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住友信託銀行の多岐にわたる業務を
豊富な機能と柔軟なジョブ運用で支える「JP1」。
安定稼働と運用負荷の軽減を実現

住信情報サービス株式会社(以下、住信情報サービス)は、日本を代表する金融機関のひとつであり豊富な金融商品を手がける住友信託銀行株式会社(以下、住友信託銀行)とその関連企業のシステム開発や保守・運用を担っている。運用負荷の軽減を目指し、住信情報サービスが200台を超えるオープン系業務サーバにジョブ管理ツールとして採用したのは、日立のJP1/Automatic Job Management System 2(以下、JP1/AJS2)だった。TCO(*)の大幅な削減を実現し、住友信託銀行の多岐にわたる業務の安定をJP1が支えているのだ。

(*)
Total Cost of Ownership

多岐にわたる業務やシステムのため運用負荷の増大が課題

末吉弘和 氏の写真
住信情報サービス
株式会社
開発第一部
第一担当部
末吉弘和 氏

住友信託銀行では、預金や貸付業務に加え、機関投資家への投資管理、企業年金の運用、信託商品の販売、証券代行業務、不動産業務などさまざまなサービスを展開。そのため、業務やシステムが非常に多岐にわたる。住信情報サービスでは、さまざまなシステム開発の効率を上げ、運用負荷を全体的に軽減させるには、運用管理の標準化が必須であると考えた。標準化の対象としては、OSやデータベース、システム監視、ジョブ管理、ファイル転送、テストツールなどが挙げられるが、レスポンス、運用、障害といったシステム要件は業務ごとに異なるため、共通のシステム基盤を構築することが課題となっていた。

ジョブ管理では、住友信託銀行がメインフレームからオープン系システムへの分散を開始した1993年から、メインフレームで培ったノウハウを活かし、UNIX上でもジョブ・プログラムを作成し自動化を試みていた。しかし、独自プログラムのため、ジョブを1つ変更するにもかなりのノウハウが必要で、大量のジョブ運用やジョブ変更に負荷がかかっていた。また、前日の夜間バッチ処理の確認、開局処理、開局チェック処理等をオペレータがサーバごとにログインし手動で実行していたため、サーバ増加に伴う運用負荷の増大も課題となっていた。

1995年には、開発効率を上げ運用負荷を軽減するという大命題のもと、バッチジョブ運用を自動化するパッケージ製品の導入に踏み切った。これにより運用負荷が大幅に軽減されただけでなく、オープン系システムでのジョブ運用のノウハウも蓄積されていった。しかし、このパッケージ製品では、不具合発生時に海外への問い合わせが必要であり、住友信託銀行の求めるような早急な対応がなかなか実現されず大きな課題となっていた。

豊富な機能とサポートを重視しJP1/AJS2を採用

住信情報サービスでは、これらの課題を払拭するため、現行製品をバージョンアップする時期にさしかかった1999年に、他製品も含めジョブ管理製品の再検討を開始。同時期に、住友信託銀行からメインフレーム環境のデータを自由に加工したいという要望があがり、エンドユーザーが容易にデータを参照・加工できるようオープン環境でフロント・システムを構築する必要に迫られていた。システムごとに求められる要件も異なるため、個別の作り込みには時間やコストがかかり、また、メインフレーム環境とオープン環境のデータベースを直接共用することは難しい。

そのため住信情報サービスでは、メインフレーム環境からオープン環境のデータベースへテキストベースでデータを移行する方法を検討。これを実現させるには、現行のジョブ管理製品に搭載されていなかった「ファイル着信イベント監視機能」が今後導入する製品には必須であると考えた。このファイル着信イベント監視機能があれば、メインフレーム環境からオープン環境へのファイル(データ)転送やコード変換、データベースへのロード処理が非常にスムーズに行える。また、その日に実行されるジョブネットを当日実行前に生成して、柔軟なジョブ運用が行える「トラッキング機能」や、ジョブネットの変更差分のみを開発環境から本番環境へ引継ぎ、移行ミスを最小限に抑えるジョブネット定義の「コマンドによる移行機能」については、現行製品にも搭載されており、ジョブ運用の基本であると考えていた。
「そのため、これらの機能を欠落させることは、できませんでした」と末吉氏は語る。

また、開発環境と本番環境が完全に分離されていたため、開発したジョブやプログラムを本番環境へ移行するには、いったんメディアを介さなければならない運用形態であったが、今後はこの非効率を排除し、中間サーバ経由で承認手続きが済んだデータを順次本番環境へ自動的に移行することを視野に入れていた。このような機能的な要件と、迅速かつ確実な製品サポートを重視して検討を重ねた結果、国産のソフトウェアで定評があり、多種多様な機能を搭載したマルチプラットフォーム対応の日立のジョブ管理製品「JP1/AJS2」の採用を決定したのである。

「評価の際には、JP1専任の技術者を全国に多数配置し、JP1のトップリセラーとして豊富な実績を持つアシストが販売・サポートをしている点を重視しました」(末吉氏)。

JP1/AJS2を効率的に利用する工夫でTCOの大幅な削減を実現

1999年、ついに住友信託銀行の200台以上のオープン系業務サーバにJP1/AJS2が導入された。住信情報サービスは、業務ごとに異なる要件を考慮し、業務単位でジョブ管理が完結するようにシステムを構成。開発環境で検証したジョブを本番環境へ移行する手段については、ライブラリ管理システムを経由させる基盤を構築し、通常のプログラムもそれに準拠させることでスムーズな移行を実現した。

また、必須要件であったトラッキング機能については、マスタとなるジョブネットから稼働日ごとにジョブ定義を生成し稼働させ、マスタはいつでも修正可能な状態にするという運用を実施することで解決を図った。これにより、ジョブネットの稼働中であっても内容を変更できるだけでなく、ジョブの遅延が次の日までずれこんだ場合でも次のジョブのトラッキングには何の支障もないジョブスケジュールが可能になった。さらに、住友信託銀行にはシステム日付が次の日に変わったとしても、一連のジョブネットが終了するまでは同じ日の処理として扱う「基準日」という考え方があるが、トラッキング処理の際に基準日を一斉に置き換えることで対処することができた。

開発環境では、わかりやすいGUIによりJP1/AJS2-View画面を見ながらジョブ設計が容易にでき、本番環境ではGUIコンソール上でリアルタイムにジョブ運行状況の追跡が細やかにできる。JP1/AJS2の豊富な機能により、大量ジョブの修正をはじめとする各種ジョブにおいて大幅な工数削減が実現されている。

「業務ごとのジョブ運用では、スムーズな運用を実現することができました。今後の課題は業務システム間のジョブ連携です。また、すべての業務のジョブ運行状況を把握することを早急に実現すべく、JP1統合監視製品との連携なども視野に入れてます」(末吉氏)。

金融新時代に大きなアドバンテージを有する住友信託銀行と、そのシステムの担い手として常にエンドユーザーの満足を目指し事業展開の実績を誇る住信情報サービス。

今後もJP1/AJS2とアシストの強力な技術サポートにかかる期待は大きい。

住友信託銀行 ジョブ管理概要
住友信託銀行 ジョブ管理概要

USER PROFILE (2006年6月現在)

住友信託銀行株式会社

[本社] 東京都千代田区丸の内1-4-4
[設立] 1925年7月
[資本金] 2,872億円
[従業員数] 5,230名(2006年3月末現在)

信託・財産管理事業をベースに「銀行・信託・不動産兼営」の優位性を最大限に発揮して「お客さま本位」を貫く自主独立の経営モデルを実践している。

USER PROFILE (2006年6月現在)

住信情報サービス株式会社

[東京本社] 東京都府中市日鋼町1-10 住友信託銀行府中ビル
[大阪本社] 大阪府豊中市新千里西町1-1-3 住友信託銀行千里ビル
[設立] 1973年2月
[資本金] 1億円
[従業員数] 454名(2006年3月末現在)

住友信託銀行グループの業務を中心に、情報処理業務およびシステム開発業務を行う。常にエンドユーザーの満足を目指し事業展開の実績を誇る。

PARTNER PROFILE

株式会社アシスト

[本社] 東京都千代田区九段北4-2-1 市ヶ谷東急ビル
[設立] 1972年3月
[資本金] 1,000万円
[従業員数] 670名(2006年4月現在)

大手ソフトウェアベンダーとして、コンピュータ用パッケージソフトウェアの販売、技術サポート、教育およびコンサルティングを行う。社名は、「商品やサービスの提供を通じて人々や社会の役に立つ会社になること」を使命にしているところに由来する。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ(7/10発売号)」に掲載されたものです。
  • JP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • UNIXは、X/Open Company Limitedが独占的にライセンスしている米国およびその他の国における登録商標です。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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