当院では、体内に器具を挿入する、痛みや出血まれに合併症の起こる可能性がある、特殊な薬剤を使用する検査・処置・治療について、患者さんに十分な説明を行い、理解と同意を得ます。
(1) 患者さんと医療従事者双方が、良いコミュニケーションの上に、相互に尊敬を払いながら、
一緒に決断していきます。
(2) 患者さんに視力、聴力の低下が認められる場合、理解できるように配慮します。
(3) 患者さんが未成年者(18歳未満)で未婚の場合は、親権者・後見人へ説明します。
(4) 患者さんが判断不可能な場合は、代理決定の原則に従います。
(a) 代理決定に関する患者さんの事前指示があれば、その人が判断します。
(b) 代理判断(患者は「意識がなくなったときは、点滴などの治療はしないでくれ」と言っていたなど)
(c) 前項(b)のような本人の意見が残されていない場合、残された家族や医療従事者で患者さんの
最善利益を決定します。
(5) 患者さんが理解できないことは、いつでも質問できることを保証します。
(6) 患者さん本人の決断を尊重し、もし同意されなくても、医療従事者は最善の方法で対応します。
(7) 一度決断されても、実際の処置をする直前まで、いつでもこの同意を取り消すことができることを
保証します。
(8) 希望があればセカンド・オピニオンを求めることができます。
(9) インフォームド・コンセントの例外を以下の通りとします。
なお、患者さんの状態が改善し説明が行える状態になった場合、または家族等が現れた場合等には、
速やかにインフォームド・コンセントを行います。
(a) 緊急性がある場合
(b) 伝えることで患者さんの不安を増し、治療に悪影響をおよぼすと医師が判断した場合
(c) 患者さんが伝えることを希望しない場合
(1) 何をするのか
(2) 何のためにするのか、そのことをすることの利点(どのようなことが分かるのか)
(3) 具体的な処置とそのリスク
(4) 特に患者さんに協力していただきたい注意点(安全に行うための注意点)
(5) 副作用
(6) 費用
(7) それ以外の検査との有用性、リスクの比較
(8) その他、患者さんの質問を促すこと
(1) 説明担当医師は、必要に応じて患者さん家族等と医療従事者双方の同席者が確保できるように時間、
場所等に可能な範囲で配慮いたします。なお、緊急時はその限りではありません。
また患者さん側では、性的マイノリティの場合、パートナーを家族同様に対応します※。
注:茨城県では「いばらきパートナーシップ宣誓制度」において、宣誓者両名に「いばらきパートナー
シップ宣誓書」と「いばらきパートナーシップ宣誓書受領カード」を交付しています。
(2) 患者さん本人の判断能力がまったくない場合だけでなく、判断能力が低下していると思われる場合にも、
代理人と一緒に署名をお願いします。
(3) 医療従事者側の同席者は、アドボケート(権利擁護者)として、患者さんの人権侵害を防ぎ、
尊厳を守り、最善の選択ができるように支援する役割を持ちます。説明担当医師から伝えられた
内容を把握し、その情報を受けた患者さん家族等が十分に理解いただけたか等の反応を診療録へ
記載することも役割の一つです。
必要時、説明の途中で説明担当医師の説明の補足を行います。
(4) 以下の場合は医療従事者側の同席を基本とします。なお、緊急時はその限りではありません。
(a) 手術室で実施する全ての「手術説明書兼同意書」
(b) 「麻酔説明書兼同意書」
(c) 「輸血拒否と免責に関する証明書」
(d) 「診療拒否確認書」
(e) 「化学療法説明書兼同意書」
(f) 「放射線治療説明書兼同意書」
(g) 患者の予後に関わる重大な治療方針に関する説明書兼同意書
(5) 看護師はインフォームド・コンセント後、速やかに説明担当医師と内容の情報共有を行います。
看護師から患者さん家族等に十分に理解いただけたか等を確認し、不備や不足があると感じた場合は、
担当医師へ追加説明を依頼します。
参考:市川幾恵.Practica「考える」Vol.2.公益財団法人日本医療機能評価機構 評価機構推進部.2017年2月
(1) 既に説明し同意を得ている場合でも、患者さんが再度説明を希望される場合は、
適宜説明を行い同意を得ます。
(2) 繰り返し行う処置・検査の場合でも、都度もらうことを原則とします。
しかし、複数回の検査・治療の予定が初回の同意書に明記されていればその限りではありません。
(3) 患者さんの予後に関わる重大な治療方針の変更の場合は、適宜説明を行い同意を得ます。
(1) 当院では、同意書を必要とする要件を「体内に器具を挿入する、痛みや出血まれに合併症の起こる可能性が
ある、特殊な薬剤を使用する検査・処置・治療」と定め、主なカテゴリーを次の通りとします。
項目 | |
---|---|
手術 | 手術室で実施するすべての手術 |
検査 | 生検(肝生検、腎生検、骨髄生検、リンパ節生検等)
血管造影検査 HIV検査 心臓カテーテル検査 内視鏡検査 気管支鏡検査 腰椎穿刺 経食道心エコー検査 造影検査 |
治療 | 全身麻酔、腰椎麻酔
輸血(血液製剤などを含む) 化学療法 放射線治療 内視鏡治療 カテーテル治療 中心静脈カテーテル留置 皮下埋め込み型中心静脈ポート植え込み(CVポート) 胸腹腔穿刺・ドレナージ 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症予防 分娩誘発 心臓ペースメーカー植込術 気管切開 血栓溶解療法(t-PA) 体外式膜型人工肺(ECMO)、インペラ(IMPELLA) 大動脈内バルーンパンピング(IABP)、計画的な気管内挿管 |
その他 | 入院診療計画書(兼治療同意書)
病理解剖 死亡時画像診断(Ai) 臨床研究(一部の観察研究または介入研究) 特例承認・緊急承認された治療薬 不妊手術、人工妊娠中絶同意書 診療拒否確認書 輸血拒否と免責に関する証明書 身体的拘束 その他医師が必要と定めるもの |
(1) 下記に示しました前項に当てはまらない診療行為などにつきましては、患者さんへの心身への負担が
少ないと考えられるため個別に書面等による同意を得る手続きは行わず、口頭での説明をもって包括的に
同意をいただいたものとして扱います。円滑に診療を行うためにご協力をお願いいたします。
項目 | |
---|---|
一般 | 各種問診、視聴診、身体診察、体温測定、身長測定、体重測定、
血圧測定、脈拍測定、呼吸数測定、頭位・胸囲測定、腹囲測定、 栄養状態の評価、栄養指導、食事の決定、カメラ等による患部撮影、 薬剤指導、理学的診察、リハビリテーション、子宮底測定 |
治療 | 静脈血採血、動脈血採血、尿・糞便等検査、
微生物学的検査(痰・唾液等の採取)、 生理機能検査(心電図検査,脈波検査,呼吸機能検査,脳波検査, 超音波検査,筋電図検査等)、経皮酸素飽和度(SpO2)測定検査、 動脈圧測定検査、培養検査、心理検査、 身体機能評価(筋力評価、重心動揺検査、バランス能評価、体組成評価、 活動量計評価、歩行テスト)、運動負荷検査、 SEP(体性感覚誘発電位)・ABR(聴性脳幹反応)モニター、 血糖測定、糖負荷試験、グルカゴン負荷試験、持続血糖モニタリング、 直腸内触診、ウロフロメトリー、ブラッダースキャン、 60分パッドテスト、肛門鏡(肛門検査)、乳房X線検査、 乳房穿孔吸引細胞診・コア針生検、Ks measureによる検査、 CTGモニター(胎児心拍陣痛図)、胎児心拍モニター、 母子診療科・女性診療科における内診、眼科検査(視力検査, 眼圧検査,細隙灯顕微鏡検査,OCT(眼底三次元画像解析)検査, 眼底写真検査,眼軸測定検査,眼球運動検査,斜視検査, 散瞳眼底検査,視野検査,涙道通水検査,倒像眼底検査, カラー眼底撮影,光干渉断層撮影,屈折検査,視野検査皮内反応検査, アイスパックテスト,生体染色,モニター(BISモニター(脳波を 元に麻酔薬の効果を推定するモニター)、筋弛緩モニター、 検体の病理・細胞診検査、X線一般撮影検査、X線透視撮影検査、 X線ストレス撮影、エコー検査(腹部・心臓・眼球等)、 網膜電位図、血管内注入用造影剤を用いないCT・MRI、 骨密度測定、歯科検査(電気歯髄診,歯周検査,唾液検査,味覚検査等) |
処置 | 動脈留置カテーテル針挿入(投薬含む)、痰等の吸引、
口腔ケア等の処置、胃管カテーテル挿入・抜去・管理、 膀胱留置カテーテル挿入・抜去・管理、チューブやドレーン類の固定・ 接続部脱着・管理・抜去、経口用気管チューブ・ 経鼻用気管チューブの位置の調整、 軽微な創傷処置(洗浄,薬剤充填,穿刺排膿,デブリードマン等)、 抜糸、抜釘、縫合、ブジー挿入、鼻内処置、口内処置、爪切り、浣腸、 導尿、冷罨法、温罨法、止血、摘便、死後処置、心肺蘇生、吸入、 尿量測定、ストマ交換、気管カニューレの交換、 膀胱瘻カテーテルの交換、臍処置、ポート穿刺、酸素吸入、 ネブライザー吸入、血液透析シャント穿刺、関節穿刺、関節注射、 腱鞘内注射、装具固定(ギプス等,オルソグラス,三角巾)、 脱臼整復、抜鉤、CPM(持続的他動運動)装着、トリガーポイント注射、 髄液シャント圧調整、ITBポンプ調整&リフィル、オプチューン調整、 髄液採取、液体窒素を用いた処置、局所陰圧閉鎖療法、褥瘡処置、 小皮膚切開、点耳処置、点鼻処置、耳鏡、耳垢除去、涙管洗浄、 睫毛抜去、点眼処置、角結膜・強膜抜糸、角結膜・強膜異物除去、 う歯(虫歯)、歯周病、義歯の検査と治療、 ブロック注射(仙骨孔ブロック,神経根ブロック等)、洗腸 |
その他 | 通常の投薬、軟膏塗布、湿布貼付、注射(皮下・筋肉等)、
末梢静脈内留置針挿入、持続皮下留置針挿入、酸素投与等、 個別同意を必要とする製剤以外の院内製剤、胃瘻・腸瘻・胃管への注入 (経腸栄養剤等)、母乳投与、人工乳投与 |