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日立ワークスタイル変革ソリューション

【緊急対談】「在宅勤務」を要する不測の事態、どう乗り越えるのか。

【第1回】在宅勤務スタート。道具だけではダメ、今重視すべき3つのポイント

新型コロナウィルスの流行により、“在宅勤務は待ったなし”の社会情勢となり、在宅勤務に対する世間の見方も大きく変わりました。業務は円滑に回っていますでしょうか。今からでも遅くない、仕事を進めるためのヒントになるよう、テレワーク専門のコンサルティング、株式会社テレワークマネジメントの田澤由利氏と鵜澤純子氏、そして日立のワークスタイル変革を推進する荒井達郎と津嘉山睦月の4名が、在宅勤務の勘所をお伝えします。

在宅勤務ができないでは済まされない

田澤: 先ごろからの新型コロナウイルスの流行をはじめ、異常気象や大地震といった自然災害の発生など、企業が在宅勤務を導入する必要に迫られる機会が増えています。とはいえ、「いきなり在宅勤務なんてうちには無理」としり込みする経営者は少なくありません。

そんな経営者の皆さまにまず言いたいのは、「在宅勤務を早く採り入れないと、会社が立ち行かなくなりますよ」ということです。パンデミックの場合、社員に電車通勤させたら感染のリスクが高まる。だからと言って、休ませたら事業が止まってしまう。そうなると、まず困るのは経営者ですよね。通常時の50%でも60%でも事業を走らせるために、在宅勤務ができるようにしないといけないのは自明です。

荒井: 多くの経営者と話をして感じるのは、「在宅勤務なんてうちの会社には関係ない」と考えている方がいまだにいらっしゃることです。でも、介護や育児といったライフイベントは職種に関係なくどの社員にも起こりうることですよね。会社が在宅勤務を認めてくれないとなったら、辞めざるを得ない社員がたくさん出てきます。さらには人財が集まらなくなり、結果としてESG*の評価も低くなって投資もされなくなる。そういう会社は、いずれ淘汰されてしまうと思います。このように長期的な観点からも、在宅勤務を採り入れないことは社会にとって大きなリスクになるのです。

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ESG:企業の長期的な成長のためには、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つの観点が必要だという考え方。

田澤: そう考えると、在宅勤務を要する不測の事態の発生は不幸なことではあるけれども、選ばれる企業へと変われるチャンスかもしれません。

1つめは「コミュニケーション」ができなければ仕事が進まない

田澤: 経営者が在宅勤務に踏み切れない一番の理由は「部下をマネジメントできないのではないか」という不安です。サボっているのではないか、あるいは、働きすぎてしまうのではないか……。会社にいたら顔を見て「そろそろ上がれ」と言えるけど、オンラインだとそれが見えない。そうした不安解消のために、在宅勤務のための就業規則を作ればいいと考えている企業もありますけど、規則だけではダメなのです。大事なのは、在宅勤務でも会社と同じように社員が働けるしくみを、ITを使って用意することなのです。

では、在宅でも普段どおりに仕事できるようにするためにはどうすればよいか。まずは、先ほどの部下の顔が見えないという不安を解消するためにコミュニケーション環境を整備する必要があります。同じように、部下の立場としても、しっかり仕事ができていることが伝わっていると感じられれば、安心して業務に取り組むことができます。

そこで、わたしが提案しているのはWeb会議システムを上手に使って「離れていてもみんなの雑談が聞こえる環境」を構築することです。「あの案件、どうなった?」と聞いたら、メールなどを介さずに「今こんな状態です」とすぐに声が返ってくる。そんな環境なら、在宅でも仕事は円滑に進みます。「テレワークを実施したいけれど何から手をつけていいかわからない」という企業に、わたしはこうしたコミュニケーション環境から着手することをおすすめしています。

津嘉山: 日立でも約20万人の社員が、Microsoft® Office 365®を利用して場所に捉われないコミュニケーションを実現しています。チャットやファイル共有、オンライン会議などを利用すれば、社内でも在宅でも円滑な意思疎通が可能です。ITツールを上手く活用すれば、共働作業も距離の壁を超えてスムーズに行えます。

荒井: 「ちゃんと職場に出勤して部下の様子を見ていないと、業務が滞ってしまう」と考えてしまう、ある種の責任感が強い人ほど、在宅勤務に抵抗がありそうな気がします。そういう方にも、1日だけでもいいからさまざまな環境を利用して在宅勤務を経験してみてほしいと思います。

田澤: そうですね。そうすると、部下の顔が見えなくても意外と会社って回るんだなと気づきます。まずはやってみることがとても重要です。

2つめは「情報共有」ができなければ、仕事ができない

田澤: もう1つ整備しなくてはいけないのが、会社にいなくても情報共有できる環境です。

津嘉山: 育児や介護のためだけでなく、自身の病気や事故でどうしても会社に行けない、でも仕事は進めなきゃいけないという事態は誰にでも起こりえます。そういう時に社外からでも必要な情報にアクセスできないと、業務が止まってしまいますからね。

田澤: 在宅勤務を行う上で重要なのは、情報の「属人化をなくす」ことです。要するに、特定の社員しか必要な情報を扱えない状態が、情報の属人化です。在宅勤務の導入をきっかけに、社員の情報共有の手段としてクラウドを活用することで、情報の属人化を防ぎ、社員がいつどこにいようとも業務が滞ることがなくなります。

鵜澤: また、「この仕事はわたしじゃないとできない」と思って情報を手元に囲っている社員ばかりだと、いつまで経っても属人化は解消しません。そういう意味で、在宅勤務を始めることは社員の情報管理に対する意識改革を促し、セキュリティが許す限りの情報共有を推進させ、たとえ社員の誰かが不在だとしても業務を止めないことにつながります。

また、在宅ではできない店頭でのお仕事にも、パソコンを使うような業務はあると思います。その業務を、情報共有により他の社員が在宅で行えれば、店頭で働く社員の労働時間を短くできたり、さらにはビジネスのスピードも上がるかもしれません。

津嘉山: 大切なのは、働く場所をオフィス前提で考えるのではなく、「人」を中心に考えることです。誰もが、いつでも、どこでも、オフィスにいるのと同様に普段通りの仕事ができる。それをめざしてコミュニケーションや情報共有の仕掛け、さらにセキュリティを整えることが重要だと思います。

3つめは「マネジメント」ができなければ、生産性が上がらない

荒井: 「在宅勤務だと集中できない」「生産性が下がってしまう」という声も聞きます。

田澤: 「在宅勤務だから家で仕事してください」だけでは、会社ではどんなにシャキッとしている人でも、自宅にいたらちょっとはダラダラしてしまうものです。時間の管理も難しいですし、お子さんがいたりすると、集中できないこともあるでしょう。だから管理者としては、社員のその日のタスクを確認して、オンラインで進捗がわかるようなIT環境を準備する必要があります。
やっぱり、ほったらかしにするのは、メリハリがなくなってよくないと思います。

荒井: 風土の面から言うと、普段から社員一人ひとりが主体的に仕事を進められる組織づくりに取り組むことも重要だと思います。上からの通達や指示を待つような仕事の仕方だと、生産性の高い在宅勤務は難しいでしょう。慣れないWeb会議だと、どうしても発言しにくいなんてこともある。離れたところで仕事をしているチームメンバーを信頼し業務を進めるためには、日頃から何か疑問や不安があったら忌憚(きたん)なく意見を言い合える関係づくりが大事ですね。
こうした風土は、一朝一夕にはできないものですし、時間をかけて醸成していくものだと思います。

田澤: 現在のような「在宅勤務を始めなくてはいけない」と緊急を要する場合には、やはりしり込みせずに在宅勤務をやってみることです。また、今般のような事態で明らかになった課題は記録をしておき、みんなが働きやすい環境を整えるための材料にすることで、徐々に風土も育っていきます。そんなスタンスが、企業に求められていると思います。

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本記事は、2020年3月9日に取材をした内容を、リライトしたものです。

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