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Hitachi

2019年10月、東京国際フォーラムにおいて「Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYO」が開催され、大勢のご来場者に、社会のさまざまな課題を解決する社会イノベーション事業の最新の事例や取り組みなどをご紹介しました。ここでは、会場にお越しになれなかった方のために、編集部が会場でキーパーソンにインタビューした、お客さまとの取り組み事例や経営課題解決につながるヒントなどをご紹介します。


「PBI認証」との連携で高度なガバナンスを実現する就業管理システム


PBI認証について田辺謙英さんに伺いました。


さて、ブロックチェーンでデータ共有基盤を実現しても、データの登録段階でのなりすましを許してしまうと研究データの信頼性は損なわれます。そのために日立は、ブロックチェーンの利用者の厳格な本人認証を行うためのライブラリを用意しています。それが、Public Biometric Infrastructure=公開型生体認証基盤を活用した「PBI認証」です。田辺さんに伺います。よろしくお願いします。
はい。実は暗号資産(仮想通貨)の流出事件のほとんどは、ずさんな管理による秘密鍵の漏えいに端を発しています。
ブロックチェーンでなくとも、暗証番号やICカードの管理は頭の痛い問題です。
そうなんです。そこで日立は、ブロックチェーンに生体情報を用いた電子署名技術を融合させた「PBI認証」を開発し、ソリューションの展開に取り組んでいます。「PBI認証」は、セキュリティや分散トランザクションの研究員およびエンジニアによる協創活動を通じて開発されたもので、利用者は秘密鍵を管理する必要がなく、紛失や漏えいによる不正利用といった課題を解決します。
なるほど。これはあらゆるシーンで威力を発揮しそうです。
そうした適用例のひとつとして日立では、「PBI認証」による就業管理の実証実験を進めています。
いま、働き方改革でテレワークなどが進み、誰が、何時に、どこで働いていたのかの管理が大変になってきています。また、改正された労働基準法の遵守も企業にとって重要です。その時、ブロックチェーンに生体情報を用いた電子署名技術を融合させた「PBI認証」によって複雑な就業管理を厳格に、しかも容易に行うことができます。 今回の展示会では、それをデモで体験いただけます。では進めていきましょう。


Proof of Work/品川事業所 トップ画面

まず生体情報の登録です。登録はこの端末に指を4回通して、名前を入力すれば完了です。


PBI端末

はい。通しました。簡単ですね。
そしてこちらに並んだ端末がそれぞれの事業所という設定になっています。では、いま品川事業所に着いたということで、こちらの端末に指を通してください。


Proof of Work dialog guest/品川事業所 打刻画面

通しました。あっ、品川事業所の画面に打刻されたことが表示されました。


Proof of Work registered guest/品川事業所 打刻後トップ画面

これで、この時間に品川事業所で就業を開始した、というデータがブロックチェーンに上がりました。このブロックチェーンのデータは、本番運用時には企業と労働組合で共有されることを想定しており、万が一企業が労働時間の超過を改ざんしようとしても労働組合に見られているためできませんし、なりすましによる労働時間のごまかしもPBI認証によって不可能です。
そして、手ぶらだからストレスなく利用できます。
はい。カードを忘れて打刻できないといったこともありませんし、パスワードを思い出す必要もありません。管理者的には、カードの用意、配布、更新、回収、廃棄などにかかる手間やコストが軽減されるのは大きなメリットではないでしょうか。
これまでの就業管理システムに比べて、誰もが使いやすく、そしてはるかに高いガバナンスを実現できるしくみを提供できると考えています。
ありがとうございました。