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導入事例:トヨタテクニカルディベロップメント株式会社

「Shareresearch」特許読解支援Derwent™連携(※)を導入した背景と効果

[写真]トヨタテクニカルディベロップメント株式会社 清水氏(左)、横田川氏(右)
トヨタテクニカルディベロップメント株式会社 清水氏(左)、横田川氏(右)

「知恵と技術で明日を拓く」をテーマに、トヨタグループの技術開発を支援するトヨタテクニカルディベロップメント株式会社。昨今の自動車業界を取り巻く環境の変化はスピードが早く、既存事業からの市場シフトや新規事業開発による新たな分野における市場解析・調査が求められています。特に課題となっている海外の新技術や競合他社分析の効率化と品質向上をめざし、特許読解支援Derwent™連携を導入しました。導入の背景について、IP事業本部 開発事業室グループ長 横田川弘喜氏と開発事業室 ビジネスソリューショングループ 清水大樹氏にお話を伺いました。

※グローバル特許データを高度に要約・編集したデータベースであるクラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社の「Derwent World Patents Index™(DWPI)」を、日立の特許情報提供サービス「Shareresearch」から閲覧できるオプション機能のこと。Derwent™、Derwent World Patents Index™はクラリベイトの商標です。

トヨタグループが世界で戦うためのソリューションを提供 

――まずは、貴社の取り組みを教えてください。

横田川

当社の事業内容は、知的財産(IP)事業と計測制御事業です。これら二つの事業内容は大きく異なりますが、トヨタグループの競争力、開発力を強化し、世界で戦うためのソリューションを提供する大きな共通のゴールがあります。現在、トヨタグループを含めた自動車業界全体が「100年に一度の大変革の時代」を迎え、新たな方向にシフトチェンジしており、以前の価値観では対応が難しくなってきています。そのため当社のIP事業本部では、AIに代表される最新のテクノロジーに頼るところは頼り、その効率化された時間をマンパワーでの品質向上に充てていく方針を立てています。社内における人財育成も積極的に実施しており、若手メンバーの特許検索競技大会における例年の好成績は、その結果の一部だと思っています。

現存リソースで、増え続ける特許出願に対応する苦労

――特許庁の特許行政年次報告書によると、2017年時点で約320万件の特許が世界で出願されており、10年間で約1.7倍になっています。増加し続ける特許情報には多くのお客さまが苦労しています。

清水

私どもも特許の調査・技術解析は、増加する一方の海外特許出願に苦労しております。世界で年間320万件も出願されると、以前のやり方ではまず時間が足りません。そもそも事業のスピードが上がってきているので、調査・技術解析もスピードアップが必要なことを考えると、多くの企業で特許調査は量と質の双方に課題を抱えていると思います。トヨタグループの新事業で多くの皆さまが想像されるのは、先日発表した「コネクテッド・シティ構想」だと思いますが、今までの自動車分野での登場人物、技術とは全く異なりますので、今までの知見だけでは足りません。そのために、利用できるツールはなるべく活用するという方針のもと、利用目的に合わせたツールのポートフォリオを作成しています。そのポートフォリオに沿って、ツールを随時入れ替えています。

――海外特許調査でお困りの点を教えていただけますか。

[写真]横田川氏
横田川氏

横田川

自社で特許調査を実施する場合、そのバックグラウンドには「やりたいこと」があります。その「やりたいこと」はお客さまが困っていることを解決して価値を生み出すものであり、そこには必ず技術的な課題が存在します。調査・技術解析は他社が考える課題と解決後の効果を知ることがひとつの目的ですが、外国の特許公報には「課題」があまり書かれていません。文献数は多いのに必要な情報が書かれていない状態なので、課題を見つけるのに時間がかかるから人が足りない以前の問題だと認識しています。やはり5Gをはじめ最先端の技術は欧米・中国に多いため、その技術が解決したい課題が不明な状態で調査・解析を進めることはリスクが高いと感じています。

清水

本来はその技術が解決したい課題が見たいのに書いていない、となると他の手段で調べるしかありません。デスクトップサーチや技術論文、書物などで、まず市場の概要を頭に入れることが必要になりますので、特許調査以前に自社事業の市場や事業理解が前提となります。それでも限界がありますので、特許公報に記載されている技術内容から課題を想像できる開発者とのミーティングは非常に大事な時間です。しかし、開発者は難解な特許公報の内容を読みたくないと思っていますので、こちらで要約して伝える必要があります。

特許読解支援Derwent連携導入について

――海外特許調査のお困りごとを解決するために、日立はクラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社と企業の海外事業戦略の立案に必要となる海外特許文献の調査を効率化するサービスを共同開発しました。本内容を知ったときの感想を教えてください。

横田川

「遂に出ましたか!」という驚きでした。まさかこの2社がコラボレーションするとは想像していませんでした。

清水

今まではベンダー都合でのコラボレーションが多かった印象でしたが、今回は具体的な顧客価値がメッセージに含まれていたので、ポジティブなイメージを持ちました。

――特許読解支援Derwent連携を導入してみての感想をお聞かせください。

横田川

「もっと早く欲しかった!」と言っている人が多かったですね。Derwentブランドをよく知っている人はもちろん、若手も非常に便利だと喜んでいます。英語だけでなく日本語表示もあるので、気軽に最先端の世界特許に気軽に触れる機会があることは価値がありますね。

[写真]清水氏
清水氏

清水

特許公報のオリジナルタイトルでは読むべきか読まなくてもよいかの判断がつかないため、要約や全文を読むことになってしまい、結果的に読まなくてよかった分の工数が多いのが現実です。DWPIタイトルはノイズが多い、件数が多い場合などの一次スクリーニングにおける絞り込みに非常に有用です。
またDWPI抄録は、アメリカやヨーロッパ、中国の公報には書かれていない課題が書かれており、そもそも書いていない内容が構造的に整理された状態で見ることができる点がメリットです。まず課題と効果を見ることで、反射的な判断が可能になります。ごく一部の人しか利用できなかったこのコンテンツを「Shareresearch」を利用している社員全員が利用できること、開発者には読みづらい特許公報の難解な文章がわかりやすく要約した内容で閲覧できることのメリットは非常に大きいです。

――特許読解支援Derwent連携の導入効果はいかがでしょうか。

清水

利用者にアンケートを取ったところ、80%以上の人が導入して良かったと回答しています。作業の効率化はもちろん、一番良かったことは作業の品質が上がり、結果的にしっかりとした判断につながるところです。記載されていない課題の情報を調べることは時間もかかりますが、精神的・体力的にも消耗します。しっかりとした情報があることで作業のオン・オフの切り替えもできますし、量の課題である効率化と、質の課題である品質向上の双方が期待できます。

横田川

多くの企業でも働き方改革が実施されていると思いますが、量と質の課題の双方を解決することで結果的に労働時間が短くなることを期待しています。今回のDerwent連携の導入で、その効果を感じることができました。

――今後の期待があれば教えてください。

横田川

トヨタグループで多くの新事業が立ち上がっていきますが、その背景には解決したい課題があります。当社の調査・技術解析の原点はそこにあるため、課題や効果の情報が書かれているDWPI抄録の解析ができるとさらに調査・技術解析の提供価値が上がっていくと思います。また、調査・技術解析に必要な情報は特許だけではありません。マーケットや技術論文など多岐にわたるため、今後のコラボレーションでそのような情報がユーザーに提供されることを期待しております。

[お客さまプロフィール]トヨタテクニカルディベロップメント株式会社

[イメージ]トヨタテクニカルディベロップメント株式会社ロゴ
[写真]トヨタテクニカルディベロップメント株式会社 社屋写真

[所在地] 愛知県豊田市花本町井前1番地9
[設立] 2006年4月1日
[資本金] 5.5億円
[従業員数] 974名(2019年4月1日現在)
[事業内容] 知的財産(IP)事業、計測制御事業
トヨタテクニカルディベロップメント株式会社のWebサイトへ

特記事項

  • 本事例中に記載の内容は初掲載当時のものであり、変更されている可能性もあります。詳細はお問い合わせください。
  • 事例は特定のお客さまでの事例であり、すべてのお客さまについて同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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