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日立の「Cosminexus」で企業ポータルを構築し
全社の多種多様なシステムへシングルサインオンを実現。
セキュリティと内部統制に大きな成果

名古屋市に本社を置くインターホンのトップメーカー(*)であるアイホン株式会社(以下、アイホン)は、企業ポータルシステムを構築して、社内の業務システムのほぼ100%をシングルサインオン体制にすることに成功した。ポータルシステム構築にあたっては、日立のポータル基盤「uCosminexus(ユーコズミネクサス) Portal Framework」を採用。クライアント/サーバ・システム、Webシステム、グループウェアが一元管理されて使い勝手が良くなり、社員の業務効率が上がった。また、認証基盤の確立により、セキュリティと内部統制にも大きな成果をあげている。

認証基盤の確立とペーパーレスを目指し全社情報基盤を見直し

情報システム部メンバー情報基盤構築プロジェクトを推進した情報システム部のメンバー。前列左から、主事早川正志氏、主事補仁科富太郎氏。後列左から、課長代理青山光浩氏、落合千恵子氏。

インターホンの草分け的存在として、新技術の開発と需要の拡大に努めてきたアイホンは、21世紀の始まりに「新しい安心をかたちに」という新しいスローガンをかかげ、セキュリティ市場のニーズ把握と、インターホンの高付加価値化に取り組んでいる。

業績面では好調なアイホンだが、システム基盤としては、いくつかの課題を抱えていた。ひとつは、認証の一元管理ができていないことであった。

「パスワードを使ってログインしなければならないシステムが、全社では30も乱立していました。社員の多くが、1人で20種類ぐらいのパスワードを使い分けなければならなかったのです」と青山氏は言う。個人が管理するパスワードが多ければ、その分、セキュリティ面でのリスクが増大する。しかし、マルチベンダーを基本方針として、さまざまなシステムを構築し、各種パッケージも導入してきたため、パスワード体系を統一することはむずかしかった。

もうひとつの課題は、ペーパーレスの推進である。以前からグループウェアを導入してメールやスケジュール共有を行ってきたが、通達や総務のお知らせを確実に伝達するには紙が欠かせなかった。グループウェアの掲示板機能はPull型であるため、全社員が毎日見るとは限らないからである。

認証基盤の確立とペーパーレスをともに実現して、セキュリティに裏打ちされた快適な情報活用基盤を構築したい。2004年、全社情報基盤を見直すプロジェクトがスタートした。

企業ポータルで全システムのシングルサインオンを実現

全社情報基盤を再構築するにあたって、重要な要件は3つあった。ひとつは、クライアント/サーバ型のレガシーシステムから、Web型の業務システム、さらには、今後開発する新しいシステムまで、幅広く統一できる強力で柔軟なシステム基盤であること。もうひとつは、多種多様なシステムへのシングルサインオンを実現すること。そしてもうひとつ、グループウェアの既存データ資産も利用できる環境にすることである。これらの要件を満たすソリューションとして採用したのは、日立のユニバーサル・アプリケーション・プラットフォーム「Cosminexus(コズミネクサス)」を使って、ポータル基盤を構築するという日立の提案であった。

具体的には、「uCosminexus(ユーコズミネクサス) Application Server」をシステム基盤とし、その上でポータルを実現するポータル基盤「uCosminexus Portal Framework」を用いて全社ポータルサーバを構築。社員は、最初にログイン操作をした後は、ポータル画面に表示されるアイコンをクリックするだけで、多種多様なシステムにわざわざログイン操作を行うことなく、シームレスに利用できる。

「いまあるシステムを一元管理し、将来開発するアプリケーションも追加していけるような強力なシステム基盤が必要でした。そのニーズにぴったり適合したのが、Cosminexusだったのです」と仁科氏は強調する。

さらに青山氏は、「ポータルというのは、フレームワークだけ作って済むものではなく、いろいろなシステムをつなぎ込んでこそ意味があります。日立なら、高度な技術力ときめ細かいサポートで、最後まで対応してくれるという信頼感がありました」と付け加えた。

2005年4月、ポータルシステムは稼働を開始。システム面で特筆されるのは、30にのぼるほぼすべての業務システムを登録し、シングルサインオンでアクセスできる状態を実現できたことである。新規開発した勤怠管理/ワークフロー・システムはもちろん、ERPパッケージを用いた会計システム、Web系の業務システムから、クライアント/サーバ型の業務システムまでつないだ。

社員に利用されるための工夫としては、グループウェアのメール、スケジュール、掲示板、勤怠管理システムのワークフロー入力画面などを、キラーコンテンツとして表示した。また、勤怠管理システムやワークフローなどは、ポータルからしか起動できないようにした。メールの新着情報は4〜5分おきに自動更新される。誰でも必ずポータル画面を起動することから1日が始まるしくみにしたのである。

さらに、個人が自由にカスタマイズできるポータルを「個人ポータル」として用意。「全社共通」「部門」「個人」とタブをクリックするだけで表示を切り替えることが可能になっている。

セキュリティと内部統制に大きな一歩

録画ROCO録画機能を搭載したハンズフリーカラーテレビドアホン。

企業ポータルシステムの構築によって、アイホンは、内部統制に向けての大きな一歩を踏み出すことができた。

「現在、パスワードは、同じものを長期にわたって使用しないように、3世代前まで管理しています。シングルサインオンでなかったら、とても社員全員のパスワードを3世代にわたって管理することはできないところでした」と早川氏は言う。今後さらに、パスワードの定期変更を義務化するしくみを作ったり、ログを記録する機能を追加することも検討している。

「認証をきちんとできたということは、IT全般統制の基盤を確立できたということなのです」と青山氏は語る。

ペーパーレスも推進できた。

「掲示物をポータル上で閲覧できるようになったため、通達を紙で回覧する必要がなくなりました。紙にかかるコストも相当に削減できています」と落合氏は言う。

しかも社員は、システムを使いやすくなり、業務効率が上がった。部門ごとに必要な情報は、ポータル画面上のタブをクリックすればまとめて表示するので、情報伝達のスピードアップも実現できた。

情報システム部門としては、拡張性の高い、柔軟なシステム基盤を手に入れられたという成果があった。

「さまざまなシステムを一元管理できるので大変助かっています。稼働開始後、新規にシステムを登録する作業は、アイホン社内で容易にこなしています」と青山氏は語る。

アイホンでは、ポータル画面に表示されるコンテンツのさらなる充実と関係会社への展開を企画中である。シングルサインオンによるセキュリティ強化から、情報の柔軟な活用による売上拡大・利益創出へ。企業ポータルが果たす役割はますます大きくなっていく。

アイホンのポータルシステム概要
アイホンのポータルシステム概要

USER PROFILE(2006年8月現在)

アイホン株式会社

[本社] 愛知県名古屋市熱田区神野町2-18
[創立] 1948年6月1日
[設立] 1959年3月16日
[資本金] 53億8,884万円
[従業員数] 840名(2006年3月31日現在)

半世紀にわたってインターホンひと筋にまい進してきた草分け的存在。住宅の防犯・防災用途と、病院・介護施設のケア用途というインターホンの2大市場における国内トップメーカー(*)。東証一部、名証一部上場。北米・欧州向け輸出にも注力。

特記事項

  • (*)会社四季報」特色欄より
  • この記事は、「日経コンピュータ2006年9月18日号」、「CIOマガジン10月号」に掲載されたものです。
  • Cosminexusの詳細については,ホームページをご覧ください。
  • Lotus Notesは、IBM Corporationの登録商標です。
  • LYSITHEA、リシテアは、株式会社日立システムアンドサービスの登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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