Coop Groupはスイスのバーゼルに本社を置く小売、卸売、食品製造の大手企業です。大規模な小売事業をスイス市場中心に展開していますが、卸売事業はヨーロッパ全域で展開しています。Coop Groupの従業員数は91,000人、小売店舗数は約2,500店、年間売上高は302億スイスフラン(327億米ドル)になります。

生鮮食品は、バランスの取れた多様な食生活の中心であり、高品質な生産物を常時店頭に並べ、オンラインで購入できるようにすることは、Coop Groupにとって重要な課題です。複雑でペースの速い大規模サプライチェーンを管理するには、高度なロジスティクスプロセスと迅速な意思決定が必要となります。

14カ所の物流センター関連のロジスティクスを効率的に運用することが、小売事業成功の鍵となります。顧客が毎日新鮮な果物、野菜、パンなどの必需品を入手できるようにするには、データ分析と高精度な予測が大変重要になってきます。それには配送を最適化し鮮度を最大限保持するための地域の気象状況なども含まれます。

「適切な時期に、適切な量の生産物を、完璧な品質で、適切な小売店舗に届けるのが、我々の目標です。顧客満足度を維持し、収益を拡大するためには、このことが不可欠です。生鮮食品を扱う場合、信頼性が最も重要です。遅延は許されません。日々円滑にプロセスを実行しなければなりません。」とCoop GroupのITストレージ・モニタリング部門責任者クリスチャン・ハスラー氏は言います。

Hitachi Vantara LLC(以下、日立ヴァンタラ)と協力しながら、シングルベンダー・ストレージ戦略をとることで、インフラを簡素化・標準化しました。信頼性が高く、コスト効率の高いソリューションのおかげで、在庫を確保し、スイス全土のお客様に最も新鮮な生産物をお届けすることができます。これにより、当社の売上が増大するだけでなく、お客様がバランスの取れた食生活を維持する手助けができます。

タイムリーなロジスティクスプロセスと円滑な食品配送を実現するため、Coop GroupはITパフォーマンスを注意深く監視しています。同社はデータ量が大幅に増大していることを認識し、積極的なアプローチとしてデータ・ストレージ・インフラの拡張を決定しました。

Coop Groupは、1.5PBのオールフラッシュ・ストレージ容量を持つHitachi Virtual Storage Platform (以下、VSP) 5500を中心とする新規インフラを選択する前に、複数のベンダーを幅広く評価しました。「日立ヴァンタラは、非常にパワフルで信頼性が高く、成熟したシステムアーキテクチャを、納得のいく価格で提供してくれます。日立ヴァンタラと以前一緒に仕事をして、サポートチームが我々のビジネスを円滑に進めてくれることを実感しました。」とハスラー氏は言います。

高度に統合されたストレージソリューションは、幅広いワークロードに対応します。VSP 5500は、IBM® Power Systemsサーバ上で稼働するミッションクリティカルな30個のSAPアプリケーションを実行するために、低レイテンシーを実現しています。この仮想化環境では、IBM PowerVM®を使用して、IBM AIX®オペレーティングシステム上でSAP ERPとOracle Databaseを、SUSE Linux Enterprise Server上でSAP S/4HANAとSAP HANAを、SAPアプリケーション向けに実行します。さらに、VSP 5500は、約3,000個の仮想マシンをサポートする大規模なVMware vSphere環境も稼働させます。Hitachi Universal Replicator (HUR)ソフトウェアを使用して、すべてのデータはセカンダリ・データセンターにミラーリングされ、高可用性と事業継続性を確保しています。

ITチームは日立ヴァンタラと協力して、新規ストレージインフラにデータをシームレスに移行しました。「日立ヴァンタラのプロフェッショナルサービスのおかげで、エンドユーザーに影響を与えることなく、通常の業務時間内にバックグラウンドですべてのデータを移行することができました。global-active device技術のおかげで、このような段階的な移行戦略が可能となり、プロセス全体を通じてビジネスリスクを低減し、顧客向けパフォーマンスを最大化することができました。」とハスラー氏は振り返ります。

Coop Groupはまた、高速でシンプルなファイルアクセスと共有ドライブを実現するため、VSP Unified Storage for NAS G600 とfor G400をオールフラッシュで導入しました。また、標準化の一環として、VSP G350アレイを採用し、14カ所の物流センターにおける複雑性の低減と信頼性の向上を図っています。

Coop Groupは、OpenTextソフトウェアによる監査対応アーカイブと、製品やマーケティング向けの高解像度の写真を保存するために、Hitachi Content Platform (HCP)を利用しています。さらに、VSP G900とHCPは、同社のバックアップ・リカバリプロセスに欠かせません。

「ランサムウェア攻撃に対する保護機能を強化するため、3層バックアップアーキテクチャを構築しました。まず、VSP G900のディスクにバックアップを取り、リカバリ時間を短縮します。次に、セキュリティを強化し、データやバックアップを上書きまたは暗号化する攻撃から保護するために、データをHCPに移行します。最後に、業務データをテープに移し、セキュリティのレイヤーを増やします」。とハスラー氏は説明しています。

現在、Coop Groupは、新規インフラストラクチャの高い信頼性と性能によって、最も重要なビジネスアプリケーションの可用性を最大限に高め、信頼性の高い顧客サービスを常時提供しています。

ストレージ性能の向上は、同社の大規模なSAP Business Warehouseアプリケーションにとって特に重要です。日々の注文を確定するためには、レポートを迅速に作成・更新できることが、分析の決め手となります。「当社の予測とロジスティクスにとって、スピードは非常に重要です。複雑な分析タスクを迅速に実行できるおかげで、生鮮食品の無駄を最小限に抑え、売上を最大に増やせます。」とハスラー氏は言います。

Coop Groupがインスタンスを再起動する際は常に、新規ストレージシステムは真価を発揮します。16TBの巨大なシステムをオンラインに戻すには、非常に高速なデータスループットが鍵となります。SAP HANA を 30 分以内に再起動できるため、スタッフや顧客への影響を最小限に抑えられます。Coop Groupはまた、ディスクからの迅速なデータ復旧を可能にすることで、バックアップ・リストア処理を高速化しています。

「日立ヴァンタラが他のベンダーと決定的に違うのは、シームレスでシンプルなコラボレーションができるということです。日立ヴァンタラとの協業は非常に容易で、協業を阻害するような複雑なプロセスはありません。我々の環境を熟知している優秀なエンジニアと信頼関係を築いてきました。日立ヴァンタラは、肝心な時に非常に柔軟に対応してくれます。例えば、予期せぬ性能上の問題が生じた際は、臨時のインフラに素早くアクセスできるよう対処してくれます。」とハスラー氏は言います。

Coop Groupは監視と最適化のために、日立ヴァンタラのパートナーであるpeaq GmbH社と共同で提供されるIOportalサ−ビスを利用しました。このパッケージには定期的なレビューと詳細な分析が含まれているので、Coop Groupはコスト効率よくストレージ戦略を立て、peaq社の専門コンサルタントから最新のベストプラクティスを学べます。

「日立ヴァンタラと協力しながら、シングルベンダー・ストレージ戦略をとることで、インフラを簡素化・標準化しました。信頼性が高くコスト効率の高いソリューションのおかげで、在庫を確保し、スイス全土のお客様に最も新鮮な生産物をお届けすることができます。これにより、当社の売上が増大するだけでなく、お客様がバランスの取れた食生活を維持する手助けができます。」とハスラー氏は最後に語っています。