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コラム・インタビュー

2.安全運行管理ソリューションが物流企業の経営支援のカギを握る

トラック輸送業の現状

株式会社 日立物流
SSCV強化グループ長
南雲秀明なぐも ひであき

日立物流のSSCV強化グループ長である南雲秀明氏によると、「日本の物流トラック輸送業は、従業員50名以下の中小企業で9割以上を占める構造になっています。さらに詳しく見ると10名以下の企業も全体の約5割を占めます。*1ここを支えていかなければ国内の物流は立ち行かない状況」ということです。労働力不足だけでなくドライバーの高齢化も進んでいるゆえに健康問題も深刻で、「2013年以降、日本国内で健康状態に起因する事故が急激に増加しています。明確には示されていませんが、ドライバーの高齢化との関係はあるだろうと考えられています。さらに事故の増加により法規制が厳しくなると、トラック輸送業はますます厳しい経営状況に陥るでしょう」と付け加えました。

こうした背景だけでなく、世の中がSociety5.0へ向かう中、いまだに物流業界はアナログ作業が数多く残っておりSociety4.0に向かっているのが現状です。安全と輸送品質を守ることが大前提ですが、業務の煩雑さは増すばかり…輸送事業者の悩みは尽きません。「これまで運行中の安全はドライバー任せにするほかありませんでした。運行管理者がドライバーに対し『体調は大丈夫か?』『休憩はとれているか?』『運行・配送の進捗状況は?』と心配しても、声掛け以外の方法がなかったのです。こうした課題を解決するために運行状況の見える化が必要」とSSCV-Safetyの開発をめざした経緯を語ります。

3.ドライバー自身も気づけない「漫然運転」が事故を引き起こしている

トラックのハンドルを握って出発したら運行中の安全はすべてドライバー任せ。この現状に危惧感を抱いた具体的なきっかけがありました。「日立物流の同一事業所で半年間に連続3件の追突事故が発生しており、いずれもノーブレーキで前の車に衝突していたことが明らかになりました。事故の原因を調査した結果、ドライバーは目を開け、前を向いて、ハンドルもちゃんと握り、携帯電話の操作もしていない状態でした。それなのになぜ事故が起きたのか?それは『漫然運転』、医学的には『精神疲労状態』と呼ばれるのですが、見ているようで見ていない状態であることが原因と分かりました」と南雲氏。

事業用貨物自動車の交通事故の発生状況をみると、「漫然運転」「安全不確認」「脇見運転」が全体の約60%を占めています。*2そのうちの「『漫然運転』はその要因にドライバーですら気づけません。つまり、『安全不確認』『脇見運転』と違って事前に注意のしようがなく、従来の対策だけでは防げないことになります。ドライバー本人も気づけない『漫然運転』の防止には、会社として組織的な取り組みが必要なのです」と続けました。1件の重大な事故の背景には、29件の軽微な事故と、300件のヒヤリ・ハットが隠れていると言われています。*3「日立物流では、この300のヒヤリ・ハットを完全になくすために、運行中の『疲労』と『運転行動』をリアルタイムで、すべて見える化することを目標に掲げました」。

事業用貨物自動車の交通事故の発生状況

事業用貨物自動車の交通事故の発生状況

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