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競争力強化のため、事業成長を支える基幹システムを刷新。
顧客料金ソフトウェア「CURSUS-BC」を中核とした新システムの
シームレスな連携と安定稼働を支える「Cosminexus」

静岡瓦斯株式会社(以下、静岡ガス)では、市場競争力の強化とお客さまサービスの向上を目指し、40年ぶりに基幹システムを全面刷新。新基幹システム「静岡ガスお客さま情報システム(SG-ENECIS)」を構築した。

システムの中核となる料金システムには、日立のガス事業者向け顧客料金ソフトウェア「CURSUS-BC」を採用。CURSUS-BCと日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社の地図情報システム「GeoMation/Gas」を日立のSOAプラットフォーム「Cosminexus」上で稼働させることで、シームレスな連携を実現。

ガスメーター中心だった情報管理をお客さま中心の情報管理へと変革し、地図情報も活用して、よりお客さまに密着した営業展開が可能になった。

ガスメーター中心の情報管理から
お客さま中心の情報管理へ

望月 敏弘氏の写真
静岡瓦斯株式会社
業務高度化推進室
室長
望月 敏弘氏

1910年の設立以来、静岡県中東部を中心に都市ガス事業を展開してきた静岡ガス。天然ガスの普及拡大に努め、地域の環境対応や省エネルギーに貢献してきた。

2009年6月には、山梨罐詰株式会社と共同申請したCO2排出削減事業計画が、国内クレジット制度(国内排出削減量認証制度)の初となる事例の一つとして承認された。

順調に売上を伸ばしてきた静岡ガスにとっても、世帯数の限界やエネルギーの自由化など、取り巻く環境は厳しい。そこで同社は、供給区域を12エリアに分割し、各エリアにサービス店「エネリア」を配置。「ふれあい巡回」などを実施し、営業力の強化に努めている。

「エネルギーを安定供給するだけでなく、料金体系や新サービスなどで、差別化を図ることが不可欠になってきました。『お客さまから選択される会社』になるためには、営業体制の強化と、それを支えるシステム全体を見直す必要があったのです」と望月氏は説明する。

旧システムでは、ガスメーターを中心とした情報管理であり、複数の場所で契約を締結している場合は、個々のメーター関連情報を集める必要があった。よりお客さまに密着して営業を行うためには、お客さま中心の情報管理へと変革し、情報基盤をより強化する必要があったのだ。

2006年1月、利用部門の精鋭22名を集めた「業務高度化推進室」が発足。新基幹システム「静岡ガスお客さま情報システム(SG-ENECIS)」の構築プロジェクトがスタートした。

豊富な機能と安定稼働の実績で
「CURSUS-BC」を評価

泉 浩起氏の写真
静岡瓦斯株式会社
業務高度化推進室
課長
泉 浩起氏

SG-ENECISの構築にあたっては複数のベンダーに提案を求め、最終的に日立の提案を採用した。

中でも高く評価したのが、日立のガス事業者向け顧客料金ソフトウェア「CURSUS-BC」だ。CURSUS-BCは、コア部分となる料金計算エンジンをはじめ、ガス事業者が必要とする機能を網羅しており、他のガス事業者で安定稼働を続けているという実績もあった。

さらに、膨大なお客さま情報を扱う静岡ガスにとって重要となるコンプライアンス遵守の観点でも、シングルサインオンと、アクセス権限管理の機能を組み合わせることで、利便性とセキュリティの確保を両立できる。

「CURSUS-BCの『5エンティティモデル』は、請求先情報や装置情報など、5つの視点から情報を組み合わせて管理できるので、お客さま中心の情報管理が実現できます。また、『テーブルドリブン方式』の採用により、新料金メニューなどにも数値と関数を変更するだけで比較的容易に対応できます」と鈴木氏は評価する。

日立が特許を取得しているテーブルドリブン方式は、関数をプログラミングせずにテーブルで管理するために、このような対応が可能なのだ。

日立のSOAプラットフォーム「Cosminexus」上に構築されたCURSUS-BCは、日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社の地図情報システム「GeoMation/Gas」とCosminexus上で連携し、多面的にお客さま情報を管理している。これにより、地図情報を通じてお客さまのインフラ状況から基幹業務までを見通せる透明性の高いシステムを実現。お客さま視点でのより高度な営業支援が可能になった。

「GeoMation/Gasは、巡回先の折衝記録を書き込んで共有したり、特定条件の設備だけを抽出した結果を表示させるなど、営業戦略を練るために活用できる機能が豊富にそろっています」(望月氏)。

静岡ガスでは、地図を複数レイヤーに分けて、部署ごとに異なる目的で使えるような使い方の工夫もしている。また、コールセンターでもGeoMation/Gasを活用しており、的確な回答をすばやく行うために役立てている。

システムの安定稼働に貢献する
日立オープンミドルウェア

川村 昌史氏の写真
静岡ガス・システムソリューション株式会社
取締役
総務グループリーダー
川村 昌史氏

鈴木 祥次氏の写真
静岡ガス・システムソリューション株式会社
システム開発グループリーダー
鈴木 祥次氏

2009年5月、SG-ENECISは本番稼働を開始した。

CURSUS-BCとGeoMation/Gasとのシームレスな連携により、お客さま視点での営業活動を基盤から支えるCosminexusとともに、統合システム運用管理「JP1」などの日立オープンミドルウェア製品や日立の統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」が、システムの安定稼働と業務効率の向上などに貢献している。

「稼働後からシステムは大きなトラブルもなく、安定して稼働しています」(泉氏)。

SG-ENECISでは、料金計算を中心に千数百のバッチジョブを動かしているが、長年にわたりきめ細かく作り込んできた複雑な処理を、JP1で約100のジョブネットに整理して、効率的なジョブ管理を実現している。

さらに、帳票ツール「uCosminexus EUR」を活用し、約400種類もの帳票編集における、ビジネススピードの向上と柔軟性を確保している。

「ビジネス環境の変化や現場のニーズへ迅速に対応でき、将来のシステム拡充にも柔軟に対応できるシステム基盤が確立できました」と川村氏は語る。

画面例
Cosminexus上でシームレスに連携しているSG-ENECISの基幹業務画面(上)と、
地図情報システム画面(下)。
※(株)ゼンリン掲載許諾番号「Z09LD第144号」

一元管理された情報を活用し
「科学的どぶ板営業」を進化

SG-ENECISは、エネリアおよびグループ各社でも、受発注業務とデータ分析の両面で活用している。データ分析では、ETLツール「DataStage®」とOLAPツール「HITSENSER5」でデータウェアハウスを構築。これにより、業務効率が向上するとともに、利用部門が使用するデータ分析の基盤が整った。

「営業活動を分析し、効果的なアプローチのパターンを割り出して、営業現場へフィードバックすることが、これからの取り組みです」(泉氏)。

SG-ENECIS構築のテーマの一つである「新サービス創出のための基盤構築」では、さっそく成果があらわれている。

SG-ENECISの稼働開始から3ヵ月後の2009年8月、家庭用燃料電池「エネファーム」専用のガス料金メニューをスタート。さらに、同年10月には、ガス料金のクレジットカード払いの取り扱いを開始して、サービスを強化している。

静岡ガスは、一元化されたお客さま情報を活用し、地域に密着した仮説検証型営業を行う「科学的どぶ板営業」のさらなる進化を目指していく。静岡ガスのその取り組みを、今後も日立オープンミドルウェア製品と日立のサポートが支えていく。

静岡ガス(株)の「SG-ENECIS」システム概要

USER PROFILE

静岡瓦斯株式会社のロゴ

静岡瓦斯株式会社

[本社] 静岡県静岡市駿河区八幡1-5-38
[設立] 1910年4月16日
[資本金] 62億7,900万円
[従業員数] 631名(2008年12月現在)

静岡県中東部を中心に天然ガスを供給する都市ガス事業者。静岡県主要都市を結ぶ高圧ガスパイプラインを次々に建設して、増え続ける天然ガスの需要に対応する輸送能力・安定供給の確保に積極的な投資を行っている。

USER PROFILE

静岡ガス・システムソリューション株式会社のロゴ

静岡ガス・システムソリューション株式会社

[本社] 静岡県静岡市駿河区八幡1-5-38
[設立] 2001年1月4日
[資本金] 2,000万円
[従業員数] 20名(2009年1月現在)

都市ガス事業でのシステムサポートで培った豊富な経験と業務知識をベースに、システム開発・運用・保守、システムコンサルティングなどを行う。積層ゴム型免震装置や大型免震床構造を採用し、システムの安定稼働を支えている。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ 2/3日号」に掲載されたものです。
  • SOA:Service Oriented Architecture ETL:Extract, Transform and Loading OLAP:On-Line Analytical Processing
  • GeoMationは、日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社の登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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