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企業情報ニュースリリース

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2021年9月29日

統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia」に、
電力の需給調整市場に対応する「デマンドレスポンス機能」を拡充、販売開始

需要家の保有するエネルギーリソースを統合制御することにより、
エネルギーコストの最適化と再生可能エネルギーの導入促進に貢献

[画像]「EMilia/デマンドレスポンス機能」の概念図
「EMilia/デマンドレスポンス機能」の概念図

  株式会社日立製作所(以下、日立)は、統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia*1(エミリア)」に、電力の需給調整市場*2に対応し、需要家の保有するエネルギーリソースを自動で統合制御する「デマンドレスポンス*3機能」を拡充し、本日から販売を開始します。
  自らリソースアグリゲーター*4として需給調整市場に参加している需要家は、「EMilia/デマンドレスポンス機能」を導入することにより、効率的な設備運用と同市場の取引によるインセンティブ獲得を両立して、トータルでのエネルギーコストを最適化できます。また、アグリゲーションコーディネーター*5との連係機能も有していることから、リソースアグリゲーターとして需要調整要請に効率的かつ迅速に対応することができます。日立は、工場などの需要家や地域エネルギー管理事業者向けに「EMilia/デマンドレスポンス機能」を積極的に拡販し、再生可能エネルギーの導入促進を図り、低炭素社会の実現に貢献します。

  近年、地球温暖化を背景に、ネットゼロやカーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギーの普及が進む一方、天候などによって発電量が変動することから、電力の需給バランスを考慮した管理・運用が求められています。こうした状況下、需要家が保有する蓄電池や発電設備、冷凍設備などのエネルギーリソースを、IoTを活用して遠隔・統合制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる「仮想発電所(バーチャルパワープラント(VPP))」が提唱されています。VPPによって、電力負荷の平準化や再生可能エネルギーの変動吸収などを実現することが期待されており、その普及に向けて、2021年4月に、電力の調整力(供出可能電力)取引を行う「需給調整市場」が開設されました。日立では、2021年度の需給調整市場は年間約1,000億円の規模になると推定*6しています。
  こうした中、需要家は、保有するエネルギーリソースを有効活用し、自らリソースアグリゲーターとしてアグリゲーションコーディネーターとVPPサービス契約を締結して需給調整市場に参加することが可能です。一方で状況に応じた収益とコストの定量的評価が難しく、かつ同市場からの需要調整要請を守れないことによってペナルティを支払うリスクがあるといった課題があります。

  日立はこれまでに、工場やビル、地域向けのエネルギーマネジメントシステム事業に関する豊富な実績があるとともに、発電設備や蓄電設備、冷凍設備、空調設備などのエネルギー関連設備に関する知見・ノウハウも有しています。こうした実績・知見を活用し、このたび、需要家向けに多数の納入実績があるLumada*7ソリューション「EMilia」に、VPPのアグリゲーションコーディネーターからリソースアグリゲーターに対して需要調整が要請された際に、需要家の保有するエネルギーリソースを自動で統合制御する「デマンドレスポンス機能」を拡充し、本日から販売を開始します。
  「EMilia/デマンドレスポンス機能」は、分散する複数の施設や設備、機器のエネルギーデータや稼働データを「EMilia」のプラットフォーム上で統合管理するとともに、過去の設備運転データや気象条件などから電力の需要と調整力を予測し、かつ電気・燃料コストや需給調整市場におけるペナルティなどの多岐にわたるパラメータを考慮して、エネルギーリソースの最適運転の組み合わせをシミュレーションし、設備の自動制御を行います。これにより、需要家自らリソースアグリゲーターとして、効率的な設備運用と同市場の取引によるインセンティブ獲得の両立を実現することで、トータルでのエネルギーコストの最適化が図れます。加えて、アグリゲーションコーディネーターとスムーズな連係を図るため同市場の通信仕様であるOpenADR2.0b*8を使用しており、リソースアグリゲーターとして需要調整要請に効率的かつ迅速に対応できます。
  また、日立のアグリゲーションコーディネーター向けVPPソリューション「CURSUS-VPP」*9とシームレスに連係することにより、よりスムーズでスピーディな事業の立ち上げと円滑な業務の推進が可能です。
  「EMilia/デマンドレスポンス機能」の主な特長は以下のとおりです。

(1)追加コストを考慮した調整力予測

  コージェネレーションシステムや各種冷凍機は、調整力を供出する際にエネルギーコストが増加する場合があり、その追加コストは調整力供出前の設備負荷率や電熱需要バランスによって変動します。各設備の性能特性を用いて調整力供出に伴う追加コストを自動計算し、追加コストに基づき設備稼働の優先順位や調整力供出による収益性を考慮した運転計画を立案します。

(2)多様なエネルギーリソースへの対応

  一般的に挙動予測や制御が複雑であると捉えられている発電機や冷凍機を含めて、お客さまの保有する多様なエネルギーリソース(発電機、蓄電池、冷凍機、空調機など)に対し、日立はこれらの設備に関する知見と高い制御技術により自動制御が可能です。

(3)設備制御補正による需給調整未達の回避

  需給調整市場では、約定した調整力の供出が可能な状態を維持していること、および一般送配電事業者の指令に従い実際に調整していることを確認する必要があります。「EMilia」はこのアセスメントに適合するために、デマンドレスポンス実施中に調整力の供出状況を監視し、許容範囲の逸脱を検知した場合は自動で設備に対して補正指令を与えます。

  今後も、日立は、エネルギーマネジメントシステムや設備に関する豊富な導入実績とノウハウを生かしたLumadaソリューション「EMilia」の提供を通じて、製造業をはじめとするお客さまのエネルギービジネスの推進、省エネルギーの実現、業務効率向上、およびBCP*10対応といった経済価値の向上に加え、再生可能エネルギーの普及促進による環境・社会価値の向上に貢献していきます。

[画像]「EMilia/デマンドレスポンス機能」管理画面イメージ
「EMilia/デマンドレスポンス機能」管理画面イメージ

*1
EMiliaは株式会社日立製作所の日本における登録商標です。
*2
需給調整市場:電力需要の変化に合わせて、需要と供給を一致させるために必要な電力(調整力)を取引する市場。
*3
デマンドレスポンス:電力の需要に応じて、電力事業者が電力価格を動的に設定したり、余剰電力を買い取ったりすることで、電力消費を制御すること。需要家側(各家庭や企業)が、供給者側(電力事業者)からの要請に応じることから「デマンドレスポンス(需要応答)」と呼ばれる。
*4
リソースアグリゲーター:需要家とVPPサービスに関する契約を締結し、エネルギーリソースの遠隔・統合制御を行う事業者。
*5
アグリゲーションコーディネーター:リソースアグリゲーターが制御した電力量を束ね、一般送配電事業者や小売電気事業者と電力取引を行う事業者。
*6
経済産業省「第50回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会」報告資料「需給調整市場における三次調整力②の取引状況について」より日立が算出。
*7
Lumada:お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。
Lumadaは株式会社日立製作所の日本における登録商標です。
*8
OpenADR2.0b: OpenADRアライアンスの規定する通信プロトコル。OpenADRはOpenADR Allianceの米国における登録商標です。
*9
アグリゲータ―事業者向け「バーチャル・パワー・プラント(VPP)ソリューション CURSUS-VPP」
CURSUSは株式会社日立製作所の日本における登録商標です。
*10
  BCP(Business Continuity Plan): 事業継続計画

「EMilia」について

  オフィス・工場・店舗・病院・データセンターなどにおいて、業種や規模を問わず、一つの法人が多拠点のエネルギーデータや設備などを統合的に管理し、省エネルギー、業務効率向上、およびBCPを実現するサービス。

日立製作所について

  日立は、データとテクノロジーで社会インフラを革新する社会イノベーション事業を通じて、人々が幸せで豊かに暮らすことができる持続可能な社会の実現に貢献します。「環境(地球環境の保全)」 「レジリエンス(企業の事業継続性や社会インフラの強靭さ)」 「安心・安全(一人ひとりの健康で快適な生活)」に注力しています。IT・エネルギー・インダストリー・モビリティ・ライフ・オートモティブシステムの6分野で、OT、ITおよびプロダクトを活用するLumadaソリューションを提供し、お客さまや社会の課題を解決します。2020年度(2021年3月期)の連結売上収益は8兆7,291億円、2021年3月末時点で連結子会社は871社、全世界で約35万人の従業員を擁しています。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 産業・流通ビジネスユニット ソリューション&サービス事業部

以上

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