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日立ワークスタイル変革ソリューション

  • 株式会社 テレワークマネジメント 代表取締役 田澤 由利

    株式会社 テレワークマネジメント
    代表取締役
    田澤 由利
  • 株式会社 日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 主管技師長 兼人事総務本部 働き方改革エバンジェリスト 伊藤 直子

    株式会社 日立ソリューションズ
    スマートライフソリューション事業部
    主管技師長 兼人事総務本部
    働き方改革エバンジェリスト
    伊藤 直子
  • ファシリテーター 株式会社 日立製作所 働き方改革ソリューション本部 GL主任技師 吉田 章

    ファシリテーター
    株式会社 日立製作所
    働き方改革ソリューション本部
    GL主任技師
    吉田 章宏
  • * 所属・役職はセミナー配信時点のものです

横のコミュニケーション量が減っている

在宅勤務が長期化する中で顕在化した課題のうち、「コミュニケーションの難しさ」は、誰もが実感していることのひとつだろう。そこで、テレワークのコンサルティングで豊富な実績を持つテレワークマネジメントの田澤由利氏と日立ソリューションズの働き方改革エバンジェリストである伊藤直子氏が、ニューノーマルにおける新しいコミュニケーションの形についてリモートで語り合う特別対談が行われた。

まずファシリテーターである日立製作所 働き方改革ソリューション本部の吉田章宏が、次のようなデータを提示した。

吉田:「これは日立製作所のサーベイ結果ですが、業務指示など上司と部下の縦の会話が増えているものの全体のコミュニケーション量が減っています。これによって部署のメンバー間の横の会話が減少していることが想定されます。お客さまからも、こうした同様の危機感を感じていらっしゃる声をいただいています。このような、コミュニケーションに関する課題に果たしてどのような解決策が考えられるのか、今日はテレワークのエキスパートであるお二人にいろいろと示唆を頂戴したいと思います」

オフィスにあった一体感が薄れている

横のコミュニケーションの減少という課題に対して田澤氏は、社員が集まるオフィスの良さを在宅勤務のしくみに盛り込むことが重要だと指摘する。

田澤:「長期化するテレワークの中で多くの人が気づいたのが、みんなが集まるオフィスって大事だったんだ、ということです。クラウドシステムやウェブ会議で業務はこなせますが、ふと気づいたことを仲間に相談する、昨日あったことをランチの時に雑談するなど気軽なコミュニケーションが難しく、実はこれが業務に大きな意味があったということに今回あらためて気付いたのではないでしょうか」


田澤氏の資料より

伊藤:「当社のサーベイでもコミュニケーションに関する困りごととして、担当者の状況や雰囲気がわかりにくい、雑談が足りない、気軽に会話するきっかけがほしい、などの声があがっています。これはオフィスにあったみんなの存在感を在宅勤務では感じることができず、そこに業務上の支障を感じているのだと思います」


伊藤氏の資料より

しかし、昔の働き方に戻りたいわけではなく、柔軟な働き方ができるテレワークは続けたい。それならば離れていてもオフィスのようにコミュニケーションができるしくみが必要になる。

みんなが集まるオフィスをクラウドにつくる

横のコミュニケーションを復活させるために田澤氏、伊藤氏、ともに提案するのが、クラウド上につくるバーチャルオフィスだ。

田澤:「私どもの会社では、社員は通常、東京、北海道、奈良など、それぞれ全国の自宅にいながら毎日、クラウド上のオフィスに出社しています。こちらがオフィスになりますが、社員のデスクや会議室、社長室などがあって、出社している社員のアイコンも見えます。ちょっと、声をかけてみますね」

田澤氏が共同作業室をクリックし、呼びかけると、そこにいた社員たちの映像が画面に現れ、すぐにコミュニケーションを図ることができた。


テレワークマネジメント社のバーチャルオフィス画面

田澤:「社員たちは実際には、最大で1,300キロぐらい離れていますが、このクラウドのオフィスで気軽に声をかけ合いながら、いっしょに仕事をしています」

続いて伊藤氏が、自社で使っているWalkabout Workplaceというバーチャルオフィスを紹介した。

伊藤:「このようなフロアを俯瞰(ふかん)したデザインになります。朝ログインするとみんながどんどん増えてくるのが、リアルなオフィスのようでうれしいですね。また、席や会議室で、いま誰と誰が打ち合わせをしているのかなどを見ることができるのも、意外と安心する情報です。
バーチャルオフィスは、フロアを俯瞰(ふかん)できるので、メンバー全体の様子が一目で見渡せるのが利点です。そして、話したい人の席や社員が集まる打ち合わせスペースなどをクリックすれば、オンラインミーティングが即座に立ち上がり、気軽に会話を始めることができます。


日立ソリューションズが活用するバーチャルオフィス

私たちはこのバーチャルオフィスで、雑談やちょっとした相談などリアルなオフィスと同じようなコミュニケーションを再現することで一体感を高めていこうと、日々取り組んでいる状況です」

バーチャルオフィスを効果的に使う運用の工夫

吉田:「どちらも大変魅力的な試みだと思いますが、こうしたITツールは、導入してもなかなか使ってもらえない、活性化がされないということも多いかと思います。使い方や運用のルールなどで工夫している点などありますか?」

伊藤:「まだ使い始めたばかりで、いま徐々に利用者が増えている状況ですが、やはり、雑談してくださいと言われてもなかなか難しいという声があがりました。そこで、いまさまざまな運用上のサポートをしているところです。例えば、雑談のためのチャットグループを推奨して毎朝業務をはじめる前におしゃべりしましょう、ですとか、誰でも入れる『憩いの部屋』をつくって気軽に集まって雑談・休憩しましょう、ですとか、会話のハードルを下げるためのさまざまな取り組みを試しています」

田澤:「これは当社が小規模だから言えることかもしれませんが、利用者を増やすためにはログインを義務付けることもひとつのやり方だと思います。リアルな出社と同じですね。また、みんなに気軽に会話してもらうために、集中が必要な仕事のとき以外は共同作業室にいるように、これもルール化しています。つまりここにいる時は『雑談可』というステータスだということです」

連絡可能や応答不可といったステータスの切り替えは、面倒なこともあり使われないケースも多い。そこで共同作業室や電話室や応接室など、そこにいることがステータスを表すスペースを田澤氏はバーチャルオフィス内に数多く用意しているのだと言う。

田澤:「移動はクリックするだけで簡単だし、同僚からは電話室にいれば電話中、応接室にいれば接客中だとビジュアルに相手の状況がすぐにわかります。そして共同作業室では、誰かがマイクをオンにしてしゃべったらそこにいる全員が聞こえるようにして、ちょっとしたきっかけから会話が広がるように工夫しています。やはり利用促進には、ある程度のルール化が必要だと思います。あと、このバーチャルオフィスでは毎朝9時にラジオ体操を流すのですが、やるのはルール化していません(笑)リアルに近い機会を作ることが重要だと思っています」

リアルなオフィスになくて、バーチャルオフィスにあるもの

伊藤:「当社には、お客さま先に常駐しているエンジニアが多いのですが、リアルに出社していた時代には、オフィスに来る機会も少なく、彼らとはあまり会うことはありませんでした。でもバーチャルオフィスだと、毎朝、あ、この人も業務を始めたな、とわかります。そして気軽に意見を交換したりすることができる。リアルに出社していた時代よりも密接になった感じがします。これはバーチャル空間だからこそのメリットですね」

田澤:「バーチャルオフィスでお客さまとの打ち合わせ中、技術的な質問があり、これはエンジニアに聞いた方がいいなと思ったら、すぐに会話に参加してもらうこともできます。こういうこともリアルの世界では簡単にはできなかったことです」

ニューノーマル時代のワークスタイルとは

伊藤:「いま、各社でオフィスを削減しようという動きが活発です。今後、部署の全員が同じオフィスにリアルに集まるということは、ますます減るでしょう。そしてその代わりに、毎日バーチャルオフィスにみんなで集まるというのが、これからの働き方の主流のひとつになるのだと思います。

ワークはライフの中の一部です。ニューノーマルは、ライフを大切にしながら、自律的にやりがいをもってワークする時代だと思います。そのためには、時間や場所を超えて仲間との一体感を感じながら仕事ができるツールが必要であり、そのひとつがバーチャルオフィスだと言えます。変化の激しい時代ですからこうしたテクノロジーをどんどん使って、時代に合わせてポジティブに変わっていく力が会社にも人にも必要ではないでしょうか。

最後に田澤氏が語った。

「いま、私たちは日常的にリモートで働き、リアルに同僚と会うことはとてもスペシャルな時間となっています。
来るニューノーマルの時代には働く場所はさらに柔軟になり、それぞれ地方に住む社員と各地のオフィスやサテライトオフィスにいる社員たちが共同で働くことになるでしょう。その時、このようなバーチャルオフィスがリアルに会うことの良さをテレワークに盛り込み、コミュニケーションから距離の壁を取り払ってくれると思います」

関連サイト

私たちが取り組む新しい時代の働き方 日立テレワークセミナーレポート