならば会って対話をすることは欠かせないだろう、と今思っています。リアルな対話から沸き起こる熱量はオンラインで経験することは難しいですし、何より会うことは人間の本質的な欲求ですから。

田澤: 私は、在宅勤務を働き方の標準とするからこそ、チームのメンバーや外部の人と実際に会う時間をとても大切にしています。仕事の成果を上げるためには、やっぱりオンラインですべてを完結できるわけではないからなんですね。これからそれぞれの企業は、ニューノーマルな働き方へ、自分たちなりのオンラインとリアルのベストミックスを追求していかなければならないのだと思います。

荒井: 次回は、ニューノーマルにおける「会う」という行為を掘り下げて考えてみましょう。そこからベストミックスが見えてくるかもしれません。

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