「Cosminexus」搭載の日本NCRの「RealGate™」で顧客ニーズにいち早く対応できる
柔軟性・信頼性の高いシステム基盤を構築
中国四国地方で10店舗を展開する百貨店の株式会社天満屋(以下、天満屋)。 同社のシステム構築・運用・保守を一手に担っている株式会社岡山情報処理センター(以下、OEC)は、POSセンターサーバのシステムを刷新した。開発には、日本NCR株式会社(以下、日本NCR)が提供する流通小売業向けPOSリアルタイムオンラインシステム「RealGate(リアルゲート)」を採用。Webアプリケーションサーバとして日立の「Cosminexus(コズミネクサス)」を組み込んでいるRealGateを活用することで、高い信頼性を確保しつつ、新機能をJava™アプリケーションとして自在に追加できる、柔軟性の高いシステム基盤の構築を果たした。
株式会社
天満屋
情報システムグループ
部長・ゼネラルマネージャー
中野和哉氏
株式会社
岡山情報処理センター
流通ソリューションG
部長
田坂貢信氏
株式会社
岡山情報処理センター
システム開発G
システム開発第一T
部長
木村昌弘氏
日本NCR
株式会社
代表取締役副社長
流通システム本部
本部長
三ツ森隆司氏
天満屋が、POSセンターサーバの刷新を決断したのは、2005年のことだ。
「コスト削減や合理化に成果があがり、これからは生産性を上げるために投資していこうと、方針を転換したのが2005年です」と中野氏は述懐する。
増収を目指して攻めの経営を展開していくためには、顧客ニーズをタイムリーに把握し、スピーディなマーチャンダイジングを展開できるIT環境が不可欠である。しかし従来は、販売管理系のシステムは個別に機能しており、別システムの情報を知るには別の端末を使わなければならないような状況だった。
「そこでまず、ベースとなるPOSセンターサーバを刷新して、必要なデータを一元的に掌握できるプラットフォームを整えようと考えたのです」と田坂氏は説明する。
天満屋では、全社で合計700〜800台にのぼるPOSデータをリアルタイムに収集・処理するシステムを、20年以上前から運用してきた。しかし開発当時は革新的だったPOSセンターサーバのシステムは、POSデータの処理が中心であり、顧客ニーズを分析するといった情報系の目的には使いにくい。そこで、従来の信頼性の高い基幹システムの働きを確実に継承した上で、顧客ニーズをいち早くつかみ、すぐに対応できる柔軟性の高い基盤を構築することになった。
OECは、常に最先端のIT環境づくりへ意欲的に取り組んできた。高速なデータ処理を行うPOSセンターサーバにおいても、新システムは、Java/Linuxを用いたWebシステムにしたいと考えた。
同社は、複数のベンダーに提案を求めて幅広い可能性を検討したうえで、日本NCRが提案した流通小売業向けPOSリアルタイムオンラインシステム「RealGate」の採用を決定した。
日本NCRは、百貨店POS累計出荷台数で42%のシェアを誇り(出典:2005年DSS研究所)、業界ニーズを熟知している。また、同社のRealGateは、リアルタイム・リテーリングを短期で実現するパッケージとして、導入実績を重ねている。
「ちょうどRealGateは、Webアプリケーションサーバとして、日立の『Cosminexus』の搭載を開始したところでした」と三ツ森氏は補足する。
2005年、同社は入念な性能検証テストを行ったうえで、Cosminexusの搭載を決定した。
「POSオンラインシステムは長く使っていただくものであるだけに、中核となるミドルウェアは信頼性やサポートが重要です。先進的な要求を持つ天満屋さまの案件でも、信頼性とサポート体制を一段と強化したRealGateを、自信を持って提案できました」と三ツ森氏は語る。
OECは、RealGateを用いた新しいPOSセンターサーバの開発を、2006年初頭に開始。
基本方針は、新旧システムの併用である。POSのデータ処理を行う部分は、従来の完成度の高いシステムをできるだけ流用しながら、プラットフォームはUNIXからLinuxへ移行する。
一方で、新規に必要な機能は、Cosminexusと連携するJavaアプリケーションとして、積極的に追加開発していった。
「Cosminexusは標準的な技術に則ったオープンなWebアプリケーションサーバであるため、新しいことを覚えなければならないという苦労はまったくありませんでした」と木村氏は語る。
CosminexusをベースとしてJavaで開発した新機能の代表的なものはRealEJ(電子ジャーナル)、POS INQ(POS照会)、クレジットカード決済システムとのインタフェースである。
RealEJは会計担当者がPOSレシートのイメージをPCで参照する機能である。従来のバッチ更新からリアルタイム化することにより、顧客からの問い合わせに対しても即座に対応ができるようになった。
POS INQは売上高や予算達成率などを、売り場のPOSでリアルタイムに照会できる機能である。日本NCRが提供するフレームワークを利用し、効率的な開発が可能となり、POS INQの本質である集計の機能やユーザーへの見せ方に重点をおいて開発することができた。
同様に、クレジットカード決済システムと既存システムとの連携もスムーズな移行を実現した。
新しいPOSセンターサーバは、2006年11月、本稼働を開始した。
「短期かつ低コストでシステムを最新環境へ移行できたのは大きな成果。ミドルウェアをうまく使って旧資産を流用したおかげで、従来の開発費の3分の2で刷新ができました」と中野氏は評価する。
信頼性と、将来に向けた柔軟性を両立させることもできた。
まず、サーバ、ストレージ、データベースなどは一新し、データ処理は高速化を果たした。
プラットフォームの一元化も実現できた。
システムごとの個別端末は不要となり、1台のパソコンで必要な情報を楽に収集・分析しながら、マーチャンダイジングも展開できる。
しかも、今後の機能追加は、Javaを用いて効率的に行える。
「新旧システムがスムーズに協調して、ノントラブルで稼働開始できたことにも驚きました。Cosminexusもまったく存在を意識させることなく、RealGate全体の安定した稼働を支えています」と田坂氏は語る。
OECにとっても大きな成果があった。
「高速なデータ処理を行うPOSサーバを、Java/Linuxの環境で安定して動かせることが証明でき、大きな自信になりました。今後のさまざまなシステム開発においても、Javaを積極的に活用していきます」と木村氏は力強く語る。
IT業界全体がオープンシステム化を志向するなかで、技術力豊かなシステムインテグレータとして、その実績を内外へアピールできたのである。
天満屋では今後、取引先との情報共有など、さまざまな開発を視野に入れている。 Cosminexusは、未来につながる新しいしくみへのスムーズな移行を支援したのである。
天満屋の新POSセンターサーバシステム概要
USER PROFILE
中国四国地方に百貨店10店舗を展開し、地方百貨店最大規模を誇る。スーパー、ホテル、人材派遣業などを傘下におく天満屋グループの中枢企業でもある。
USER PROFILE
株式会社岡山情報処理センター
[本社] 岡山県岡山市本町6-36 第一セントラルビル3F
[設立] 1969年8月27日
[資本金] 6,000万円
[従業員数] 273名
天満屋グループに属するシステムインテグレータ。システムの企画から運用・保守まで一貫して提供。公共、医療、一般企業システムなどにも強い。
PARTNER PROFILE
1953年に日本初のセルフサービス方式を提供、1970年には日本初のオンラインPOSシステムを発表するなど、流通業界の近代化に貢献している。