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日立ワークスタイル変革ソリューション

株式会社 日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 主管技師長 兼 人事総務本部 働き方改革エバンジェリスト 伊藤直子

株式会社 日立ソリューションズ
スマートライフソリューション事業部
主管技師長 兼 人事総務本部働き方改革エバンジェリスト
伊藤直子

ニューノーマルな働き方は企業の成長に必要

ニューノーマルな働き方がキーワードになる一方で、さまざまな事情から全員出社型の働き方へ戻る動きも見られる。やはり新しい働き方は定着させるのが難しいもの。本セミナーではそうした悩みを抱える方々に、日立ソリューションズで働き方改革をけん引し続けてきた伊藤直子が自らの体験に基づきさまざまなヒントを提供した。

「コロナ禍での大規模なテレワークの実施により、多くの企業はBCPにおけるテレワークの重要性を実感したのではないでしょうか。また、2020年4月の調査において、大企業の若手中堅社員においてテレワークの定着をのぞむ人が95.8%を占めました。つまり有能な社員をつなぎとめておくためにも、テレワークはぜひとも定着させるべきでしょう」と伊藤は語る。

BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)

しかしその一方で、テレワークに課題や支障を感じた社員も81.3%にのぼった。課題は大きくICT面と制度面だ。

日立ソリューションズのテレワーク制度の進化

「日立ソリューションズは新型コロナの感染拡大とともに大規模なテレワークを実施し、今も約90%の社員が在宅で勤務中ですが(2020年7月現在)、2016年度、働き方改革の一環としてテレワーク制度をスタートさせた当初は、やはり、制度やICTの未整備という課題に直面しました。しかしこれらの課題を解決しないと、結局もとの働き方に戻り、その結果企業の競争力を低下させてしまうことになります」

日立ソリューションズは2008年に在宅勤務制度を導入。しかし育児や介護などの理由がある社員限定で、場所も自宅に限られていた。そして2017年よりタイム&ロケーションフリーワーク制度として内容を刷新する。

「制約を徐々に取り除き2018年には社員の約90%を対象者としました。また勤務場所も自宅以外にサテライトオフィスなどの外出先も可能としました。全社運動として取り組んだことによりテレワーク利用者は順調に増加し、コロナ禍では、ほぼ全社員が在宅で勤務。これを契機に2020年10月より正式に全社員を対象とする予定です」

テレワーク定着にはもちろんICT環境の整備が不可欠だ。
日立グループでは、コロナ以前からシンクライアントとFAT PCを併用している。端末はデータを持たず、社員はVPNでデータセンターに接続し、インターネット、Microsoft365®、社内システムなどを利用する。万一端末を紛失しても情報は漏えいしないしくみだ。しかし今回のコロナ禍で、問題が上がった。

コロナ禍での「環境」「働き方」「ルール」の見直し

「VPN接続する社員が、これまでの約1,500人から約4,000人に急増しました。その結果、ネットワークがつながりにくくなり業務の停滞が発生しました」

この問題に対応するために日立ソリューションズは、「環境」「働き方」「ルール」の3方向から見直しを実施した。環境については日立の情報システム部門と調整し、同時接続数を3倍に増やした。働き方については人事部門と相談し、早朝や夜間も働けるようにして就業時間の分散を図った。ルールについては、セキュリティポリシーと関連するため慎重に判断を進め、オンラインミーティングへの参加に限って私用デバイスの利用を許可した。

「これまでなら私用デバイスの利用は一切禁止という判断になります。ただコロナ禍における従業員の安全と事業継続を考えあわせて、このような判断に至りました」
外部環境が変わり続ける今、「これまでそうだったから」とこだわることなく、「環境」「働き方」「ルール」をつねに柔軟に見直す必要がある、と伊藤は言う。

サテライトオフィスとコミュニケーションツール

日立ソリューションズは2016年からサテライトオフィスも導入した。
現在、ザイマックス社のサービスによる都内近郊約40か所のサテライトオフィスに加え、都内近郊約10か所の日立グループのサテライトオフィスを利用できる。定着のカギは費用の「全社負担」だったと伊藤は言う。

「費用は当初、全社負担だったのですが、部門負担に変えたとたん利用者が減りました。自部門の業績に関わると考えると、どうしても利用しづらくなります。全社施策であるということを表すためにも、こうした費用は部門負担にすべきではないと思います。全社負担に戻すと見事に利用が増えました」

また、チャットやビデオ会議などのコミュニケーションツールも定着に時間を要した、と伊藤は言う。
「ビデオ会議の利用を促すために部署別の利用状況をグラフにして、推移を公開しました。部門間の競争心をくすぐり、管理職の奮起を促しました。加えて利用マニュアルを作ったり、使い方の説明会を開催したり、地道な活動も並行して行い、徐々に利用は増えていきました」

しかしコミュニケーションツールを完全に定着させたのは、このコロナ禍だと言う。
「ちょっとした用件はチャット。電話のように突然相手に踏み込まず、適度なスピード感で応対できます。しっかり会話するならファイルを共有しながらビデオ会議。場所の制約を受けずコミュニケーションできるこれらのツール活用は、withコロナ時代の不可欠なビジネススキルになるでしょう。

経営層から現場まで一体となって本気で取り組む

当社が大事にしている、働き方改革の推進のポイントは大きく2つ、と伊藤は語る。
「1点目は、トップダウンとボトムアップ。トップが本気度を伝えながら、現場は細かい課題も丁寧に拾い上げ、全社で解決に取り組むこと。2点目は、真摯に徹底して推進すること。経営層が自ら率先して実行する。労働組合などの社員組織と連携する。広報活動も根気強く行う。とにかく真摯に徹底して、行動し続けることです。

当社では、こうした経験に基づいたさまざまなソリューションを用意しています。ニューノーマルな働き方にシフトしていくなかで、従業員の幸福が企業の成長につながるお手伝いができたら、うれしいです」と伊藤は締めくくった。

関連サイト

Withコロナ時代のニューノーマルな働き方 日立テレワークセミナーレポート

  • * 所属・役職はセミナー配信時点のものです