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    Lumadaのユースケースコード:UC-01948S

    次世代のスマート工場をめざし、IoTデータを活用

    〜生産現場デジタルツイン化ソリューション「IoTコンパス」〜

    2022年12月6日

    製造業では、オペレーションの改善で効率のよい生産を実現しています。一方で、生産現場から収集されるデータには業務改善につながるヒントがあるとわかっていますが、有効活用できていないのが現状です。
    今回は、工場内に散在するOTデータおよびITデータを収集、整形し、関連づけて利活用することにより、生産業務全体の改善、最適化を支援するユースケースを紹介します。

    この記事のポイント

    • データを利活用したトレーサビリティの向上で、安全性を確保できる生産を実現
    • 人手に頼らないデータ収集・加工により、人財活用の効率化と業務効率向上を両立
    • 現場視点のデータ分析、工場全体の見える化により、工場経営を高度化

    たとえば・・・

    工場内で取得できるデータの利活用は、業務効率化、生産性向上はもちろん、消費者ニーズの多様化による「多品種少量生産」といったトレンドへの対応、さらには中長期視点でのサプライチェーン全体の最適化にもつながります。
    また、収集したデータの加工、分析にAIを取り入れることにより、少子高齢化による働き手の不足といった社会課題を解決に導きます。

    Lumadaで協創!IoT基盤を導入し、工場をスマート化

    OTとITをデータでつなぎ、次世代のスマート工場をめざす

    品質および生産性の向上やコスト削減、人財不足・育成などを目的として、データを利活用した工場のスマート化が進められています。

    データはあるのに、現場改善に利活用できない

    工場では、製品の品質を保証するための抜き取り検査を実施しています。抜き取ったサンプルに不良が見つかった場合、そのサンプルの製造履歴や、ほかのサンプルも含めた検査結果などのデータから影響範囲を特定します。

    製品の不良は、複数の工程が絡んで発生する場合もあります。不良を検出した工程に原因がなければ、調査対象を広げ、工場全体を俯瞰(ふかん)する視点で設備の状態や製品の品質、生産計画などのデータを抽出、分析しなければなりません。

    しかし、各工程に保管されている設備の稼働データや、個別に構築している各種業務システムのデータは、収集のタイミングや形式などがさまざまです。これらを手がかりに影響範囲を特定するには、データの変化を見逃さないためのノウハウが必要なため、対応できる人が限られます。また、調査の対象となる製品の絞り込み、不良が発生した原因の特定に時間がかかってしまいます。

    工場内で収集されたさまざまなデータを、横断的に利活用

    工場に散在する、各工程の多種多様なデータを集約して形式をそろえ、関連づけて見ると、正常なサンプルと不良が見つかったサンプルとの間の変化点を見つけられます。その前後で製品を切り分け、不良が見つかったサンプルと同じ条件で生産された製品を特定すると、品質を調査する範囲、対象を局所化でき、調査の高効率化を実現。これらにより、次の効果を得られます。

    • 信頼度を維持、向上
      不良のある製品の出荷を回避したり、リコールや問い合わせに迅速に対応できます。
    • 属人化を排除
      データの変化点から不良の影響範囲を特定するため、ノウハウがなくても判断できます。

    また、変化点からデータをさかのぼることで、不良が発生した工程を特定し、使用している材料や設備、作業方法などに問題がないか確認することにより、不良発生の要因分析、対策につながります。

    サイバー空間に再現した生産ラインで、生産工程全体の最適化を支援

    モノづくりの現場にデジタルツイン技術*1を取り入れ、現実世界のデータでサイバー空間に生産ラインを再現すると、トラブルが発生した際の原因を特定したり、業務改善の施策を検討・試行できます。工程間をまたがった見える化により、ある工程で発生した事象が、別の工程にどのように影響しているかを確認でき、生産工程全体の最適化を図るための改善点に気づきやすくなります。

    日立の「IoTコンパス」は、工程ごとに蓄積・管理しているOT/ITデータを集約し、「業務と4M*2」の観点で構成される独自の生産業務モデルに関連づけ、サイバー空間に生産ラインを再現。これにより、生産業務やデータに関する知見の有無にかかわらず、全体最適の視点でのデータ取得・利用、および分析を支援します。

    *1
    現実世界で収集したデータを活用して、サイバー空間に現実世界をそっくり再現する技術です。下記の注目ユースケースでは、デジタルツイン技術でサプライチェーン全体の最適化を図るユースケース、ソリューションをご紹介しています。
    *2
    huMan(人)、Machine(設備)、Material(材料)、Method(方法)それぞれの単語に「M」が入っていることから4Mと呼ばれています。製造業などの現場で、課題の発見やその解決、業務の改善などに欠かせない要素です。

    技術コラム「生産システムの『成熟度モデル*(Maturity Model)』」

    日立は、工場管理システムの高度化に向けたステップを6段階のレベルに分けて考え、現場の目的、めざすレベルに応じたDX推進を支援します。

    • レベル1:見える
      現場のデータをデジタル化し、リソースや生産実績を見える化する
    • レベル2:つなげる
      収集したデータを自部門、自工程で利活用しつつ、他の部門や他の工程につなげる
    • レベル3:流れを制御する
      収集した4Mデータを分析、利活用し、よりよい運用に向けて現場の制御まで展開する
    • レベル4:問題を把握・対策する
      精度の高いデータを利活用し、現場で生じた問題の原因を把握し、対策するための管理モデルを実現する
    • レベル5:将来を予見する
      精度の高いデータで生産計画を高度化する
    • レベル6:連携と強調
      サプライチェーン全体の最適化につなげる

    「IoTコンパス」は、成熟度「レベル6」までの各段階の実現をめざす工場に活用いただけるソリューションです。日立は、各レベルに対応したさまざまなソリューションを用意しており、工場のスマート化をトータルで支援します。

    *
    IEC-TC65/ISO-TC184 Joint Working Group 21: Smart Manufacturing Reference Model(s) で国際標準化に向けて国際議論中(文書番号:IEC TR 63319、IEC 63339)。

    複数の現場に散在するOT/ITデータをつなぐ

    生産業務全体の最適化を支援「IoTコンパス」

    複数の現場に散在する、設備の稼働状況や品質情報(OTデータ)、生産計画や在庫管理情報(ITデータ)などをデジタルデータとして関連づけ、利活用しやすくすることで生産業務全体の最適化を支援します。

    生産現場に適したデータ管理で、生産業務全体を最適化

    「IoTコンパス」は、生産工程に散在する業務と、業務の中から生み出されるOT/ITデータ間の「つながり」を日立独自の手法で一元管理。現場の視点での業務改善、業務全体の最適化を支援します。

    • 集約と見える化
      工場内に散在するデータの集約、設備の点検・保守や作業員の追加・変更といった関連する情報のひもづけにより、ユーザーはデータを利活用しやすくなります。また、生産工程に沿ったビジュアル表示やフィルタリングにより、IT技術の知見がないユーザーも関連データを探索・取得できます。
    • 横断的管理
      集約したデータを「業務と4M」の観点で横断的に管理。これにより、工程間をまたがった業務改善や、生産履歴の探索にかかる時間を短縮できます。また、作業実績や材料、半製品などを軸として、生産現場内の関連データを一括で抽出できたり、管理単位の異なるデータ同士を関連づけられます。
    • APIによるアプリケーションとの連携
      標準APIのサポートにより、さまざまなアプリケーションと連携できます。ユーザーは、APIの一般的なルールに従ってアクセスするだけで、IoTコンパスが集約、管理しているデータを取得して、アプリケーションで利用できます。加えて、標準APIのサポートはアプリケーション開発の効率化、および再利用性の向上を実現します。

    適用事例

    OT/ITデータの集約、見える化によって、高度なトレーサビリティ、人財活用の効率化および経営の高度化を実現した工場の事例を紹介します。

    工場では、次世代のスマート工場をめざしてさらなるデータの利活用を検討していました。高度に自動化された生産ラインへ、トラブルの削減と生産効率・競争力の向上のために「IoTコンパス」を導入。これにより、工場全体の設備・機器・ITシステムからさまざまなデータを集約、見える化でき、次の3つを実現しました。

    • 商品の安全・安心の追及
      製品一つ一つの製造履歴と品質情報を関連づけで管理することで、消費者からのお問い合わせに迅速に対応。また、設備や機器のトラブルが発生した際には、製造および検査の履歴をトレースして影響範囲を特定することで、製品の品質に問題がないかを確認できるようになりました。
    • 人財活用の効率化
      必要なデータを、必要なときに、人手に頼らず取得・加工することで、報告書の作成や問い合わせ対応といった日々の業務を効率化。工場における業務の属人化を排除し、リモートワークの推進と業務効率の向上を両立できるようになりました。
    • デジタル化推進による工場経営の高度化
      現場視点でのデータ分析、および業務全体の最適化に必要なデータを抽出し、関連づけて利活用。PDCAサイクルを迅速に回し、新たな気づきを明確にすることにより、工場経営の高度化を推進できるようになりました。

    さらに、IoT基盤の導入が第2、第3の現場へと拡大することで、より多くのデータの「つながり」を生み出すことができます。製造現場だけでなく、物流やサプライチェーンからのデータの集約、利活用により、広範囲の業務改善に役立ちます。

    ソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。

    生産現場デジタルツイン化ソリューション「IoTコンパス」
    IoTデータを利活用し、サイバー空間に再現した生産ラインのデジタルツインで、生産業務全体の最適化を支援します。 本ソリューションの提供地域:日本
    DXの成長サイクルを加速する Hitachi Intelligent Platform
    日立がこれまでの協創案件で培ってきた数多くのユースケースから、DX戦略および業務構想の策定を支援。その実装に必要なデータモデルを構築するとともに、適切なセキュリティ対策やインフラ運用までを担うことで、お客さまのDX実現に貢献します。 本ソリューションの提供地域:日本
    積水化学と日立、材料開発におけるMI推進に向け、先進デジタル技術を用いた協創を開始

    続きは、ニュースリリースをご覧ください。
    生産現場を改善し続けるデジタルツイン技術 工場IoTプラットフォームの構築へ向けて

    生産現場で蓄積されたデータを整理・統合し、横断的に管理する「IoTコンパス」の概要を、技術的側面から紹介します。

    まとめ

    OTとITをデータでつなぎ、次世代のスマート工場をめざす
    工場内に散在するさまざまデータを集約し、形式をそろえて関連づけると、工場全体を俯瞰(ふかん)する視点で設備の状態や製品の品質、生産計画などを分析できるようになります。たとえば、製品に不良が発生した際には、データの変化点に注目して同じ条件で生産された製品を特定。これにより、品質調査の範囲、対象を局所化し、調査の高効率化を実現します。
    生産業務全体の最適化を支援「IoTコンパス」
    日立の「IoTコンパス」は、モノづくりの現場から収集したOT/ITデータ間の「つながり」を「業務と4M」の観点で一元的に管理。生産工程全体を横断的に見える化することで、工場のスマート化を支援します。
    ご自身のお仕事の中に、活用されていない大量のデータはないでしょうか。
    工場のように、日々データを発生させている現場はないでしょうか。
    データを収集/分析することで、データの潜在力を引き出し、新たな価値を創出できます。

    この記事のポイント

    • データを利活用したトレーサビリティの向上で、安全性を確保できる生産を実現
    • 人手に頼らないデータ収集・加工により、人財活用の効率化と業務効率向上を両立
    • 現場視点のデータ分析、工場全体の見える化により、工場経営を高度化

    たとえば・・・

    工場内で取得できるデータの利活用は、業務効率化、生産性向上はもちろん、消費者ニーズの多様化による「多品種少量生産」といったトレンドへの対応、さらには中長期視点でのサプライチェーン全体の最適化にもつながります。
    また、収集したデータの加工、分析にAIを取り入れることにより、少子高齢化による働き手の不足といった社会課題を解決に導きます。

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