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神原 秀記
日立製作所
名誉フェロー
1972年に東京大学理学部化学専門課程博士課程修了後、日立製作所に入社、同社 中央研究所に配属、1994年 主管研究長、2000年 技師長、2003年 フェローを経て2015年より現職。
同社中央研究所では、研究開発に携わり、大気圧イオン化質量分析計(APIMS)、電界イオン化、マトリックスSIMS、 LC/MS (液体クロマトグラフィー・質量分析計結合装置)など、黎明期の生体関連物質用イオン化技術の開発で業績をあげた。特にマトリックスSIMSは後のMALDI TOF MSで使われたマトリックスを用いたイオン化に先鞭をつけたものである。1982年から、世界に先駆けて蛍光式DNAシーケンサーの開発に取り組み、国産初となる蛍光式DNAシーケンサーの開発と実用化を行った。また、高性能なキャピラリーゲルアレーDNAシーケンサーを開発し、ヒトゲノム解読完了を可能にした。開発した技術の重要性はScienceゲノム特集号でUnsung Heroとして取り上げられるとともにBusiness Week 誌でも”Stars of Asia”として取り上げられている。これらの装置はメディカルバイオ分野の基本装置として20年以上の長きにわたって世界中で使用されている。
その後、遺伝子発現プロフィール分析法、遺伝子変異計測技術、SNPsを中心とするDNA変異分析方法、ビーズを用いたプローブアレーなどの開発をおこなった。さらに2006年より文部科学省特定領域研究の代表として1細胞解析技術の開発に世界に先駆けて取り組むとともに、国際会議を継続的に主催している。
2015年日立を退職して名誉フェローとなったが、生体の機能を知るには生体組織の位置特異的な分析が重要と考え、生体微小切片採取装置を他に先駆けて開発、実用化している。これら新しい道具を用いてグーグルアースの生命版のような生体情報システムの実現をめざしている。
これまでに、多くの論文、特許(オリジナル論文127報、解説など54報、特許出願300件以上内特許取得100件以上)を出している。
2002年より”Int Forum on Post Genome Technology”, 2006年より”Int. Workshop on Approaches to Single Cell Analysis”、2014年より”Africa Int. Biotechnology & Biomedical Conf.” を継続的に主催。