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Hitachi IoT Platform Magazine

既存のCRMやマーケティング手法は限界に達しつつある現在、着目したいのが、自社のブランドに特別な思い入れを抱いてくれる「熱狂顧客」の創出だ。際限のない価格競争には一線を引き、持続的な競争優位性を確保する方法とは。

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この記事は、日本経済新聞社が運営する日本経済新聞電子版に掲載された特集記事、2017年2月2日開催「日経電子版ビジネスフォーラム」のイベント Reviewより転載しています。

[基調講演] 持続的な競争優位は顧客の「熱狂度」にあり
流通業における「熱狂ブランド戦略」とは?

株式会社トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田 紀行氏

市場環境が大きく変化する中、既存のCRMやマーケティング手法は限界に達しつつある。そこで着目したいのが、顧客の情緒や感情にフォーカスを当てた「熱狂戦略」だ。自社のブランドに特別な思い入れを抱いてくれる「熱狂顧客」を創出できれば、際限のない価格競争には一線を引き、持続的な競争優位性を確保することができる。

株式会社トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田 紀行氏
株式会社トライバルメディアハウス 
代表取締役社長 
池田 紀行氏

最愛戦略をベースに据え、熱狂顧客をつくり上げる

CRMなどを活用したマーケティング活動は、流通・小売業においても広く行われている。しかし、様々な施策を打っているにも関わらず、思うように成果が上げられず悩んでいる企業も多い。「市場が拡大し続けていた時代には、他社とは異なる戦略を取ることでマーケットを確保することもできました。しかし、人口減少などによるゼロサムゲーム化が加速する中、もはやこれまでの手法は通用しなくなりつつあります。今後の競争を勝ち抜いていく上では、優良な一部の顧客のみにターゲットを絞った戦略への転換が強く求められます」とトライバルメディアハウスの池田紀行氏は警鐘を鳴らす。

現在市場で支持を獲得している商品やサービスは、「最高」「最安」「最愛」の3つのカテゴリに大別できる。しかし、この最高と最安については、競争優位につながりにくいのが現状だ。あらゆる分野でコモディティ化が進む中、機能や性能で差異化を図る最高戦略は極めて困難だ。最安戦略についても、中途半端に実施したのでは単に粗利が減るだけで終わってしまう。

「そこで重要になってくるのが、最愛戦略です。値引きなどで一時的に売り上げを増やせたとしても、それは決して健全で持続可能な売り上げとはいえません。しかし、最愛ポジションを獲得できれば、その顧客は他店に浮気せず熱心な推奨者にもなってくれます。

当然売り上げは増加し、値引きやクーポンなどの販管費用も減らせます。これにより利益は向上し、持続的な競争優位性を確保できるのです」と池田氏は話す。 売り上げという結果だけを見ていたのでは、結局、その場しのぎの施策を延々と繰り返すことになる。そうではなく、売り上げが増えるプロセスにこそ着目することが重要だ。つまり、自社に特別な思い入れを持つ熱狂顧客をつくり上げていくことが、今後の成長に向けたカギなのである。


情緒的・感情的なつながりを徹底的に深めることが肝心

マーケティングの世界では、よく「2割の顧客が8割の売り上げをつくる」といわれている。熱狂顧客を獲得するためには、この2割の顧客との情緒的・感情的なつながりを、これまで以上に深めていくことが必要だ。 「ただし、ここでも注意すべき点があります。上位2割の顧客を割り出す際には、自社店舗を継続的に利用する顧客などもロイヤルカスタマーと捉えてしまいがち。しかし、こうした顧客のなかには、『単に近いから』という理由で利用している人も多いはずです。これは利便性で勝っているのであって、情緒的・感情的な優位性はありません。近場に別の店ができてしまったら、いつ負けてもおかしくないのです」と池田氏は指摘する。

また、LTV(Life Time Value)の考え方にも、多くの間違いが潜んでいる。一般にLTVが高ければ、その顧客は推奨者にもなってくれると考えがちだ。しかし、実際にはそんなことはないと池田氏は説く。
「例えば趣味の世界でも、自分の好きなブランドを人に薦めるとは限りません。上位顧客を対象にした知人紹介キャンペーンなどが成功しないのも同じこと。そのお店が好きなのと、人に薦めるかは別の話です。全ての熱狂顧客が推奨者になってくれるわけではないことには注意が必要です」(池田氏)

このような状況を打開するためには、高LTV顧客の熱狂度が上がるプログラムを徹底的に提供することが肝心だ。それもクーポンなどに頼るのではなく、情緒や感情に響く施策を打っていくことが求められる。その結果、熱狂顧客のレベルにまで達すれば、その後に実施する推奨プログラムの効果も自ずと高まるというわけだ。

「当社が行った『熱狂ブランド調査2016(*)』からは、小売業はブランド間の差が小さく熱狂顧客率も低い、つまり安さのみが重視される傾向がうかがえます。これでは価格競争に陥るだけですので、少しでも早く現状からの脱却を図っていただきたい。もし店舗がなくなってしまった時に、『不便だ』ではなく『寂しい』と思ってくれる顧客をどれだけ増やせるか。それが今後の流通・小売業にとって一番大事なポイントなのです」と池田氏は強調する。

(*):20業界、200ブランドを対象に行った大規模調査。有効回答数は156,000人


短期間で成果は表れない。求められる経営トップの覚悟

それではどのようにして「熱狂戦略」へのシフトを図っていくべきなのだろうか。池田氏はその具体的なポイントを、事例を交えて紹介。まず1点目は「自社の売り上げ基盤を知る」ことである。

「先に触れた熱狂ブランド調査では、縦軸に0〜5の熱狂度、横軸に0〜10の推奨意向度を用いてグラフ化しています。ここに自社のお客様をマッピングすれば、売り上げがどのような感情のプロセスでつくられているかが見えてきます。左下の層が多ければ最安戦略でしか勝てませんが、これを右上に伸ばせれば中長期的な利益の獲得にもつながってきます」と池田氏は話す。

また、2点目のポイントは既に熱狂レベルに至っている顧客のカスタマージャーニー分析だ。一体どのような体験を経て自社を好きになってくれたのか、その要素をあぶりだして施策に反映させていけば、熱狂顧客の拡大を図ることが可能になる。 これと同時に、熱狂顧客の声を改善に生かしていくことも重要だ。マーケティング担当者のなかには、市場や顧客の声に目新しいものなどないと感じている人も多い。確かにブランドへの関心がさほど高くない相手に通り一遍の調査を行っても、驚くような意見が出てくるケースはまれだろう。

「しかし、全顧客の1%ほどのリードユーザーからは、イノベーションに役立つヒントを引き出せる可能性も大きい」と池田氏は指摘する。「この層はあなたの会社が好きでしょうがない人々なので、普通の人への調査では絶対に出てこないような答えも返ってきます。もちろん、課題解決の直接的な回答にはならないと思いますが、自社の強みや課題を再発見する大きなヒントになるはずです」と池田氏は話す。

また、顧客だけでなく、社員の熱狂度にも目配りが必要だ。池田氏はある居酒屋チェーンの事例を紹介。この企業ではアルバイトにもある程度の裁量権を持たせ、顧客の感動を生む工夫を自由に行えるようにしている。また活躍したスタッフをヒーローとして社内に紹介するなど、現場がいきいきと働ける環境を文化として浸透させている。その結果、従業員満足度の向上に成功しているだけでなく、業界平均を大幅に上回る顧客リピート率も達成しているのだという。

そして最後のポイントは、熱狂的顧客に熱狂的推奨者となってもらい、その推奨を促進していくことだ。「ここでやってはいけないのが、クーポンなどのインセンティブで推奨行動を強制することです。そうではなく、自ら推奨したいという気持ちが起きるようにしていかなくてはなりません」と池田氏は話す。 最近ではスマホを利用したギフトサービスなどを提供する企業も多いが、こうしたものも送り手と受け手の気持ちがつながってこそ初めて効果を発揮する。「自社はどのような文脈で推奨されると最高なのか、それをしっかりと考えることが大事です」と池田氏は続ける。

このように熱狂経営に向けたポイントを述べてきたが、実はもう1つ極めて重要なポイントが存在する。それは経営トップの強い覚悟だ。「売り上げには値引きなどでつくる不健康な売り上げと、愛情やロイヤルティーをプロセスとする健康な売り上げがあります。この後者を増やしていくことが求められているわけですが、とはいえこれはすぐ実現できるものではありません。3年、5年と腰を据えて取り組むとなると、経営トップの覚悟が絶対に欠かせません。しかし、そうした覚悟を持って熱狂顧客作りに徹底的に取り組めば、売り上げは後から付いてくるのです」と池田氏。流通・小売業の経営トップは、この言葉を深く胸に刻んでおく必要がありそうだ。


[講演 I] 顧客一人ひとりの価値観を理解する最適なマーケティング手法とは?

株式会社日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部 デジタルソリューション推進本部
ビッグデータソリューション部 加藤 二朗氏

自社の商品/サービスに愛着を持つ「熱狂顧客」を獲得するためには、まず顧客を知ることが必要だ。日立製作所(以下、日立)では、このような取り組みを支援する「顧客ロイヤリティ向上サービス」を提供。顧客の購買特性や趣味・嗜好を購買データから導き出すことで、顧客一人ひとりの価値観にマッチした最適なマーケティング活動を実現する。

株式会社日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部 デジタルソリューション推進本部 ビッグデータソリューション部 加藤 二朗氏
株式会社日立製作所
サービスプラットフォーム事業本部
デジタルソリューション推進本部
ビッグデータソリューション部 
加藤 二朗氏

購買行動変化への対応には「顧客理解」が不可欠

消費者の購買行動は、社会、経済などの環境要因や生活構造、意識、ライフスタイルなどの影響により大きく変化する。特にモバイルやソーシャル技術が発達した現在では、実際に商品を購買する場面だけでなく、ブランド・商品の認知から競合商品との比較・検討、さらにはブランドや商品体験の拡散・共有に至るまで、あらゆるプロセスが変化の対象となってしまっている。

「こうした変化は、今後も止まることなく続いていくことでしょう。しかし、その変化の本質的な軸となるのは、ショッピングやサービス利用、コミュニケーションなどを行うための『チャネル』と『質』、そして『タイミング』です。これを踏まえた上で、顧客理解と提供価値向上に継続的に取り組んでいくことが、購買行動の変化に対応し、顧客の支持を獲得し続けるための基本といえます」と日立の加藤二朗氏は話す。




優良顧客の形成に役立つ顧客ロイヤルティ向上サービス

自社商品やサービスの熱心なファンとなってくれる顧客を獲得するためには、その顧客がどういう人々であるのかを深く理解する取り組みが欠かせない。そのためには顧客の行動を多面的に分析・トラッキングし、消費行動を規定している価値観やライフスタイルなどをしっかりと捉える必要がある。

「さらに実際の取り組みにおいては、お客様が求める価値だけでなく、アプローチのコンテンツやタイミングが適切かといったことも熟慮した上で、その実現に向けて最適なシナリオを描き、必要なインフラやソリューションを導入する流れになります。ここで特にポイントとなるのが、顧客理解のベースとなる情報収集や分析をどう行うかという点です」と加藤氏は続ける。

日立では、こうしたニーズへの対応を実現するデジタルマーケティングソリューションを展開。データ収集や過去分析、将来予測など、幅広い分野のソリューションを提供している。これらを活用することで、事実や原因の認知から、分析結果に基づく施策、その検証に至るまで、顧客起点のマーケティングサイクルを効果的に回していくことが可能だ。

「時間と手間が掛かりがちなデータ分析・利活用をサポートすることで、マーケターが本来注力すべき商品・サービスの開発に専念できるようにするのが本ソリューションの目的です」と加藤氏。その1つが「顧客ロイヤルティ向上サービス」である。 自社顧客の構造や実態を把握することで、ロイヤルティーを向上すべきターゲットを見極め、効果的な施策へとつなげていくのがこのサービスの狙いである。具体的には「優良顧客分析サービス」「顧客インサイト分析サービス」「Hitachi AI Technology/業務改革サービス」の3つのサービスで構成されており、スモールスタートや分析の段階的な高度化も可能だ。

「ID-POSから取得した購買履歴データを基に、まず優良顧客分析サービスでお客様の購買特性によるセグメント化を実施。続いて顧客インサイト分析で趣味・嗜好に基づいたセグメント化を行います。このように2つの観点から分析・セグメント化を行うことで、どのようなお客様にファンや優良顧客になっていただくべきなのか、またそのお客様はどのような価値観で行動しているのかといった理解を深められます」と加藤氏は話す。

マーケターはこれらの分析で得た情報を基に、優良顧客へと導くための戦略を策定し、それぞれの顧客に即したプロモーション施策を実行に移していくが、日立のソリューションでは、この施策の策定においても、人工知能(AI)を利用して、最適な商品、コンテンツ、アプローチチャネルやタイミングを導き出し、施策立案の効率化と精度向上を支援する。また、こうして実施された施策の検証・学習は、AIを利用して自動化。これにより、検証結果を新たな施策に素早くフィードバックできるようになる。


購買した商品の特徴から顧客の価値観を導き出す

このように優良顧客の形成に大きな効果が期待できる顧客ロイヤルティ向上サービスだが、特に2番目の顧客インサイトサービスには、他のソリューションにはないユニークな特長が備わっている。

「例えば一口に『30代の女性』といっても、その中には品質を重視される方、価格志向の方、容量を重視する方など、様々な価値観を持った方がいらっしゃいます。こうしたお客様一人ひとりの価値観を、購買データから導き出せるのがこのサービスの大きなメリットです」と加藤氏は説明する。

その方法とは次のようなものだ。まず個々の商品に対し、顧客の消費者心理を表す「特徴タグ」を付与する。例えば「高品質」「高級志向」「ヘルシー」「子供向け」といった具合である。さらに顧客の購買履歴から、どのような特徴タグが付与された商品をよく買っているかを分析。これにより、顧客の心理が見える化できるというわけである。しかも、顧客インサイト分析サービスを利用すれば、大量かつ入れ替えの激しい商品への特徴タグの付与作業を日立に任せることができるため、分析準備のための負担を大きく軽減できる。

「趣味・嗜好のセグメント分類が高精度に行えれば、自店舗がどのような価値観のお客様に支えられているのかが明確に分かります。その結果、店舗の特性に応じたマーケティング施策を実施したり、売場作りや商品の品ぞろえに反映させたりといったことがやりやすくなります。また、複数店舗のデータを比較して改善につなげることで、企業全体としての底上げを図ることも可能です」と加藤氏は強調する。

このように、消費者起点で発生するデータを分析・活用することで、顧客の購買行動変化に対応するアプローチや、自社のコアなファンになってもらうためのアプローチを、より効率的に行えるようになる。熱狂顧客の獲得に向けた取り組みにおいても、顧客の価値観を見える化し、それに基づく施策を展開していくことが最善策といえるだろう。


[講演 II] 急成長したプロ野球球団の事例に学ぶ顧客を熱心なファンに変える方法は?

日立ソリューションズ サービスビジネス推進部 部長代理 佐藤 利人氏

日立ソリューションズが提供する「Fan-Life Platform」は、ファンの獲得・育成活動を通して企業収益の向上を目指すCRMソリューション。顧客の特性や行動を一元的に把握・分析し、効果的な施策につなげていくための機能を網羅的に提供。流通・小売業のマーケティング活動においても、大きな効果を期待することができる。

日立ソリューションズ サービスビジネス推進部 部長代理 佐藤 利人氏
日立ソリューションズ
サービスビジネス推進部
部長代理 
佐藤 利人氏

熱心なファンの獲得が、ビジネスを優位に導く

「モノからコトへ」の流れが加速するなか、企業にはより良い顧客体験をいかに提供するかが強く問われている。流通・小売業においても、顧客の体験をどうデザインするのかが大きな課題といえるだろう。
「リアル店舗だけでなく、ネット、モバイル、SNSなど、あらゆるタッチポイントで関わりを深めていかなければ、デジタル時代で顧客の支持を獲得することは困難です。そのための技術やビジネスモデル再編への投資が、これまで以上に重要になっています」と日立ソリューションズの佐藤利人氏は指摘する。

もちろん、既にSNS上に公式ページを開設するなどの取り組みを行っている企業も多いだろう。しかし各種のメディアや施策がシームレスに連携していないために、思うような効果を上げられないというケースも多い。本来は、全てのチャネルにおいて統一的なコンセプトでサービスを提供すると共に、顧客の特性や行動にマッチした施策を展開すべきである。

特にここで重要なのが、自社の商品やサービスを熱心に応援してくれる「ファン」をつくることだ。「ファンになってくれる人々は、何よりも優先的に自社の商品やサービスを選んでくれます。また自社が発信したメッセージが届きやすい上に、周囲の人々への推奨も行ってくれます。つまり優良顧客であるだけでなく、最高のメディアでもあるのです」と佐藤氏はその利点を説明する。

それでは一体、どのようにして自社のファンをつくればよいのだろうか。「まずお客様との接点でデータを収集し、その行動や購買動向、きっかけなどを分析します。これを基に期待値を超える満足度を提供することで、お客様の熱狂度を高めていきます。さらに施策の結果をまた接点で集め、新たな施策へとつなげていく。このサイクルを継続的に回し続けることが、ファン育成の重要なポイントとなります」と佐藤氏は説明する。


ファンの心に響くマーケティング施策を後押し

こうしたファンづくりのプロセスを支援するために、日立ソリューションズが提供しているのがファンビジネス向けトータルCRMソリューション「Fan-Life Platform」(以下、FLP)だ。

SaaS型のクラウドサービスとして提供されるFLPは、集客や購買率の向上を後押しする多彩なO2O(Online to Offline)向け機能を装備。ファンの特性や行動履歴などを一元的に把握・分析する機能も備えている。これにより「各種の仕組みがバラバラでお客様が見えない」という従来のマーケティング課題を解消し、効果的な施策につなげていくことができるという。

「お客様向けには、会員専用のマイページを用意しており、EC連携機能を用いてチケット・グッズ販売サイトへの誘導が図れます。また、ゲームやアンケート、メルマガ、DM配信なども容易に実施できます。一方、運営者様向けには、会員/ポイント管理や決済、データ分析、外部システム連携などの機能を提供することで、施策のベースとなるお客様の行動を見える化できます」と佐藤氏は話す。
チケット発券やポイント付与などのサービスについては、専用の情報端末を店頭やイベント施設に設置して行うことも可能。これにより、顧客が実際に足を運んだかどうかといった、リアルの行動もトラッキングすることができる。

一般にファンビジネスというとまずスポーツやエンタメなどの分野が思い浮かぶが、FLPも複数のプロ野球チームやJリーグクラブなどで導入されており、来場者数や売り上げの向上、有料会員への移行増加、施策結果の定量的な効果測定を実現するなど、数々の成果を上げているという。
「とはいえFLPは、スポーツやエンタメ業界に的を絞ったソリューションというわけではありません。お客様一人ひとりをファンに育てることの大事さは、他の業界においても同じはず。実際に、エネルギー関連など他の業種でも、お客様とのつながりを強化するツールとして導入いただいています」と佐藤氏は話す。


体験と感動の最大化で、企業収益の向上を実現

FLPの導入企業の1つが、プロ野球チーム「オリックス・バファローズ」の運営を手がけるオリックス野球クラブである。
もともと、同社ではファンクラブ会員向けの様々なサービスを提供していたが、来場者やチケット、グッズの購入者などのデータを一括管理する仕組みが存在せず、どのように顧客が行動しているのかを把握できていなかった。そこでこれらをトータルに見える化できるCRMシステムを構築し、もっとファンに喜ばれるサービスを提供したいと考えたのだ。

「システム的なポイントとしては、大掛かりなシステムを1から作るのではなく、既存の業務システムとFLPとの連携で柔軟な環境を実現した点が挙げられます。またオリックス野球クラブ様では、新たに導入したポイントシステムを軸とした活性化をお考えでしたので、これを基本として仮説立案と施策の実施、検証を進めていきました」と佐藤氏は説明する。
その結果、コアファンの行動が事前の予想と異なっていたなど、多くの気付きが生まれた。また、ロイヤルティの高いファンには電話や手紙で感謝を伝えるなど、アナログな施策も新たに実施している。こうした取り組みの結果、チームの勝敗に関わらず、来場者数や購買率を伸ばすことに成功。今後はSNSの活用なども進めていくという。

「情報発信過多のこの時代、不特定多数にアピールしても9割以上が伝わりません。だからこそ、ファンをつくり、育てるマーケティング活動が一層大事になります」と強調する佐藤氏。「体験と感動の最大化」を目指すファンビジネスは、これからの流通・小売業にとっても、欠かせない取り組みとなりそうだ。



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