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マルチベンダーのサーバを「JP1」で統合管理して、
システム全体の「見える化」を実現。
可用性の大幅向上で、ビジネスチャンスも拡大

理化学機器・産業用品・医療用品などの卸売業を手がけるアズワン株式会社(以下、アズワン) は、高い可用性が求められるマルチベンダー環境のサーバ群を、日立の統合システム運用管理 「JP1」で統合管理している。

サーバの稼働状況やインシデントまでを統合的に管理して、全体の 「見える化」を果たしたことで、障害の予兆管理から的確な対応まで、システム運用のPDCA サイクルがうまく回るようになり、システム全体の可用性が大きく向上した。
また、多様なサーバ を効率よく運用できる柔軟なシステム基盤を手に入れたことは、今後のWeb戦略においても 大きな推進力となるに違いない。

カタログ販売の生命線である
システムは安定稼働が絶対の使命

小山宣彦 氏の写真
アズワン
株式会社
情報戦略本部
IT推進部
部長
小山宣彦 氏

アズワンのビジネスモデルの大きな特長は、 「カタログ」という媒体を通じて豊富な品揃え を提案していることだ。同社では約5万アイ テムの商品を分野ごとに収録したオリジナル カタログを制作し、全国約9,000販売店の 効率的な活動を支援している。

カタログ販売は、発注から納品までのリー ドタイムの短さが勝負どころである。したがって 情報システムは、安定稼働が絶対的使命であ り、予定外の停止は許されない。特に販売店 向けのシステムは、その日の出荷が止まれば 莫大な損失を招くため、システムの高可用性 を維持することは重要な課題だ。

「さらに2008年には、新組織を立ち上げ、 Webのより戦略的な活用に取り組んでいく ことになりました。システムの可用性に対する 要求はますます強くなります」と小山氏は言う。

同社では、マルチベンダー環境で100台を 超えるサーバ群を運用しており、それらをトータ ルに管理するのには苦労してきた。可用性を 維持するために、IT推進部のスタッフはトラブ ルへの迅速な対応に追われてきたのである。

自然災害や発熱量超過などのリスクを避け ながら、大量サーバの安定稼働を維持するた め、データセンターへのハウジングを決断した のは、2007年のことである。

「データセンターへ移設すると、これまでの ように気軽にサーバのところへ行って作業を することができません。運用プロセスを標準化 し、マルチベンダー環境を統合管理するツー ルも導入して、管理体制を強化することが急 務となりました」と池田氏は語る。

小さく始めて大きく拡張していける
統合システム運用管理「JP1」

池田泰行 氏の写真
アズワン
株式会社
情報戦略本部
IT推進部
課長
池田泰行 氏

同社は2007年7月に、システムに関係する 各ベンダーをメンバーとする「オープンシステム 運用会議」を発足させ、運用プロセスの標 準化と並行して、運用管理システムの構築 を検討した。

日立の統合システム運用管理「JP1」を選 定した理由としては、次の3点が挙げられる。

第1に、JP1は「ポイントソリューション」が 可能であった。

「100台以上のサーバを一気に統合管理 するのは、予算面でも困難でしたが、JP1なら、 まずは必要な機能のみに絞ってスタートし、後 で追加していくことが可能です。不要な機能 もついてくるパッケージ製品とは異なり、必要 な機能だけ導入することができます。統合管 理ツールでありながら、こういう柔軟性を持っ ていることがJP1の魅力でした」(池田氏)

第2に、JP1は「ライフサイクルポリシー」も 徹底していた。同社が運用しているサーバ群 は、複数のサーバベンダーの製品が混在し、各 種OSを使用しているのに加えて、OSのバー ジョンも新旧混在していることが課題だった。

そこで、基本的にはJP1の最新バージョン を用いながらも、旧バージョンのOSを使った システムには、そのOSに対応したバージョン を適用。バージョンの差を感じさせない親和性 で、システム全体を統合管理できたのである。

第3は、JP1が同社の求める機能を、もれ なく満たしていたことだ。

「製品選定の際、わたしたちは12項目の比 較表を作って厳しく評価しましたが、複数の運 用管理システムを日常的に使っているデータ センターからもJP1を強く推薦されたことで、 確信が持てました」と池田氏は明かす。

マルチベンダー環境全体の
「見える化」を実現

箱田真一 氏の写真
アズワン
株式会社
情報戦略本部
IT推進部
主事
箱田真一 氏

同社は、実質3ヵ月の導入期間を経て、 2007年10月のハウジング開始と同時に、JP1 による統合管理をスタートさせた。

管理機能は、「JP1/Cm2」によるサーバの死 活監視、リソースやサービス、プロセスの稼働 状況監視、「JP1/Base」によるログ監視、そし て、「JP1/IM-IDM」によるインシデント管理が あり、これらを「JP1/IM」で統合管理している。 また、発生したイベントの重要度に応じて、 パトロールランプ点滅や担当者へのメール 自動通報を行う。さらに、サーバに対する遠 隔操作も「JP1/NETM/Remote Control」で 一部実現した。

「問題が発生すれば、JP1から即座に通報 されます。そこで画面を見れば、障害箇所や 原因がひと目でわかります。システム全体の 見える化が実現できました」(箱田氏)。

また日立は、JP1の稼働開始から2〜3ヵ月 の間を「チューニング期間」と位置づけ、不要 なエラーは検知させない設定を行った。たとえ ば、定期的なリブートや、メンテナンスのため の不定期の停止操作の時には、エラー通知 が発信されないような設定をして、効率の良い 統合監視の環境を整えたのである。

リソース監視で予兆管理を実現し
Web戦略にも大きな推進力

JP1を導入したことで、トラブルの早期発見 と未然防止がタイムリーにできるようになった。

たとえば、リソース監視により、販売店向け システムのサーバ使用率が高ければ、事前に 通知をしたり、迅速な対処をすることができる ようになったのだ。

見える化が実現したことで、「オープンシステム 運用会議」でも各サーバの稼働情報をベン ダー間で共有するなど、効率的な運用が可 能となった。

またJP1では、サーバのリソース使用状況や 障害件数をレポートとして出力する機能も提 供しており、こうした情報を活用して、今後のIT 資産投資を効率的に行うためのキャパシティ・ プランニングも行っている。その結果、経営 トップに明確なデータを示しながらサーバ強 化の必要性を説明したり、レポートの結果を 分析して計画的にリソースの追加を行うなど、 システム運用のPDCAが効率よく回るように なった。

今後は、管理対象のサーバを増やすこと、 データウェアハウスのデータ収集プロセスな どに「JP1/AJS2」による自動化を取り入れる こと、インシデント管理をさらに強化して管理 ノウハウの属人化を完全に排除することなど を目標としている。

「JP1導入によって、内部統制が強化された ことや、IT推進部のスタッフがトラブル対応から 解放されて、企画や戦略に力を振り向けること ができるようになったのは大きなメリットです。さら に、多種多様なWebサーバを高い信頼性で稼 働させる基盤ができたことで、今後はWebの戦 略的活用にも安心して取り組めます」(小山氏)。

アズワンの次なるビジネスモデルの創出 も、JP1は柔軟にサポートしていく。


アズワン株式会社の統合管理システム概要
アズワン株式会社の統合管理システム概要

USER PROFILE

アズワン株式会社

アズワン株式会社

[本社] 大阪府大阪市西区江戸堀2-1-27
[設立] 1962年6月1日
[資本金] 50億7,500万円(2008年3月末現在)
[従業員数] 296名(2008年3月末現在)

研究用機器機材や看護・介護用品、各種の消耗品・備品などを専門に取り扱う商社。 各分野向けに充実したカタログを発行しているほか、カタログ商品検索サイト「JUS-TIS」でも 情報を提供。2008年は新たに、食品業界向けサイトや研究者向けQ&Aサイトを立ち上げる。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ 2008年9月22日号」に掲載されたものです。
  • JP1の詳細については、ホームページをご覧ください。
  • PDCA:Plan-Do-Check-Action
  • JP1/IM:JP1/Integrated Management JP1/IM-IDM:JP1/IM-Incident Master JP1/AJS2:JP1/Automatic Job Management System 2
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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