ページの本文へ

ひたちなか総合病院

Hitachi

放射線治療とは?

 手術による外科療法、抗がん剤による化学療法と並ぶがん治療の3本柱のひとつで、放射線の細胞分裂を止める作用により腫瘍を縮小させます。放射線療法には体の外から放射線を照射する外部照射と、放射線を出す小さな線源を病巣付近に入れて体の中から照射する内部照射があります。手術をすれば傷跡が残り、身体の形や機能が損なわれるような場合でも、放射線療法では切らずにがんを治療することが可能です。また、体への負担が少ないので御高齢の方、合併症があって手術が受けられない方でも治療できることが多いのです。
 当院では外部照射を実施し、通常4週から7週間程度、土日、祝日を除いて毎日おこないます。放射線治療室に入ったら、放射線技師の指示に従って決められた姿勢をとって頂きます。毎日同じ場所に精密に照射するために特別なマスクや装具を使うこともありますが、痛くはありません。実際の照射時間は1〜2分間ですが、この間動かないように注意してください。放射線が当たっても、痛くも熱くもありません。また、高エネルギーX線や電子線の外部照射を受けることにより患者さん自身が放射能をもち、たとえば家族に影響があるなどということはありません。

対象疾患

 放射線治療の主な対象疾患は、下記に図示するように、脳腫瘍、頭頸部がん、肺がん、食道がん、乳がん、前立腺がん、子宮がんなど多岐にわたっています。また、例え治癒が望めない患者さんであっても、がんによる疼痛の除去、腫瘍による気道、消化管、脊髄、尿管などの圧迫によって出現する様々な症状の軽減、さらにがんからの出血の止血など対症療法としても大変有効な治療法です。



「我が国の放射線治療患者179,256症例の部位別頻度(日本放射線腫瘍学会2010年度統計)」より抜粋

集学的治療における放射線治療の役割

 がんに対する治療戦略として、外科療法、放射線療法、化学療法が良く知られていますが、その他にも免疫療法、ホルモン療法、温熱療法、分子標的治療、遺伝子治療などがあります。こうした治療法はそれぞれに長所や短所を持っているので、これらの治療法を組合せることで、長所を伸ばし、短所を補い合うのが集学的治療です。

(1)放射線療法と外科療法との組み合わせ

1. 術前照射
 手術に先行して放射線治療を行うもので、根治線量を照射してから手術を行う場合と、根治線量の約1/2程度である30〜40 Gyを照射した後で、手術を行う場合とがあります。術前照射の目的には、a) 手術操作によって術中に散布される危険性のある腫瘍細胞の活性を低下させる。 b) 腫瘍を縮小させ手術を可能とする。c) 腫瘍抗原を誘導し、宿主の抵抗性を向上させる。d) いずれの治療法を選択するかの決定が困難な場合に照射効果を確認するなどがあります。また、放射線治療終了から手術までの期間については、a) 急性の組織反応が生じない照射直後から数日以内、b) 急性組織反応が軽快し、線維化が出現しない照射終了後10日前後(食道癌、肺癌)、c) 宿主の抵抗性が増強する照射後4週から数か月後(乳癌、骨肉腫)などが目的によって選択されます。

2. 術中照射、開創照射
 手術で腫瘍の大部分を切除し、取り切れなかった病巣に術中に重要臓器を避けて1回に20〜30 Gyの大線量を照射する方法です。適応疾患には、切除不能膵臓癌、胃癌リンパ節転移、膀胱癌、脳腫瘍、軟部腫瘍などがあります。

3. 術後照射
 手術を先行したのちに放射線治療を行う方法です。脳腫瘍、肺癌、食道癌、乳癌(温存術)、子宮頸癌などに対する照射のように、取り残しや取り残しの不安がある場合に同部位に照射を行う場合と、乳房切除術後のリンパ節、睾丸腫瘍の傍大動脈リンパ節などに対する照射のように手術部位と照射部位とが異なる場合とがあります。

(2)放射線療法と化学療法との組み合わせ

 化学療法と放射線療法を併用する目的には、a) 化学療法で微小遠隔転移を抑制し、照射で局所制御を図るというように、化学療法と放射線療法との標的が異なる場合、b) 放射線治療の制御率を向上させ、放射線の効果を高めるために化学療法を併用する場合、c) 副作用の分散(副作用が放射線と抗癌剤で異なっている場合、併用することで副作用が軽減される)などがあります。
 化学療法との併用も手術との併用と同様に、併用のタイミングによって3つに分類することができます。すなわち放射線治療に先行して行うa) 寛解導入療法(主治療前化学療法)、b) 両者を同時に行う同時併用療法、c) 放射線治療の後で行う補助化学療法です。化学放射線治療では、多くの頭頸部癌のように局所制御率を高めるために抗がん剤を併用する場合と、上咽頭癌や小細胞肺癌のように微小遠隔転移に対する効果を抗がん剤に期待する場合とがあります。

(3)分子標的治療との組み合わせ

 がん細胞の増殖や浸潤などの分子機構が明らかになり、特定の分子の活性やシグナル伝達機構を促進したり抑制したりする薬剤である分子標的薬が臨床で多く使用されるようになってきました。これまでの抗がん薬は細胞毒であったのに対して、分子標的薬は細胞毒でなく細胞の増殖を抑制するだけなために、副作用が少ないとされています。放射線治療に分子標的薬を併用することで、がんの治癒率を上げようとする研究が進んできており、将来は分子標的薬と放射線治療との併用ががん治療の重要な治療法になると予測されています。

映像で知る放射線治療

 放射線治療についてさらに詳しくお知りになりたい方、ならびに放射線治療を受けられた患者さんの体験談をお聞きになりたい方は、下記の日本放射線腫瘍学会ホームページに掲載されている「映像で知る放射線治療特設ページ」にアクセスして下さい。

【日本放射線腫瘍学会ホームページ】