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ミドルウェア

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日立オープンミドルウェアで
メインフレーム資産のオープン化を
迅速に実現

IT基盤の標準化やコスト最適化といったニーズを背景に、メインフレーム資産をオープンシステムへと移行するレガシーマイグレーションが注目されています。 そこで最先端の電子コネクタ・ベンダーとして知られるケル株式会社(以下、ケル)は、SIパートナーである株式会社日立システムアンドサービス(以下、日立システム)とともに、すでにオープン化されているサブシステムとのシームレスな連携を目的に、日立オープンミドルウェアを駆使した、基幹システムのオープン化に踏み切りました。


ケル株式会社 各種製品

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オープンシステムとの連携を強化したい

稲田 英俊 氏の写真
ケル株式会社
システム部部長
稲田 英俊 氏

1962年(昭和37年)の設立以来、幅広い分野で使われるコネクションデバイスやスイッチ、ICソケットなどの開発を通じ、業界に確固たる地位を確立してきたケル。同社は、携帯電話やPDAに代表されるモバイル機器やデジタル機器の小型・高性能化、多機能化にともなう高密度実装ニーズにもいち早く対応し、各種コネクタ製品の低背化・狭ピッチ化・多極化を実現。今後のユビキタス情報社会を支えるエレクトロニクス製品の「軽・薄・短・小」ニーズに対応した最先端デバイスの開発で大きなアドバンテージを持っています。

そのケルの基幹業務を長年にわたって支えてきたのが、日立のメインフレームMP5400(OS:VOS1/FS)です。しかし近年の業務拡張にともない、いくつかの課題が顕在化してきたと、ケル株式会社システム部部長の稲田英俊氏は語ります。

「当社では販売管理や生産管理といった基幹業務をメインフレームで処理する一方で、経理、実績収集、情報検索といった部門別のサブシステムをオープン系で構築しています。近年これらのシステム間連携が拡大してきたことから、基幹系と部門系とのコード変換、連携バッチなどのプログラム作成とメンテナンス負担が増大し、業務の効率性に支障をきたすようになってきました。また、夜間バッチのメニューも拡大してきたことから、メインフレームの処理スピードにも限界を感じるようになり、これらの課題を抜本的に解決する方策を検討し始めていたのです。」

そこでケルは2004年春、同社の情報システムに精通したSIパートナーである日立システムとともに、基幹系システムのリニューアル・プロジェクトに着手。当初はコストダウンと性能アップが期待できるメインフレーム後継機種システムへの移行も選択肢に上りましたが、何よりもオープン系とのシームレスな連携を強化するため、日立のHA8000サーバ(OS:Windows ServerTM 2003)へのプラットフォーム移行を決断しました。

レガシーマイグレーションを支えるオープンミドルウェア

江村 幸人 氏の写真
ケル株式会社
システム部 担当部長
江村 幸人 氏

秋山 正樹 氏の写真
ケル株式会社
システム部 課長
秋山 正樹 氏

ケルが自社開発し、運用してきたメインフレーム上のプログラム資産は、新プラットフォームでも引き続き活用されることが決まっていました。このため、COBOLを中心に記述されたプログラムを、ビジネスロジックや操作性を変更することなく、いかに迅速にWindows環境へ移行するかがプロジェクトにおける最大の課題となりました。

日立システムでは、日立のメインフレーム資産の調査分析からオープンシステムへの実移行作業(計画・設計・移行・テスト+環境構築)をトータルに担う「マイグレーションサービス」というソリューションメニューを提供しています。その中で、レガシーマイグレーションを効率化させるソフトウェアとして積極的に活用されているのが、COBOL2002、XMAP3、OpenTP1、JP1、SORT、NHELP実行支援ライブラリといった日立オープンミドルウェアです。

COBOL2002はCOBOL第4次国際規格にいち早く対応したビジネスアプリケーション開発環境で、VOS1/FSなどのメインフレーム上で稼働しているCOBOL資産を、ほぼそのままの形でオープン環境へ移行することができます。また、メインフレームの画面や帳票定義を流用できるXMAP3は、従来と同様のCUI (CharacterBase User Interface)画面や帳票移行をスピーディーに実現。 さらに分散トランザクションマネージャOpenTP1は、メインフレーム上で培われた信頼性の高いオンライントランザクション処理(OLTP)をオープンシステム上でも実現できる実績豊富なTPモニタです。

これらのソフトウェアを駆使しながら、日立システムは2004年9月より、COBOLで記述されたオンラインプログラム約400本とバッチプログラム約1,500本、そして日立の簡易言語NHELPで記述されたプログラム約600本の移行作業に取りかかりました。そしてその裏側では、ケルと日立システムとの密接な協業体制も進行していたのです。

ケルの情報戦略を支える、システム部のオフィス
システム部 オフィス内

変換ツールに合わせて基幹系プログラムを事前修正

松本 裕一郎 氏の写真
株式会社日立システムアンドサービス
産業システムサービス事業部
マイグレーションセンタ
主任技師
松本 裕一郎 氏

当時の様子をケル株式会社システム部担当部長の江村幸人氏は、次のように振り返ります。

「経営戦略の迅速な反映や、エンドユーザーの利便性向上を図るため、基幹系プログラムに関しても、随時アップデートを行っていくのが、私たちシステム部のポリシーです。しかしプログラム移行の間は、その作業を中断しなければなりません。そこで私たちが最も重視したのが、基幹系プログラムの凍結期間をいかに最小化できるか、そのためにわれわれがどのような形で日立システムさんに協力できるかということでした」

日立システム産業システムサービス事業部マイグレーションセンタ主任技師の松本裕一郎氏は、両社の協業内容を次のように説明します。

「プログラムの中にはどうしても、変換ツールだけではコンバートできないデリケートな部分があります。そういった細かな部分は、とりあえず一度、変換作業を行った後で手直しするのが一般的ですが、そのぶん作業やテストなどに時間をとられてしまいます。そこで今回は、われわれがお客さまごとに開発する変換ツールの仕様に合うように、お客さまご自身で基幹系プログラムを事前修正していただくという連携プレーを試みました。これが高信頼な変換とテストの効率化につながり、作業期間短縮の大きなポイントとなりました」

Windowsに対応したNHELPも作業の効率化を支援

海老根 博之 氏の写真
株式会社日立システムアンドサービス
産業システムサービス事業部
マイグレーションセンタ
UL技師
海老根 博之 氏

メインフレームとオープンシステム双方に強みを持つ日立システムの技術力とノウハウも、作業の効率化を加速させました。例えば、VOS1/FSのDCCM3プログラムをオープン環境に移行する際には、通常ならWebサーバの中で動くインタフェースプログラムと、OpenTP1サーバの中で動くMHP(COBOLプログラム)の2つに分ける作業が必要です。しかしこれでは作業時間がかさむため、日立システムは独自の工夫を施してインタフェースプログラムをスルーさせる仕組みを考案。メインフレーム上のプログラムに、ほとんど手を加えることなく移行させ、従来通りの安定稼働を実現することに成功しました。

また、新基幹系システムのIT基盤であると同時に、移行作業で活躍した日立オープンミドルウェアについて、「COBOL2002、OpenTP1、XMAP3、NHELP実行支援ライブラリにより、基幹プログラムの90%以上はストレートに移行できるという感触を得ました」と評価するのは、日立システム産業システムサービス事業部マイグレーションセンタUL技師の海老根博之氏。「以前なら一度COBOLに変換しないとWindows環境への移行が難しかったNHELPの移行は、NHELP実行支援ライブラリがタイミングよく2005年4月からWindowsにも対応したことで、移行作業に弾みがつきました」と笑顔で続けます。

こうしてケルと日立システムが一体となって推進したプロジェクトは、基幹系プログラムの凍結期間をわずか4か月に抑えながら、2006年2月にカットオーバーを果たしました。

バッチ処理時間は従来の1/3以下に

基幹系と部門系の双方がオープン環境で統一された新システムは、ケルの業務に大きな変革をもたらしました。「システム間連携がスムーズになったことが、いちばんの収穫です」と笑顔で語るのは、ケル株式会社システム部課長の秋山正樹氏。「従来は基幹系データベースとオープン系データベースのデータを連携させるため、中間プログラムの開発や保守にかなりの人的リソースを使っていましたが、今後はその手間から解放されるのがうれしいですね。また、別々に行っていたジョブスケジューリングもこれまでサブシステムで使用していたジョブ管理製品JP1/AJS2( JP1/Automatic Job Management System 2 )で統合的に行えますし、複雑な仕組みを介さない分、エンドユーザーが感じるスピードやレスポンスも確実に向上しています。次のステップでは基幹系、部門系のデータベース統合も視野に入れています」

さらに、プラットフォームがHA8000複数台による負荷分散構成になったことで、処理能力とスケーラビリティも大幅にアップしました。

「オンライン業務が終わってからの夜間バッチで、特にデータ量の多い月次処理では、これまで翌朝6時頃までかかることが珍しくありませんでした。しかしHA8000に変えてからは、当日中にバッチ処理が終わるため、万一トラブルがあっても翌日のオンラインには支障をきたさないという安心感が生まれました。この差は非常に大きいと思います」(稲田氏)。

稲田氏によれば、バッチ処理時間は従来の1/3以下になったとのこと。情報システム部門スタッフの運用負荷とコスト低減も含めて、レガシーマイグレーション・プロジェクトの目標はすべて達成できたと喜びます。

COBOL資産とスキルを次世代にも活かす

HA8000サーバ
新たな基幹プラットフォームとなったHA8000のサーバ群

さらに、「既存のCOBOL資産と、スタッフのCOBOLスキルがこれからも活かせる環境が整備された点も大きい」と指摘するのは江村氏。「従来はシステム環境や仕様によって、これはCOBOL、あるいはVB(Visual Basic)でなければといった言語の使い分けをしてきました。しかし今後はVBでやってきた部分もCOBOLやOpenTP1の世界で実現できるのではという手応えを感じています。COBOL2002ならWebアプリケーションの作成も可能ですから、新規アプリケーション開発においても、さまざまな選択肢の広がりが生まれてくると思います」

変化の激しいビジネス環境において、企業には今まで以上に迅速な経営判断とIT戦略への反映、コスト意識の徹底が強く求められてきます。その過程において、長年蓄積してきたCOBOL資産をオープン環境でも有効活用できる日立のオープンミドルウェアは、ケルの新たな企業戦略を、今後も力強く支える基盤となっていくでしょう。

ケル株式会社新システム構成概要

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USER PROFILE (2006年3月現在)

ケル株式会社

[本社] 東京都多摩市永山6−17−7
[創立] 1962年(昭和37年)7月23日
[資本金] 16億1,700万円
[売上高] 76億7,000万円
[社員数] 249名
[代表取締役社長] 高橋 和良

特記事項

  • この記事は、「はいたっく」2006年8月号に掲載されたものです。
  • JP1OpenTP1COBOL2002XMAP3の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • 会社名,製品名は,各社の商標もしくは登録商標です。
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