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日立ワークスタイル変革ソリューション

第3回 ニューノーマルでは、会うことの意味が変わる!?

在宅勤務が標準になると、リアルに「会う」という行為は、きっと特別なことになります。ニューノーマルでは、人はどういうタイミングで会い、会う場所はどのような形になるのでしょうか。株式会社テレワークマネジメントの田澤由利氏と鵜澤純子氏、そして日立の荒井達郎と板橋正文が、新しい「会う」スタイルを探るとともに、あるべきニューノーマルの社会を推測します。

人とリアルに会うことはスペシャルな行為に

荒井: テレワークマネジメントさんは、その社名の通り在宅勤務が標準で、従業員の皆さんは日本各地にお住まいのわけですが、皆さんが一堂に出社するということはあるんですか。

鵜澤: 当社は従業員数が少ないので、皆さんにとってはチームに近い感覚だと思うんですけれども、毎年4月、1年に1度だけみんなで集まって会議をして、そのあと楽しくお酒を飲むという出社日を設定しています。ですから一口に出社と言っても、われわれにとっては大切な大切な1日になります。
小さな子どもがいる従業員は託児の手配をして、ご主人にもいろいろな協力をお願いして、あとお土産の用意ですとか、もちろん会議の準備も怠りなく、有意義な1日になるよう各従業員はその日に臨みます。

田澤: 1年に1回っていうのは、あまりにも会わなさ過ぎですが(笑)、でもこの先、多くの会社で似たような状況が起こり得るんじゃないかと思っているんですね。
これからは、何かわくわくする特別なことがなければ出社する意味はなくなってくると思います。「会社」って、「会う社(やしろ)」と書くじゃないですか。会いたい人と出会って、その貴重な成果を持ち帰れることが、会社へ行く意味になり、それはとてもスペシャルな出来事になると思います。

荒井: そうですね。だから空間的には、自由闊達で、かつ密度の濃いコミュニケーションを実現できることが最も優先されるようになって、少なくとも島形にデスクが並んでいて部門ごとにわかれて座る、というようなレイアウトは大きく変わっていくでしょうね。

そして、「会う社」に集まった人たちにオンラインで他のメンバーが合流できるような、両者が地続きになったようなフレキシブルなコミュニケーション空間をオフィスはめざしていくんだろうと思います。
そうした空間づくりを支援するため、日立は当社の従業員がオフィスに出社した際にはどのように過ごしているのか、スマートデバイスを使って行動を見える化する実証実験を行っています。デスクにどれくらいいるのか、ミーティングスペースはどのくらい活用しているのか、その動きを解析することで、新しいオフィス像への気づきが得られるのではないでしょうか。
将来的には、従業員は自宅、オフィス、サテライトオフィスとどこで働いても自由となりますから、リアルに会いたい時に「あの人今どこにいるの?」みたいことがすぐにわかるしくみにもつながると思っています。

ニューノーマルでの新しい会うスタイル

板橋: 会うことの重要性が高まってくると、今度は、人財と人財をつなぐサポートをするしくみも必要になってくるのかなと思います。
例えば、今自分はこういうテーマで動いているとか、こういう課題で行き詰まっているとか、リアルな対話を必要としている要件を社内のSNSに書き込めば、AIが社内から適任者をマッチングしてくれたり、あるいは自分なら応えられそうだという人が手を挙げたりしてくれる。
コミュニティづくりから「会う」という行為までをシームレスにつなげることができれば、イノベーションを加速させることができるのではないでしょうか。将来的には、こうした人財と人財をつなぐしくみは企業や産業の壁を越えて機能していくのではないかなと思います。

田澤: 確かにこれからは、目的を共有するメンバーが壁を越えて集まって対話し、成果を出す、というのがビジネスにおける会うことの定義になるのかもしれません。
そうなると、会社は別に大きなビルである必要はないし、都心にある必要もありません。逆に各地に点在していた方がいいということも言えますし、もしかしたら非日常的な場所の方が、アイディアが浮かびやすいかもしれない。

荒井: そうした流れもあって、今、デジタル田園都市国家構想やワーケーションといったコンセプトに注目が集まっていますよね。そしてこれは、アフターコロナにおいて企業は不動産や社屋といったアセットをどう運用するのかという課題につながっていくんですが、1つの方向として企業相互のアセットのシェアが進むのでは、と考えています。
オフィスの分散化を促進したい時に、企業と企業が連携してお互いのアセットを融通し合う。そうすれば、企業は効率的に全国にミーティングスペースを持つことができるし、在宅勤務で空いたアセットを有効活用できます。

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自民党デジタル社会推進特別委員会 デジタル・ニッポン2020Webサイトより

一人ひとりに社会が寄り添うニューノーマルへ

荒井: アセットの問題だけではなく、ニューノーマルでは企業間で連携して課題を解決しなければならないケースが増えるように思います。
いまオンラインがビジネスにおいて新常態化しつつあるように、暮らしにおけるサービスもオンライン・ファーストを進める必要がありますが、快適なサービスを提供するためにはサプライチェーン全体で連携し、知恵を出し合う必要があります。そして、その連携の輪の中には企業や自治体だけではなくて、街のお店やコミュニティ、そして生活者の皆さんにも入っていただくことが、本当に便利なサービスをつくるうえで不可欠かなと思っています。
みんなでニューノーマルのビジョンを描いて、社会全体で幸せになっていきたいですね。

板橋: そう思います。在宅勤務になって一番感じている変化は、家族と非常に多くの時間を一緒に過ごすようになったことです。ここまで皆さんと仕事をどうするか、オフィスをどうするかというテーマで議論してきましたが、実はニューノーマルではこれまで以上に、一緒に住むパートナーや子どもや親、そして地域のコミュニティなどの重要度が非常に高まると思います。
これからの企業活動においても、地域とそこに住む一人ひとりの幸せを見つめる視点が大切になるし、そういう視点を持った企業や組織が成長していくことができるのかなと思います。そして、そんな想いを同じくする企業やコミュニティがつながれば、それが新しい世の中に変わるきっかけになるのではと、今期待しています。

鵜澤: オンラインのメリットとして、人と人がつながりやすくなった、ということがあると思います。今オンラインセミナーが非常に増えていて、私も課題にマッチするものを見つけたらばんばん受けていて、これもひとつのつながりだと思うんです。ニューノーマルでは、何か問題を抱えた人は誰でも、先程、荒井さんや板橋さんがおっしゃっていた輪につながることができれば、それはとても幸せなことだと思います。

田澤: これまで固定されていた働く場所と時間がとても柔軟になって、誰もがいきいきと輝くことができ、そして誰もが大切な人と過ごす時間をつくることができる。それは同時に、少子高齢化社会においても生産性が高まり、地域が元気な社会です。簡単ではありませんが、そんなニューノーマルをめざしたいと思っています。
今の日本を人間の体に例えると、今回いろいろな問題が出てしまったので、血流を良くしたり、筋肉をバランスよく付けたり、急いで体質改善をしているという感じでしょうか。これが成功すれば、きっと新しい日本が現れると思います。

荒井: 皆さん、ありがとうございました。

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