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導入事例:京都市消防局

最新技術の導入で通報から出動までを迅速化
救急車の現場到着時間は過去10年間で最短を記録

[写真]最新技術の導入で通報から出動までを迅速化 救急車の現場到着時間は過去10年間で最短を記録

消防局と市民が一体となった防災体制

1200年を超える歴史を誇り、世界遺産をはじめ数多くの文化財が受け継がれてきた街、京都。三方を山で囲まれた盆地に市街地を形成している京都市は、広大な山林原野を有しているほか、木造家屋の占有率も高いため、火災などへの対処が困難な環境下に置かれています。京都市消防局では、各地域の自主防災組織と一体となり、防火・防災に取り組んでいます。そして、2014年12月に火災・救助・救急の119番通報の受け付けから通報場所の特定、出動指令、災害終結までを司る消防指令センターに「日立高機能消防指令システム」を導入。より高性能・多機能化したシステムを活用することで、現場到着時間の迅速化、現場との情報共有力の強化、大規模災害への対応力向上などの効果を生み出しています。

[写真]訓練の様子
訓練の様子

最新の地図画面を活用し、通報から出動までを迅速化

「大きく変わったのは、通報場所の特定がスピーディーになった点です。消防指令センターの指令台のモニター画面が、従来の3画面から4画面になり、必要な情報を一度に把握できるようになったことや、特に地図画面の機能が向上された効果が現れています」と語るのは、警防部 情報指令課長 消防司令長の竹内 真一氏です。さらに「具体的には、地図画面からさまざまな地点検索機能を活用することで、指令業務の肝である災害地点の特定をより迅速に行えるようになりました。これは、システム更新により処理速度が速くなったことと、地図画面からすばやく地点特定を行い、事案入力画面と連携できるようになったからだと考えています」と続けます。

また、京都市消防局では職員が一般家庭を戸別訪問し、きめ細かな防災活動を展開するなかで、世帯名や目標物を書き込んだオリジナルの地図を作成し、日々更新しています。この地図情報を、消防指令システムに即日反映できるようになりました。「現場に向かう緊急車両では、従来から最新の地図情報を参照できましたが、消防指令システムは、データ更新を手動で行う必要がありましたので、消防指令センターでは最新のデータではないことがあり、緊急車両と参照している地図情報に差異があることも課題でした。その課題が今回のシステムで自動更新となり、通報者から聞き取る目標物の検索などにとても役立っています」と、警防部 情報指令課課長補佐 消防司令の森𦚰 健氏は喜びます。

また、指令員の手元のモニターの地図上に、移動中の緊急車両の動きがリアルタイムで表示されるようになりました。拡大表示にも対応しているため、狭い路地を走行中の場合でも、正確な位置を把握できます。

京都市消防局では、同時災害に備え消防隊などの配置転換を行っています。災害出動に伴い空白地域が生じると同地域にアラートが表示されるようになり、確実な対応を行えるようになりました。

これらの機能の活用や救急隊を増隊することにより、京都市における119番通報着信から救急車の現場到着までに要する平均時間は6分19秒となり、過去10年間で最短を記録しました(2016年実績)。全国平均ではこの10年で約2分延伸となる8分台であることを考えると、めざましい時間短縮を実現しています。

タブレット端末で現場とリアルタイムに情報共有

もう一つの進化がタブレット端末を活用した情報共有力の強化です。通常、消防指令センターや現場は、無線により音声で情報を共有しています。今回タブレット端末を導入したことで、現場の動画像や指令員の手書きメモなどを、リアルタイムに共有できるようになりました。

[写真]航空隊
航空隊

「どこからでも簡単に動画像が送受信できるようになったため、現場の指揮本部では、各エリアの燃焼状況や活動状況などを、より迅速・確実に把握できるようになりました。広大な火災現場や山間部など、地上からは全体像の把握が困難な場合も、消防ヘリコプターから撮影した動画像や赤外線カメラによる熱画像を指揮本部で確認できるようになりました。本機能により、効果的な指揮判断が行えるようになりました」と竹内氏は語ります。

また、手書きメモの共有機能は、無線が錯綜した場合の情報確認や、音声による説明が難しい経路情報などを図で説明する際に活用されています。

「タブレット端末は、救急活動時にも大きな威力を発揮しています。従来、救急隊が現場で受け入れ可能な病院を確認するには、救急車に積載した装置で調べるか、消防指令センターに無線で問い合わせています。それが手元のタブレット端末からも確認できるようになったため、マンションの高層階など車両と離れた現場でも、傷病者をケアしながら、迅速な病院選択や情報共有が可能になったのです」と森𦚰氏は評価します。

大規模災害への対応力も強化

大規模災害への対応力も強化されました。災害発生時にさまざまな情報をタイムリーに収集するため、大規模災害情報共有システムが新たに追加されたのです。市内全体の災害情報を把握できる「情報共有・作戦支援端末」も導入し、状況に応じた作戦を検討したり、災害情報や気象情報を勘案した災害延焼のシミュレーションを行ったりできる環境が整備されたのです。

このほかにも日立は“止まらないシステム”をめざしたハードウェアの冗長化や免震ラックへのサーバ格納、非常用電源の見直しなど、24時間365日稼働するための高信頼基盤を提案し、システム信頼性の向上を図りました。

「引き続き日立には、さまざまな提案やアドバイスをいただきたいですね。AI(*1)やIoT(*2)、ビッグデータなどの先端技術の活用もともに協創していきたいですね」と竹内氏は語ります。その期待に応えるため、これからも日立は、市民や観光客、文化財の安全・安心を守り続ける京都市消防局の活動を支援してまいります。

*1
Artificial Intelligence
*2
Internet of Things

[写真]左から京都市消防局 森脇 健 氏、松尾 拓也 氏、竹内 真一 氏、村井 彰信 氏、保田 悠志 氏※森脇氏の「脇」は「月へんに刀が三つ」
京都市消防局
森𦚰 健 氏、松尾 拓也 氏、竹内 真一 氏、村井 彰信 氏、保田 悠志 氏(左から)

[お客さまプロフィール]京都市消防局

[イメージ]ロゴと京都市消防局 本部庁舎

[所在地] 京都市中京区押小路通河原町西入榎木町450の2
[発足] 1948年3月7日
[職員数] 1,670名(初任教育生および再任用職員を除く/2016年4月1日現在)

特記事項

  • 2017年8月1日 株式会社 日立製作所 ICT事業統括本部発行情報誌「はいたっく」(株式会社 日立ドキュメントソリューションズ印刷)掲載
  • 本事例中に記載の内容は初掲載当時のものであり、変更されている可能性もあります。詳細はお問い合わせください。
  • 事例は特定のお客さまでの事例であり、すべてのお客さまについて同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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