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ビジネス戦略を支える新情報分析システム「DACS(ダックス)」に
日立の情報資産管理基盤「DataStage®」を採用
大量のマスターデータを迅速・確実に処理

コンビニエンスストア大手の株式会社ファミリーマート(以下、ファミリーマート)では、2001年8月より新情報分析システム「DACS(Data Analysis Create/Control Strategy)」を稼働させた。さまざまな業務情報を詳細に分析することで、タイムリーかつ戦略的なビジネスを実現するの が狙いである。分析業務を行う上では、大容量の商品マスター/店舗マスターから必要な データを取り出し、用途や目的に応じたマスター群を生成しなくてはならない。そこで同社では 日立のデータ統合のための情報資産管理基盤「DataStage」を採用。マスター処理の効率 化を図ると同時に、データ処理の可視化、システムのメンテナンス性向上も実現している。

情報活用の高度化を目指し 分析システムの再構築に着手

関 正綱氏の写真
株式会社
ファミリーマート
取締役執行役員
システム本部長

DCM推進室管掌
関 正綱氏

倉掛 直氏の写真
株式会社
ファミリーマート
システム本部
システム開発部
営業システム開発グループ

DCM推進室マネジャー
倉掛 直氏

欲しい商品をいつでも、手軽に購入できるコンビニエンスストア。規制緩和によって取扱商品の幅も広がり、ますます我々の生活に欠かせない存在となっている。しかしその一方で、業界内の競争は一段と激しさを増している。もし「いつも同じモノしかない」といった印象を持たれようものなら、たちまちライバルに客足を奪われてしまうことになる。顧客の支持を獲得するためには、常に魅力ある商品を取り揃えておくことが必要だ。

ファミリーマート取締役執行役員システム本部長兼DCM推進室管掌関正綱氏は、「ファミリーマートの店舗には約3,000アイテムの商品が並んでいますが、そのうち約40アイテム程度は毎週新しい商品に入れ替わっています。何年にもわたって販売されるような定番商品は、全体のほんの一部に過ぎません」と語る。

最適な品揃えを実現するためには、商品の「売れ筋」「死に筋」や顧客の購買動向を、しっかりと見極める必要がある。そこで同社ではOLAP(Online Analytical Processing)ツールで構築された情報分析システムを活用し、ビジネス戦略の立案・遂行に役立ててきた。

しかしシステムを使い込むに従って、次第に新たな問題点も浮かび上がってきた。

「従来の分析システムでは、基のデータは同じはずなのに、各ユーザー部門から出てくる分析データが微妙に合わないことがありました。全員が同じデータに基づいて話をしないと、議論が噛み合わなくなってしまいます。またユーザーの要望を柔軟に取り入れられない、システム改修に多くの工数やコストが掛かるといった点も問題でした。そこでデータマートを主体とした新たな情報分析システムを構築したいと考えたのです」とファミリーマートシステム本部システム開発部営業システム開発グループ兼DCM推進室マネジャー倉掛直氏は説明する。

商品マスターと店舗マスターを統合DBで一元的に管理

中里 中氏の写真
株式会社
CRCソリューションズ
生活流通事業部
生活流通第4部
部長
中里 中氏

もっとも情報分析システムの再構築を行う上では、解決すべき課題もあった。同社のITパートナーである株式会社CRCソリューションズ生活流通事業部生活流通第4部部長中里中氏は「以前のシステム環境では、商品マスターが物流情報も一緒に持っていました。これが適切な情報分析を行う上での障害となっていたのです」と振り返る。

たとえば弁当やおにぎりのような商品の場合、店舗には一日三便に分けて配送が行われる。このため同じ弁当であっても、一便と二便、三便では異なるコードが付加される。しかもファミリーマートでは全国を12の物流地区に分けているため、一商品について36ものコードパターンが生じてしまう。これでは分析対象となる商品が、どこで、どのくらい売れているのかを迅速に把握することができない。

「そこで情報分析システムの再構築と同時に、商品マスターと店舗マスターを統合管理するデータベースの構築にも取り組みました」と中里氏は続ける。

「統合DB」と名付けられたこのデータベースは、過去分も含め総数170万件にも上る商品マスターと、約6,000店分の店舗マスターを一元的に管理している。「店舗マスターについても、以前は業務部門ごとに複数のマスターが存在し、それぞれのニーズに合わせた形で利用されていました。しかしここを統合しないことには、一元的なデータ分析はあり得ない。多少の苦労も伴いましたが、統合DBの構築に踏み切った意義は大きかったですね」と倉掛氏は語る。

「DataStage」を導入し マスター処理の効率を大幅アップ

実際の分析業務を担当しているのは、「DACS」と呼ばれる新情報分析システムである。DACSには統合DBの商品マスター、店舗マスターに加えて、店舗のPOSから送られる販売データや発注データなども取り込まれる。これらのデータ群を各業務部門の用途に合わせてデータマート化し、分析業務を行うわけである。現在は販売実績管理などを行う「共通基本分析」、店舗指導などを行うスーパーバイザー向けの「SV系定型分析」、商品部門向けの「MD系定型分析」、さらに「本部スタッフ系定型分析」「非定型分析」などのサービスが提供されている。

このシステムで問題となったのが、マスターの更新処理である。冒頭にも述べた通り、コンビニでは商品の入れ替わりが非常に激しく、商品マスターの更新作業が頻繁に発生する。しかも分析用のマスター群を作成するためには、数十個のテーブルで構成された商品マスターの中から、各マスターに必要な部分を抜き出さなくてはならない。また店舗マスターについても同様で、新規店舗の出店や既存店舗の退店に合わせてマスターを更新していく必要がある。

そこで同社では、こうしたマスター処理の効率化を図るべく、日立の情報資産管理基盤「DataStage」を導入した。その理由を、関氏は「データ処理の可視化とメンテナンス性の向上が最大のポイントです。システムの連携部分を個別に作り込んでしまうと、データの流れがブラックボックス化されてしまいます。またシステムを改修したいと考えた時にも、いちいちプログラムを作り直さなくてはなりません。その点DataStageを導入すれば、こうした問題がすべてクリアできます。それでCRCソリューションズ社にDataStageを使うよう要請しました」と語る。

DataStageを提供するITベンダーは他にもあるが、DataStageの日本語化作業を行なっており、かつ独自のアドオン部品を提供しているのは国内では日立だけである。こうしたサポート体制の充実度も高く評価され、DACSシステムへの本採用が決まった。

ファミリーマートの新情報分析システム「DACS」概要図

DACSでの実績を高く評価 DCMシステムへの適用も

大量データの加工処理を全面的にETL(Extraction,Transformation and Loading)ツールで行うのは、CRCソリューションズ社としては今回が初めての試み。それだけに当初は多少の不安もあったという。しかし結果的にはこれもまったくの杞憂に終わった。

「DataStageは分かり易いGUIでデータの流れを定義できるので、非常に使いやすかったですね。DACSシステムでは短期構築も重要なテーマだったのですが、DataStageのおかげで大幅に生産性が向上しました」と語る中里氏。「担当者を増やす際にも、あまり教育の手間を掛けなくて済みます」と続ける。また性能・信頼性の面でも、DataStageは高い評価を獲得している。システムは本稼働開始以来、大量のマスターデータを処理し続けているが、DataStageに関するトラブルは一切無いとのことだ。

「統合DBとDACSが稼働したことで、データ分析・活用の幅は大きく広がりました。システムに対するアクセス数も飛躍的に増え、全社的な情報インフラとして積極的に活用されています」と倉掛氏はにこやかに語る。最近では土日も情報分析を行いたいとの要望が増えたため、日曜午前中のメンテナンス時間以外はDACSシステムを利用できるようにしたとのことだ。

またDataStageについても、さらなる活用を検討中だ。倉掛氏は今後の抱負を「当社ではメーカーや卸売会社向けにDCM(DemandChain Management)システムを構築していますが、このシステムも煩雑なマスター処理を伴います。今後はこうした分野にも、DataStageを適用していきたいですね」と語る。今後もファミリーマートの情報活用戦略を、DataStageと日立のサポートがしっかりと支えていくようだ。

USER PROFILE

株式会社ファミリーマート

[本社] 東京都新宿区西新宿1-26-1
[設立] 1981年9月1日
[資本金] 166億5,800万円
[売上高] 9,318億800万円(2003年度)
[従業員数] 2,202名(2003年8月末現在)
[加盟店数] 9,679店(2003年8月末現在)

日本を代表するコンビニエンスストアチェーン大手。台湾、韓国、タイなどアジア地区にも積極的にビジネスを展開。またインターネットショップ「ファミマ・ドットコム(http://www.famima.com/)」も運営している。「常に先進的でイノベーショナルな企業グループであること」を目標としている。

PARTNER PROFILE

株式会社CRCソリューションズ

[本社] 東京都江東区南砂2-7-5
[設立] 1958年11月13日
[資本金] 19億850万円
[売上高] 530億円(連結、2002年度)
[従業員数] 2,337名(CRCグループ、2004年3月31日現在)


会計システム、経営支援システムなどの業務アプリケーション開発事業、システムインテグレーション事業、アウトソーシング事業などを手がける。長年にわたり蓄積した技術とノウハウを活かし、顧客企業に最適なIT環境を提供している。横浜・神戸・東京大手町の3拠点にデータセンターを保有。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ」2004年6月14日号に掲載されたものです。
  • DataStageは、Ascential Software,Corp.またはその関連会社の、米国またはその他の国における登録商標です。
  • 記載の会社名、製品名は、各社の商標もしくは登録商標です。
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