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Hitachi

Human-Machine Centered Society

互いに染み出す機械と人間

「君がやりきれないところは手伝うよ」

変化の始まり

指で触れる操作が必要なタッチパネルや出入口のドアノブ、公共施設のエレベーターボタン。パンデミック下、現場に立ち続けた医療サービスやゴミ回収などに従事するエッセンシャルワーカー含め誰しもが、物理的接触を前提としたインタフェースは感染リスクが高いことに気づかされた。そんな状況を打開しようと、多くのスタートアップが、公共インタフェースの改善を新たなビジネスチャンスと捉えるようになる。

得意分野をすみ分け、補い合う人と機械

物流、医療・介護、ごみ収集などのエッセンシャルワークを対象に、ロボティクスによる作業の軽減、自動化が進む。介護の現場など、人の手の温もりこそが大切とされた状況でも、ケアをする人/される人の双方にとって、命の危険に関わることのない範囲では機械の介在が安心につながるようになる。物流領域などでは自動化の範囲がさらに広がりをみせる。荷物の受け渡しや壊れやすいモノの扱いなど、高い汎用性、柔軟性が求められる場面では、生活者がみずからロボットと人の間のラストワンマイルをサポート。人々は、機械と築く補完的な関係が、自分たちの暮らしをより良いものに変えていくことに気づき、おのずと機械を手助けするようになる。

人の手により行われていた作業領域では、さらに機械化が進む。中でも公共交通網は自動輸送・自動運転車向けに最適化され、ドラスティックに再構築される。自動化されたシステムと日常生活を共にし始めた人々は、道路や歩道を小型の自動運転カートが移動しやすいように変えるなど、機械の動きを意識した環境を作ることにより新しいライフスタイルを手に入れていく。「人間が大変さを感じる作業をサポートする役割」の機械。逆に「機械が苦手とする繊細な作業、柔軟な判断をサポートする存在」としての人間。人々は、得意分野の異なる人間と機械が協力し合う関係性こそが、新しい豊かさを切り拓くと考えるようになる。

公共空間と個人を結ぶインタフェースが生み出す公平性

ドアを開ける。エレベーターに乗る。公共空間におけるオペレーションは「手で触らなくても使える」ことが大前提となる。非接触を可能にするため必需品となるのが、スマートフォンなど個人が携帯するデバイス。公共機関で使用するたびに行動履歴を残すため、ID(身分証明書)としても機能を果たしつつ、私物でもあり公共物でもある中間的な立ち位置のツールに変化する。非接触を前提として再構築された街では視線入力や表情認識による操作も実装され、外出時に大きな負担を抱えていた高齢者や障がい者、要介護者との共生が強く意識されていく。

非接触でのオペレーションは、身体的・知能的ハンディキャップに捉われない公平で使いやすい多様なインタフェースの需要を生み、公的なサービスとしての提供が促される。さらには脳波などの脳活動を利用して機械を操作する「ブレイン・マシン・インタフェース」も普及。機械や技術は使用するツールから体の一部としてまとうものに変化し、「五体満足」という身体観は変容する。人間の視力を補う身体拡張として機能してきたコンタクトレンズのような、公共空間と個人の間を埋める各々の特徴にあったインタフェースも次々と誕生。人々は、身体を拡張するインタフェースを自由に選べることに公平性を実感し、誰もが分け隔てなく参画できる社会が実現していく。

Keywords:
ロボティクス、共生型ロボット、オートメーション、全自動化に向けたインフラ整備、サービス持続性、非接触型インタフェース