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Hitachi

キュポラ(溶銑炉)の効率化および廃熱回収による
未利用エネルギーの活用によるCO2削減

日立金属
2019年度

日立金属グループの米国にあるワウパカ・ファウンドリーは、主に自動車鋳物製品を生産しています。鋳物製品製造では、金属溶解の工程で多くのエネルギーを使用しますが、同社では、社会の持続可能性の向上に貢献するため、独自のビジョンを策定し、積極的なエネルギー管理の強化と省エネルギー対策を推進しており大きな成果をあげています。ウィスコンシン州ワウパカのPlant 1では、質の高いエネルギー効率の管理と運用によって、金属鋳造業者として米国初のISO 50001*1エネルギーマネジメントシステムの認証を取得し、その後も継続取得しています。そのほかの工場でも、それぞれの設備に応じてCO2排出量を削減する取り組みを実施しており、同社のCO2排出量は2018年度比で15%削減しました。

インディアナ州テルシティのPlant 5では、キュポラを使用して年間25万トンの自動車用鋳物製品を生産しています。キュポラでコークスを燃焼させる送風が高湿度の場合、コークス使用量の増加、燃焼効率の低下、燃焼温度の低下などが発生し、キュポラの効率低下の原因となっていました。そのため、乾燥ホイール式の送風空気除湿システムを設置し、回収熱交換器で送風用の空気を予熱する前に外気から水蒸気を除去できるようにしました。この対策により、2019年度はコークス使用量を2.5%(600t)、CO2として1,902 t-CO2削減でき、Plant 5の総エネルギー消費量を前年度比0.7%削減しました。

送風空気除湿システム
送風空気除湿システム

ウィスコンシン州ワウパカにあるPlant 2/3では、主に自動車用鋳物製品を年間44.5万トン生産しています。同市は冬期の気温が低く、同工場の都市ガス使用量の70%が施設の暖房と給湯用の温熱源として消費されており、大きな環境負荷となっていました。

こうした冬期の都市ガス使用量を低減するため、2012年度に溶解炉からの廃熱を回収するシステムを設置して暖房熱源とすることで、都市ガス使用量を年間1,588km³低減しました。さらに、2019年度には、同システムの効率向上のため、蓄熱空気ユニットの増強、直列から並列への配管接続の変更および、監視機能を備えた新しい制御システム構築を実施して、同システムの効率を前年度比43%改善し、都市ガス使用量を年間680km³節減しました。この2回の廃熱回収対策により、対策以前と比較して、年間2,268km³の都市ガス使用量を節減、CO2排出量を5,066t-CO2を削減しました。この取り組みは、ウィスコンシン州のエネルギー効率プログラム「Focus on Energy」から評価され、2019年度投資費用の50%に相当するインセンティブを同プログラムから受けました。

廃熱回収システム
廃熱回収システム
*1
ISO 50001:エネルギー消費原単位、エネルギー効率、エネルギー使用量、エネルギー起源のCO2排出量などをエネルギーパフォーマンスとして設定し、エネルギーの使用、効率、消費を継続的に改善する国際標準規格