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便利で安全な学生支援ポータルシステムを日立の「Cosminexus」で構築。
学生一人ひとりへのきめ細かい教育支援を実現

文科系総合大学の札幌大学では、総合学生支援システム「アイトス」を運用している。 構築にあたっては、日立のユニバーサル・アプリケーション・プラットフォーム「Cosminexus(コズミネクサス)」のポータル基盤「uCosminexus(ユーコズミネクサス) Portal Framework」を採用。パーソナライズの行き届いたポータルシステムの短期開発、段階的な機能拡張などを実現した。 札幌大学は、学生を勉学・課外活動・就職進学のすべての視点で総合的にサポートする体制を、組織とシステムの両面から整えることに成功したのである。

学生をワンストップで支援するには情報の一元化が不可欠

岡地 功氏の写真
札幌大学
学生支援オフィス
事務長
岡地 功氏

札幌大学は、入学から卒業・就職に至るまで、学生一人ひとりをきめ細かくケアする大学である。たとえばアドバイザー制度。学生には全員、個人的なアドバイスをする教員が割り当てられ、勉強、課外活動、進路など何でも相談できる。また就職支援においても、個人面談が重視されている。

さらに2002年、「学生支援オフィス」という組織が生まれた。

「学生が学生であるために好ましい条件を整えるのが『厚生補導』。札幌大学は、S・P・S(Student Personal Service)の考え方を取り入れて厚生補導を徹底的に推進し、事務局組織まで改変しました」と岡地氏は語る。

通常は、教務課や就職課など複数の組織が、厚生補導を分担する。ところが札幌大学では、厚生補導を目的とする組織を作り、当時13あった課のうちの7課をこの学生支援オフィスとして再構成。学生が抱える問題にワンストップで対応できる体制を整えた。

問題は、思い切った組織改変に、システムがついてこられないことだった。

「学生の基本情報、履修情報や成績情報、企業の求人情報などは、それぞれ別システムのデータで、担当課が個別に管理していました。一元化した組織が効率よく動くためには、システム側にも一元化が不可欠だったのです」と岡地氏は説明する。

そこで構築したのが、総合学生支援システム「アイトス」である。

複数システムの情報を連携して表示する「ポートレット連携」

笹森正哉氏の写真
札幌大学
学生支援オフィス
係長
笹森正哉氏

八重樫練太朗氏の写真
札幌大学
学生支援オフィス
八重樫練太朗氏

「アイトス」は、学生も教職員も、同じ画面からスタートするポータルシステムである。

「一元化した情報は、教職員が使うだけでなく、学生生活をより豊かに過ごすために学生自身が活用することが大切です。また、学生が自分の情報を使ったり更新することで、最新の活きた情報が自然に蓄積できるという効果もあります」と笹森氏は指摘する。

開発にあたっては、日立の提案を採用。日立のユニバーサル・アプリケーション・プラットフォーム「Cosminexus」のソリューションコンポーネントの中から、ポータル基盤「uCosminexus Portal Framework」を用いてシステムを構築した。

「複数の提案の中から、日立を選んだのは、使いやすさを総合的に実現できるポータルフレームワークであることと、学生が安心して使えるセキュリティの配慮が、バランスよく盛り込まれていたからです。便利さとセキュリティを両立させる提案でした」と八重樫氏は評価する。

uCosminexus Portal Frameworkは、ポータルシステム構築に必要な機能を統合的に提供するポータルフレームワークである。ユーザー認証、アクセス制御、パーソナライゼーション、コンテンツ管理、アプリケーション統合、シングルサインオンなどの機能を組み合わせて、適切なシステムを構築できる。札幌大学の場合は、教務システム、就職関連システムなどの既存システムに加えて、メールやプリント管理の他社アプリケーションや、新規に開発した細かなシステムなどすべてをポートレット化し、1つの画面に統合して、シングルサインオンでアクセスできるようにした。


時間割や履修登録状況など、授業に関する情報が確認できる。

また、uCosminexus Portal Frameworkの特長の1つである「ポートレット連携機能」をフル活用している。この機能により、利用者はポータルに統合された各システムへ同じ内容を繰返し入力するといった手間をかけず、すばやく各システムが提供する情報にアクセスできるのだ。
たとえば、一人の学生について、基本情報、履修科目、成績、相談履歴という4種類の情報を4つのポートレットを使って同時表示する画面を作っている場合、学生の名前だけ変えれば、4つのポートレットの情報がすべて指定した学生のものへと自動的に切り替わる。学生と面談しているときに、検索などで話を中断させることなく、必要な情報をどんどん表示させながら的確なアドバイスを提供していけるのである。

セキュリティ面では、LDAP連携により、学生と教職員全員の認証の一元管理を実現した。また、Web保護ツールを使って、画面の保存、印刷、コピー等の操作を抑止し、コンテンツの保護まで目配りをしている。

学生は、ログインをするだけで、自分が履修している講義を表示した個人カレンダーや試験の時間割など、パーソナライズされた情報を見ることができる。休講情報など大学からのお知らせを、携帯電話でチェックすることも可能だ。教職員も、アドバイザー、科目担当教員、クラブ顧問などの立場によって、見られる情報がきめ細かく制限されている。

学生と教職員の共生に向けてさらなるポータル活用へ

五十川深雪氏の写真
札幌大学
学生支援オフィス
五十川深雪氏

橋本 要氏の写真
札幌大学
学生支援オフィス
橋本 要氏

「アイトス」は、2005年4月にサービスをスタートした。2006年には、アンケート機能などを追加し、秋には、Web経由での履修登録サービスを開始。2007年度は、Web履修登録を充実させるほか、レポート提出の機能も新登場する。このように、効果を確認しながら機能を拡張していけるのも、ポータルフレームワークならではの特長である。

総合ポータルシステムの構築によって、教職員は、情報を活用した業務がすばやくできるようになった。システム管理者も、部門間でのデータのやりとりのために、ファイルを抽出したり紙を出力するという作業から解放された。

「重要な情報を上の階層へ移動するなどの工夫をして、以前カウンターで学生に直接アドバイスしていたときの効率よい流れを、システムに盛り込みました」と橋本氏は語る。

学生も、新着求人情報やサークル情報など、さまざまな情報を利用している。画期的なのは、大学の中核システムである教務システムと連携していることだ。自分の出席状況、修得単位数、科目ごとの成績などをいつでも確認できるため、学習のモチベーションアップに役立っている。

「4年間の利用を通じて、自分の情報は自分で守らなければならないこともしっかり教えたい」と五十川氏は語る。

今後は、学生の利用をさらに向上させるため、ブログやSNSを取り込むことも検討している。自然に蓄積されるデータログを活用して、高校へのアプローチや学校案内の広告のしかたを分析・研究していきたいという思いもある。

より機能的な厚生補導を実現して、学生の生活をよりきめ細かくサポートするために、Cosminexusは今後も進化を続けていく。

札幌大学の「アイトス」システム概要
札幌大学の「アイトス」システム概要

USER PROFILE

学校法人札幌大学のロゴ

学校法人札幌大学

[所在地] 北海道札幌市豊平区西岡3条7丁目3-1
[設立] 1967年
[学部] 外国語学部、経済学部、経営学部、法学部、文化学部
*女子短期大学部を併設
[学生数] 約5,600名
[教員数] 約350名(教授、助教授、講師合計)

大学5学部9学科、女子短期大学部2学科、大学院5研究科を展開する文科系総合大学。札幌ドームを見下ろす札幌市豊平区西岡の高台に、東京ドーム4個半に相当する広大なキャンパスを展開。非接触型ICカードを用いた学生証で、講義への出欠を取っている。道内有数の蔵書数を誇る大学図書をはじめ、施設・設備も充実。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ2007年2月19日号」に掲載されたものです。
  • Cosminexusの詳細については,ホームページをご覧ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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