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新しい社会システムのあり方を考えるための問題提起

ビジョンデザインは、未来を描くための日立のデザインの活動です。「未来を描くためのデザイン」というと、未来の商品像を提案する活動がありますが、ビジョンデザインはそれらとは少し違います。日立は社会イノベーション事業を推進しています。社会を支えるシステムの運営には複雑に問題が絡み合っていて、ひとつの会社があるべき姿を示せるものではなくなってきています。そこで、社会を支えるシステムのあるべき姿やその中での日立の役割を探っていくために、議論のたたき台としての将来像を示すのがビジョンデザインです。日立の技術やソリューションを示すのではなく、多くの人が将来の社会システムに関する考えを述べたくなるような、「問い」と「答えの例」を示します。

Society 5.0の具体例

ビジョンデザインはSociety 5.0の姿について具体的に考える活動です。Society 5.0とは、ICTを活用することで、人々に豊かさをもたらす「超スマート社会」を世界に先駆けて実現していく日本政府の取組みです。Society 5.0は、2016年から2020年までの5年間の科学技術政策の基本指針である「第5期科学技術基本計画」の中で示された考え方で、ICTによって経済の効率化だけを目指すのではなく、人が暮らす社会の姿を描こうとしていることが特徴です。では、人々の豊かさとは何でしょうか。人々の豊かさを実現する社会システムの議論を始めるには、人々がその社会でどのようなニーズを抱え、それに対してどのようなサービスが求められるのか、具体的なアイデアを示すことが大切です。アイデアを見た人が好き嫌いのレベルから自由な発想で意見を言えるような具体的な将来の生活シナリオを示し、そこから、より大きな課題についての議論へと発展をさせていきたいと考えています。

人間だけでは出来ない、技術ならではの人への寄り添い方

日立は、新しい技術を導入していくことで新しい社会をより望ましいものへ変えていきたいと考えています。しかし、もしかしたら、街を安全にするために行き交う人の行動を把握する技術を導入することで、かえって住民の緊張や不安を高めてしまうことがあるかもしれません。ビジョンデザインでは、新しい技術が意図せずにもたらしてしまうかもしれない問題や、新しい技術だけでは解決できない問題にも目を向けていきます。これからの時代の社会システムに求められているものはヒューマニティだと考えます。技術には技術にしか出来ない人の生活への寄り添い方があります。それは例えば、長い時間をかけて人では気づくことのできないような生活者の行動のわずかな変化に気づくというようなことかもしれません。人の切実な課題を捉え、それに応える技術を考えることで、社会を変えるシステムのあり方について考え、実現に向けた議論へとつなげていきます。

エネルギー領域のビジョン“Energize Our Future Communities”を表したイラスト

エネルギー領域のビジョン“Energize Our Future Communities”を表したイラスト