ページの本文へ

Hitachi

日立ワークスタイル変革ソリューション

株式会社 日立製作所 働き方改革ソリューション本部 主任技師 藤田 卓也

株式会社 日立製作所
働き方改革ソリューション本部
主任技師
藤田 卓也

株式会社 日立コンサルティング デジタルイノベーション本部 ディレクター 青山ゆき

株式会社 日立コンサルティング
デジタルイノベーション本部
ディレクター
青山ゆき

  • * 所属・役職はセミナー配信時点のものです

ハンコ、ペーパー、固定電話がコロナ禍の出社要因に

コロナ禍、多くの企業で在宅勤務が推進される中、オフィスでの押印業務、紙文書の処理、固定電話対応などにより、出社せざるを得ないという課題がある。

「日立では以前より進めていた脱ハンコ/ペーパーレスなどの業務改革を、ニューノーマルにおける新たな働き方の実現に向けて、より多くの業務に取り入れ、さらなるオフィス改革を推進しています」と日立製作所 働き方改革ソリューション本部の藤田卓也は語る。

日立では2021年度中に社内の押印業務を全面的に廃止し、業務プロセスの見直しと併せて、インターネットを活用したフローシステムに移行する。また社内のペーパーレス推進プロジェクトの立ち上げ、日立グループとしての国内における年間の紙使用量を、7億枚(2019年度実績、A4換算)から2020年度は約70%(約5億枚)を削減し、環境負荷の低減にも貢献していくと発表した。

そして日立はコロナ禍以前より、固定電話からスマートデバイスへの移行に着手しており、すでにさまざまな成果を得ている。

「現在、在宅勤務の実現に向けて、暫定的な対策でハンコ、ペーパー、固定電話に関する課題に対応している企業が少なくないようです。しかし在宅勤務が常態化するニューノーマルを見据えると、今から抜本的な改革を進める必要があるでしょう」と藤田は指摘する。以降で、それぞれの課題解決のポイントについて解説する。

「本人性の確認」と「非改ざん性」の実現が、脱ハンコの鍵

脱ハンコの円滑な進め方について解説するのは、日立コンサルティング デジタルイノベーション本部の青山ゆきだ。

「菅政権の目玉政策である脱ハンコですが、もちろん単にやめればよいというものものではなく、作られた書類の『本人性の確認』と『非改ざん性』をデジタルツールによって証明することができて初めて脱ハンコが可能になります」

ハンコに代わる機能を実現するデジタルツールには電子署名をはじめ、さまざまなものが存在する。

まず電子署名には、認証局から取得した電子証明書を使って当事者しかできない署名をすることで実印レベルの証拠性を実現する「当事者型電子契約サービス」と、事業者のサービスなどを利用して認証を行いサインの画像データを証拠とする「事業者型電子契約サービス」の2つのタイプがある。また社内業務では職印や認印が使われており、これらは必ずしも高い証拠性を必要としない。そうしたシーンでは、「ワークフローシステム」、「情報埋込型電子印鑑」、より手軽な「印影画像型電子印鑑」などがハンコの役割を果たすことになる。

こうしたツールを適材適所に導入するわけだが、青山は計画の推進において重要なことが4つあると言う。

「1つめが電子契約サービスだけでなく、ワークフローや電子印鑑なども利用して総合的に脱ハンコを進めること。2つめが、デジタル化された文書をどう保存するかまで検討すること。3つめが、移行過程における紙と電子の混在も考慮して計画を進めること。そして4つめとして、取引先の要望などで複数のサービスを使わざるを得ない場合の対応なども検討しておきましょう」と、青山は脱ハンコのためのポイントをまとめた。

自社のペーパーレスのレベルを見極め、適切な施策を

ペーパーレスの検討について、引き続き青山が解説する。

「計画のスタートは、まず企業内の文書の分類からです。文書によって各種法令での保存義務や電子化の要件を考慮するポイントが異なります」

企業内の文書には法定書面とそれ以外があり、法定書面は大きく分けて「国税関係帳簿書類」と「国税関係帳簿書類以外」の2種類がある。法定書面はe-文書法*で電子保存が容認されおり、示されている要件に則して保存を行う必要がある。中でも「国税関係帳簿書類」については電子帳簿保存法でさらに詳細な保存要件が定められている。なお、それ以外の文書の電子化は企業の裁量に任されており、法的要件を満たしながらペーパーレスを進めることになる。

*
「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成16年法律第149号)と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成16年法律第150号)の総称

「ペーパーレスのレベルは3段階あると考えられます。ほとんどの業務を紙で運用している状態がレベル0だとすると、レベル1は社内の打合せ資料など一般的な文書が電子化されている状態。レベル2は、レベル1を満たし、社内業務を中心に申請、承認、報告業務の電子化および取得した文書の電子化がされている状態。レベル3が、レベル2を満たし、法定書面やデジタルエビデンスに該当するような難易度の高い文書の電子化がされている状態です。多くの企業は、レベル1かレベル2の段階です。しかしニューノーマルな働き方に向けて、今後はペーパーレスの難易度が高いとされる法廷書面などの電子化、すなわちレベル3の段階にまでペーパーレスレベルを引き上げる必要があります」

各レベル別の施策のポイントは、レベル1では、電子文書のスマートな業務活用。レベル2では、ワークフローの適切な導入。そしてレベル3では、法定書面のペーパーレス化にどう取り組むかに加え、電子契約の実現なども重要になってくる。

「どのレベルでも言えることは、電子文書の作成から保存に至るライフサイクルのデジタル化を考えること。その時、『ペーパーレス』と『脱ハンコ』を組み合わせた検討も欠かせないでしょう」と青山は指摘する。脱ハンコの目的は、生産性の向上であり、在宅勤務の実現だ。日立コンサルティングでは、ペーパーレス推進のための包括的なコンサルティングからレベル別のメニューまでトータルに用意している。

固定電話は、利便性、コスト、働き方の3つの観点で見直す

続いて、固定電話見直しに関する施策について、藤田が解説する。

窓口業務や顧客電話対応などを在宅で実現するために、またコロナ前からの業務効率向上などの課題を解決するために、いまさまざまな企業で固定電話の見直しが進んでいる。

「固定電話の見直しにおいては、どのサービスを利用するか、どのデバイスを利用するか、どの新技術を採用するかなど、検討すべき内容は多岐にわたります。自社に適切な環境を実現するためには利便性、コスト、働き方の3つの観点から検討を進めることが大切です」と藤田。

まず「利便性」を高めるためには、乱立するコミュニケーションツールの統合や社内システムとの連携の検討がポイントになる。また「コスト」を最適化するためには、利用者への最適構成の提供、新しいサービスの積極利用がポイントとなる。そして新しい「働き方」のためには、ニューノーマルを見据えた新しい発想で考えることがポイントだ。

「弊社の場合は、業務フローを変えることも含めて、固定電話環境を見直しました。例えば、保留や転送を折り返し電話に変更する、あるいは部門の代表番号をやめて複数担当者の携帯番号を通知する、といった見直しです。また問い合わせ業務は、Web問い合せやメール問い合わせなども活用しています」。そして全社一律にではなく、業務別や部門別、ペルソナ別に、利便性を上げつつコストを下げる方法を検討することが、さらなる働き方改革の実現にとって大切だ。

「日立では『内線電話アセスメントサービス』により、データ分析による『現状の把握』、従業員へのアンケートなどによる『ヒアリング・調査』を行い、さらにそれらの結果に基づく『課題抽出』と『解決策の検討』を実施し、ニューノーマル時代の新しいコミュニケーション環境の実現を支援します」と藤田。

ここまで、脱ハンコ、ペーパーレス、固定電話の見直しについて日立の知見を紹介してきたが、日立はこれら以外のさまざまな課題に対応し、お客さまの在宅勤務の実現をトータルに支援する用意がある。ぜひご相談いただきたい、と藤田は講演を締めくくった。

関連サイト

私たちが取り組む新しい時代の働き方 日立テレワークセミナーレポート