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「わたしの野菜」は、地域に暮らすことを少しだけ楽しくするために、農業、人、そして街を結びなおすしくみです。街の農家について学びながら、あなたが選んだ野菜を、あなたが選んだお店で調理してもらいましょう。なんと、野菜を運ぶのもあなたです――。

国分寺で「農」「人」「街」を結びなおす

今、郊外の街は、さまざまな挑戦を抱えています 。東京の国分寺市もその例外ではありません。豊かな緑や長い歴史を持つ農地を大切にしながら、古くからそこに暮らす人々と、街の発展によって新たに集う人々が、ともに豊かな社会を築くことが求められています。

国分寺には300年の歴史を持つ農業があります。ここで育つ野菜などの農畜産物は「こくベジ」という愛称で呼ばれています。私たちは、国分寺に住む人たちが「こくベジ」をもっと身近に感じ、「こくベジ」を介して地域の農家や飲食店との間に新たなつながりをつくることができるための方法を考えました。 そのひとつの答えが「わたしの野菜」のしくみです。

野菜から地域をつくる

「わたしの野菜」は、国分寺市でとれた新鮮な野菜を、市民が自ら飲食店に運ぶと、そこでその野菜を調理してもらい、食べることができる、というしくみです。専用のウェブ・アプリは、農家、市民、そして飲食店の間で、野菜を介した関係が生まれるのを助けます。

1野菜を運ぶ。そして深く知る。

「わたしの野菜」のブースで野菜を選んでください。野菜に添えられた二次元コードからウェブ・アプリにアクセスすると、野菜に関する詳しい情報を見ることができます 。アプリ上では、その野菜を育てた農家の方の写真やメッセージが示されています。

2おいしく食べたい! お店を探そう。

その野菜を調理してくれるお店を選びましょう。ウェブ・アプリで検索すると、お店の名前や住所とともに、調理してくれる料理も表示されます。気に入った料理を見つけて、電話でお店に予約を入れましょう。

3お店はどこ? 野菜をつれていこう。

野菜を専用の袋に入れて、あなたが決めた地域のお店に「つれてって」ください。ウェブ・アプリの地図があなたをお店まで案内してくれます。到着したら、お店の方に野菜をわたしましょう。

4おいしい! SNSで拡散しよう。

お店は、あなたが選んだ野菜のために特別なメニューを用意しています。身近な農家で育てられ、地元のお店で調理された野菜を食べることは、きっとおいしくて楽しい経験になるはずです。そう思ったら、ランチョンマットの二次元コードを使って、SNSに写真や感想をシェアしてください。

「こくベジ」をめぐる新しい経験

2018年11月と12月に、JR国分寺駅ビル内の「国分寺市立cocobunjiプラザ」で実施したイベント「つれてって、たべる。わたしの野菜」には、国分寺市内で収穫された、にんじん・白菜・青パパイヤ・オータムポエムなどが並びました。子どもを連れた若いご夫婦や、シニア世代の方々など数百人 の市民が来場しましたが、その中には「これまであまり『こくベジ』を意識していなかった」「初めて『こくベジ』を手にした」という方も少なくなかったようです。
「わたしの野菜」を通じて、多くの方が「こくベジ」をめぐって生まれる新しい感覚を経験してくださったようです。選んだ野菜を自分で飲食店まで運ぶという楽しみを感じてくれた方は、SNSに「自分でつれてきた野菜はおいしい」という感想を寄せていました。農家の方は、自分が育てた野菜を料理して楽しむ市民の姿を見ることができた喜びを伝えてくれました。
実施したアンケートでは、参加した方の95%が「とても満足した」「満足した」と回答し、農家や飲食店の方からも「お客さまとの距離が近づいた」「今後も継続して行ってほしい」という声が寄せられました。

地域の人々とともに、イノベーションを生み出す

「わたしの野菜」のイベントには、フューチャー・リビング・ラボの考え方がよく表れています。私たちは、国分寺地域で活動を始めるにあたって、「こくベジ」を支えるさまざまな地域の方と意見を交換しました。農家から飲食店に「こくベジ」を届けている方、野菜のプロモーションデザインをしている「農業デザイナー」、農家の方、飲食店の方、国分寺市内でアートを媒介にコミュニティづくりに携わっている方、そして国分寺市役所で地域振興の仕事をされている方などです。
地域の皆さんと一緒に議論し、ご協力を得ながら、私たちは「こくベジ」を媒介に「農」「人」「街」をつなぎ、新しいコミュニティを生み出すアプローチに挑戦しました。ささやかですが、地域の人々とのイノベーションを作り出すための第一歩を踏み出すことができたのではないかと思います。
2018年10月、日立製作所 研究開発グループと国分寺市は「イノベーション創生による地域活性化に向けた包括連携協定」を締結しました。これは、地域の課題解決のためのイノベーションを、両者が連携しながら作り上げていくための基盤です。
今、日本全国のさまざまな場所で、地域の活性化や新たなコミュニティづくりへの挑戦が続けられています 。私たちも、具体的な地域から未来をつくる活動を続けていきます。

市民参加型イベント 「つれてって、たべる。わたしの野菜」
市民が楽しく参加する、地域野菜の地産地消のしくみ構築

フィールド協力者
こくベジ / 国分寺市 / cocobunjiプラザ / 地域農家 / 地域の飲食店 / ディーランド
参加いただいた市民の方々
国分寺周辺地域市民 約60人
実施時期
2018年11月24日・25日 12月16日