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社会は自分たちで変えられる自信と希望を学ぶ街

通勤・通学や最寄品の買物による移動が減り、都市部では緑豊かな歩道や自転車道の整備が進んでいる。鉄道やバスなどの交通手段に対しては、街に合った小規模な物に置き換える実験が繰り返されている。各地域には、その地域のインフラを一手に担う事業体が登場し、市民の理解と協力を得て、基幹インフラとのバランスもとりながら運営している。  住む場所の自由度が上がり、人を集める街と人が出ていく街の新たな競争が始まる。人が出ていってしまう街では、基盤となるインフラを担う事業体も現れず、若い世代は都心へ移動する理由も、地域の未来への希望も見いだせなくなってしまう。カリスマ的な個人によって街づくりが良い方向に向かう地域もあるが、継続性や市民を巻き込む範囲にどうしても問題が生じてしまい、多くの地域でカリスマを必要としない街の運営モデルを求めるようになる。  そのような中、学校は、一人一人の市民が社会にどのように関わるのか、どのように声をあげ、実際にしくみを変えていくのかということの教育に力を入れ、学年横断で実際に地域のしくみを変えたり、つくったりすることが行われている。  市民が街を変えていく活動や自然環境を取り戻していく活動を行う機会を与えることが、街に関わる事業者にとっても、大きな関心事になっている。例えば、中学生が自分たちで発電した電力を地域に融通したり、学校の周りに新しく信号付きの横断歩道をつくるような、具体的に街を変えてしまう機会である。このような、市民が関われる「共有材」を用意して、この機会の提供と商業をうまく組み合わせることが事業の中心になっているのだ。

持続可能な社会のQOLを考えるキーワード 「ハッカブル・インフラ」

街は自分たちで変えられるという自信を築いてくれる社会インフラ

これまでインフラは、不変で安定していることが大切な価値であった。安全面での価値はこれからも揺るがないが、街を支えているインフラの形を街の人が変えられることが、地域に創造的な自信をもたらす大きな価値となる。そのとき技術に求められることは、一般の人が公共のものを「ハック」できるという新しい秩序を支えることである。