1. 実質的独立会社制
(1) 導入の経緯
日立製作所では、平成7年2月から社内グループ制を実施してきました。この制度導入の目的は、開発から製造、販売まで一体となった事業運営により、社内の各グループが、市場の変化に即した事業運営を行うことでした。「自己完結」「マーケット志向」に重点を置き運営してきました。しかしながら、ここ数年、メガコンペティションという言葉に代表されるように、マーケットの変化は予想以上に早く、よりスピーディーに対応することが求められています。また、自己完結と言っても、他のグループへ依存する意識が十分に払拭しきれていなかった面もありました。
そこで4月から、社内を10のグループに分けた事業運営体制とし、各グループがあたかも独立会社のように、自己責任原則のもと自ら意思決定を行い、機動的な事業運営が行えるよう、今までのグループ制を深化させた「実質的独立会社制」の導入を決定しました。同時に、実質的独立会社化を実現するために、新役員・経営体制を導入し、あわせて本社機構の改革を行いました。あくまで各グループが、自らのマーケットに即し、自己責任原則のもとスピードを高めて事業運営を行っていくことが、今回の改革の柱です。
(2) 権限の委譲
実質的独立会社としての社内グループの強化に向けて、各グループへ大幅に権限を委譲します。これまでは、常務会を実質的な意思決定機関として、重要案件を審議してきましたが、各グループにその決定権限の大半を委譲しました。したがって、各グループでは、その事業戦略、製品戦略を自らの責任のもと決定することができるようになりました。各グループでは、グループ長&CEOをトップに、新たに委嘱された業務役員がボードメンバーとなったグループ経営会議において、意思決定を行い、グループ業務執行の責任を負います。大半のグループ長&CEOは、全社的事項を意思決定すべき商法上の取締役とは切り離し、上席常務、常務とすることにより、グループ経営に専念できる体制としました。各グループは、その事業と関連のある子会社等を含めた事業連結ベースで評価します。大幅に権限が委譲された一方で、その責任の所在も明確にします。従来のように不採算部門を抱えたままでは、自ずとグループとしての経営が成り立たなくなりますので、不採算部門の整理・統合を進める必要がこれまで以上に強まってきます。
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