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熱帯雨林の保護と気候変動の脅威に立ち向かう
人工知能(AI)を活用した音響モニタリングシステム

日立ヴァンタラ
2020年度

大量の大気中の二酸化炭素を吸収し、多様な動植物の生態系を支える熱帯雨林は、気候変動の抑制と生物多様性の保全に重要な役割を果たしています。
しかし、その熱帯雨林が今、かつてない脅威にさらされています。現在、世界各地で違法な伐採が行われており、毎年3,200万エーカー以上の熱帯雨林が破壊されています。また、熱帯雨林の伐採の90%は違法なものであり、森林破壊による二酸化炭素排出量は世界の二酸化炭素排出量の約10%を占めるとされていることから、熱帯雨林を違法伐採から守ることが地球規模での重大な課題となっています。

デジタルソリューションをグローバルで提供する日立ヴァンタラは、これらの熱帯雨林の保護に向けて、サンフランシスコに拠点を置くNPO法人レインフォレスト・コネクションにAI技術を用いたソリューションを提供しました。
レインフォレスト・コネクションは、樹上設置型のソーラーパネルで電力を補充する「ガーディアンズ」と呼ばれるモニタリングシステムを開発し、活用しています。このモニタリングシステムは、広大な熱帯雨林が奏でる野生の営みの音を継続的に録音し、その音をクラウドに送信しています。レインフォレスト・コネクションと日立ヴァンタラによって考案されたシステムは、AIと機械学習を使用して特定の音を解析し、広大な森林生態系で何が起こっているかを迅速に洞察し、潜在的に有害な行動を特定して、熱帯雨林の近くにいる現地パートナーや先住民族、地元の人々に、タイムリーに熱帯雨林への侵入者がいるとの警告を送り、森林伐採や野生動物の密猟を防ぐことをめざしています。

レインフォレスト・コネクションにとっての最大の課題は、熱帯雨林への違法な侵入者の脅威をできるだけ早く現地に知らせることでした。これを実現するために、違法な伐採の予兆を把握することが可能なAIベースの分析モデルを構築する「プロジェクト・レイン」に、日立は参加しました。日立のAI技術は、銃を持った人が熱帯雨林の中を歩いているとき、そしてトラックが熱帯雨林の中を走っているときに、野生動物が出す警戒音の違いを把握することに貢献しました。日立バンタラチームの技術者は、インドネシアのスマトラ島にある熱帯雨林で得られた最大5カ月分の音響データから、AIと機械学習アルゴリズムを用いて、音響的な異常や障害を検出する2つの異なるモデルを最終的に開発しました。このプロジェクト・レインの成果のうち、特に1つの予測モデルについては、80%以上の精度での信頼レベルを達成しています。

人工知能(AI)を活用した音響モニタリングシステム

今レインフォレスト・コネクションは、監視システムへの利用以外にも、収集中のデータを継続的に活用して、地球の自然そのものの未来に関する知見を得ようとしています。

今後も、日立はお客さまとの協創でイノベーションを後押しし、地球と地球上の生命の未来を守る取り組みに貢献していきます。