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コラム・インタビュー

4.運行中のドライバーの生体情報をデータ化し事故を未然に防ぐ

産・官・学連携で共同研究

「運行前後(点呼)のドライバーの生体情報、運行中の車両挙動とドライバーの生体情報を通知することにより、AIで分析・判断、異常検知するといった運行管理ができれば、事故の未然防止につながります。しかし、運行中の生体情報と事故リスクの相関関係の研究は世界的にも例がありませんでした」と南雲氏。そこで日立物流では、理化学研究所の渡辺恭良教授、大阪市立大学の倉恒弘彦教授の協力を得て、産・官・学連携の共同研究に取り組みました。「研究では、ドライバーの体調からくる事故を事前に予測するため、1,200人日*4に及ぶドライバーの運行前後と運行中の生体情報とそのときの車両の挙動、つまり急発進・急ブレーキ・急ハンドル・車間距離不足などのデータを詳細に取得しました。そのうえでドライバーの疲労と事故リスクの相関関係を導き出し、日立と連携してアルゴリズム化することで、ロジックとしてシステムに組み込むことを実現しました」。こうして運行前・運行中・運行後にわたるドライバーの生体情報を測定した結果や体調推移を可視化できる安全運行管理ソリューション、SSCV-Safetyが開発されたのです。

5.ドライバーと管理者が協調して安全性を向上させることが可能に

SSCV-Safety導入の効果

日立物流では、グループ会社の全車両にSSCV-Safetyを導入後、グループ全体で漫然運転に起因した「事故ゼロ」を実現しています。さらに事業所では、総インシデント(ヒヤリ・ハット)発生件数が80%減少した例もあります。「導入の効果として、安全対策という当初の目的以外に『エコドライブ(燃費改善)効果もあり環境貢献にもつながった』『管理者とドライバーとのコミュニケーションが活性化した』『ドライバー自身が体調管理に気をつけるようになった』などの声もあがっています。また、一人ひとりの運転の見える化を実現したことで管理者の公正なドライバー評価とドライバーへの適切な指導も可能になりました。こうしたナレッジの活用による継続した教育サービスを構築し、プラスアルファの付加価値を提供していきます」と南雲氏。

SSCV-Safetyがもたらした導入効果

SSCV-Safetyがもたらした導入効果

将来の展望

日立物流では2016年以降、自社やそれを支える輸送事業者に「安全管理」「安全対策」を推進してきました。また自社内にとどまらず、同業他社さらにはバス、タクシーといった旅客車両や営業車両など、同様の悩みを抱えている企業へ提供することで「事故ゼロ」社会をめざしています。一方、日立では物流分野において、AIやIoTなどのデジタル技術を活用したLumadaソリューション「Hitachi Digital Solution for Logistics」を基盤とし、配送計画を自動立案する「配送最適化サービス」などを展開しています。 こうした両社の持つ技術・ノウハウを結集することにより「輸送デジタル化とオペレーションへの活用」が実現でき、安全・安心で効率的な運営が可能になります。将来的には「業務の効率化」「持続可能な経営」といった輸送事業者が抱えるあらゆる課題に対して包括的なデジタルサービスを提供し、柔軟かつ持続的なロジスティクスをめざします。さらには、人々が快適に過ごせる社会の実現に向け、ロジスティクス分野から豊かな社会づくりに貢献していきます。

*1
(公社)全日本トラック協会『日本のトラック輸送産業 現状と課題』2020年3月発行
*2
(公社)全日本トラック協会『事業用貨物自動車の交通事故の発生状況』2020年9月発行
*3
「ハインリッヒの法則」=事故の発生についての経験則
*4
1人からデータを取得した場合、1,200日分

関連リンク

2021年4月1日付けで日立キャピタル株式会社は、三菱UFJリース株式会社と合併し三菱HCキャピタル株式会社になります。

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