「企業情報システムを活用する上で、運用負荷の軽減は大きな課題です。当社の顧客A 社でもこの点が問題となり、まず ストレージの統合に着手しました」こう語るのはi S i D I Tコンサルティング1 部アシスタントマネージャー梅澤香樹氏だ。
同社がアウトソーシングを手掛けるA 社では、サーバの数が増えるに従ってバックアップ業務などの負担が大幅に増大していた。各サーバに個別にバックアップ装置を接続していたため、ハードウェアコストはかさむ一方。しかもそれぞれに対してバックアップ運用などを行わなくてはならない。
こうした課題を解消すべく、A 社では1999 年に日立のディスクアレイサブシステム「H256 」を導入。複数のストレージデバイスの統合を果たした。
しかし問題はこれですべて解消したわけではなかった。その理由をiSiD IT コンサルティング1 部マネージャー大金慎一氏は「システム全体の運用を考えると、運用負荷が掛かっているのはストレージだけではありませんでした。大量に稼働しているサーバそのものについても、それぞれ障害監視や運用管理などの手間がかかっていたのです」と説明する。そこで同社ではストレージ統合に続き、サーバ統合を検討。その第一段として、複数のサーバを論理的に統合することを決定した。論理統合プロジェクトにはおよそ一年が費やされ、数多くのサーバを一元的に管理できる環境が実現。効率的なシステム運用を行うことが可能になった。
superdome を国内で初めて導入約50 台のサーバを集約
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しかしサーバ統合プロジェクトは、これですべて終了したわけではなかった。
大金氏は「論理統合はファーストステップとして既に完了している。しかしながら、サーバ自体は以前と同じだけの台数が残っており、その中には購入した時期が異なるものも多く、OS などソフトウェアのバージョンを2 、3世代古いもので整合性を取っています。
現状では問題なくとも、将来にわたって論理統合の状態を維持し続けるのは難しい。そこで究極的なサーバ統合の方向として、ハイエンドサーバへの物理統合を選んだのです」と語る。
A 社の企業情報システムの特徴としては、業務システムの数が非常に多いことが挙げられる。今回の統合の対象となったサーバは、物理的な台数にして約50 台。個別のシステム数となると、約200 以上にも達する。
「これらを大型のサーバに全部まとめたほうがいいのか、それともある程度の台数に分けて統合したほうがいいのかといった点が課題となりました」と語る梅澤氏。検討に検討を重ねた結果、最終的に選ばれたのが日立のハイエンドサーバ「superdome 」であった。superdome を採用した理由について、大金氏は「サーバは陳腐化が非常に激しく、新しい製品が次々に出てきます。導入してすぐに古くなってしまうようでは、我々としても困ります。その点superdome は将来的なCPU のロードマップなども公開されており、安心して活用できると考えました」と語る。
今回統合の対象となったサーバ群はOS にHP‐ UX を採用しているが、この資産を継承して新しい環境が構築できる点も評価された。「OS の変更を行わないことで、統合に伴うリスクが軽減できる。またA 社様が先進的な考えをお持ちで、既存の製品を使って何台かにまとめるよりも、最新の製品であるsuperdomeを希望されたことも大きかったですね」と語る大金氏。国内ではまだ導入例のなかったsuperdome だが、あえて導入に踏み切ったという。