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遺失物管理ソリューション 導入事例
埼玉高速鉄道株式会社様

遺失物の管理業務フローを改善し、旅客サービスの向上を実現しました。

埼玉高速鉄道株式会社 車両

列車内や駅構内での「お忘れ物」の取り扱いに細心の注意を払う埼玉高速鉄道。遺失物の特徴や管理状況の把握に、「遺失物管理ソリューション」を役立てています。遺失物の一時保管や持ち主への返還、警察署への届け出といった一連の業務フローを改善し、旅客サービスの向上を実現しました。

この事例に関するソリューション・商品

課題と選定

困難な遺失物の状況把握 業務効率低下の一因に

都心へ直結する埼玉県内初の地下鉄であり、東京都北区の赤羽岩淵駅から埼玉県さいたま市の浦和美園駅までの8駅14.6kmの路線を営業している埼玉高速鉄道。埼玉県内だけでなく首都圏への移動にも便利な生活の足として、1日平均約8万5000人の乗客が利用しています。埼玉スタジアム2002をはじめとする沿線のイベント・観光スポットに訪れる利用者が多いことも特徴です。開業12年目の2012年、累計乗客数が3億人を超えました。

駅利用者の安全を確保するため、同社は全国的にもいち早く、ホームドアを全駅に設置。運行における安全の徹底と、利用者目線の環境の整備に取り組んできました。こうした取り組みの一環として、開業以来同社が重視しているのが列車内や駅構内で見つかった遺失物の取り扱いです。
「遺失物に関する問い合わせは毎日40〜50件程度、雨の日には100件近くあります。携帯電話機や財布などの貴重品も含まれます。すべての遺失物はシステムで管理し、持ち主からの問い合わせに速やかに対応できる体制を整えています」と述べるのは、同社 鉄道統括部 運輸部旅客課の福井正人氏です。同社では各駅にて取り扱った遺失物をいったんターミナル駅である浦和美園駅内の「お忘れ物センター」に集約し保管しています。

遺失物の記録管理には、開業当初から独自の管理システムを使用していました。しかし長年運用する中でいくつかの課題が浮かび上がってきました。
例えば、持ち主が受け取りを希望する駅へ移送するため、お忘れ物センターから遺失物を出庫した際、従来は、移送中なのか、受け取り希望駅に保管中なのかのステータスを登録・表示することが出来なかったため、受け取り希望駅とお忘れ物センター間でその都度連絡を取り合うなど、オペレーションが煩雑になっていました。
また、従来はログイン時に利用するIDの割り当てが駅単位に限られており、遺失物を取り扱った駅係員をシステムで特定できないという課題がありました。

同社は長年利用した管理システムの更改を機に、人手で補っていた機能をシステム化し、情報セキュリティおよび業務統制レベルを高めるという新システムの要件を固めました。複数社の提案の中から、最終的にこれらの要件に合致したのが、日立ソリューションズの「遺失物管理ソリューション」でした。
改正遺失物法に準拠した導入しやすい鉄道事業者向けパッケージ製品で、短期間で導入可能なことやコストメリット、操作性、サポート体制などが評価の対象となりました。
業務部門のニーズに合った画面レイアウトや、機能の追加・カスタマイズを後から柔軟に行えることも評価されました。

導入

改正遺失物法に準拠したデータ連携を実現

遺失物を預かると駅係員は、各自に割り当てられたIDでシステムにログインし、遺失物に関するデータおよびステータスを登録します。登録を終えると、QRコードが印刷された管理用タグとともに遺失物をお忘れ物センターに移送します。
遺失物と管理用タグがお忘れ物センターに届くと、係員は管理用タグ上のQRコードをバーコードリーダーで読み取ります。すでに登録されてあるデータをPC画面に呼び出し、遺失物とデータ上の特徴を照合した後で、ステータスを「保管中」に変更します。
持ち主が判明し、希望によりお忘れ物センターから駅に遺失物を移送する際にも同様の手順を取ります。

例えば、川口元郷駅へ遺失物を移動する場合、お忘れ物センターから出庫した時点でステータスを「移送中」に変更します。川口元郷駅に遺失物が到着すれば、駅係員がステータスを「川口元郷駅 保管中」に変更。従来は不可能だった正確なステータス管理を実現し、持ち主からの問い合わせなどに対して迅速な対応が可能になるなど、旅客サービスの向上を図りました。
「店舗や宿泊施設と違い、鉄道では駅間での遺失物の移送が発生します。今回、鉄道会社に最適な仕組みを短期間に構築できました。なおかつ、現場の要望に合わせた画面や機能の追加開発を、わずかなカスタマイズで対応できる柔軟性も得られました」と同じく運輸部旅客課の田村大輔氏は振り返ります。

2007年に施行された改正遺失物法では、遺失物に関する情報を警察署にデータおよび書面で届け出る必要があります。このため従来と同様に、新システムでも警察署とのデータ連携を実装する必要がありました。
「日立ソリューションズは、営業担当者に技術担当者のSEが同行するなど、サポート体制が整っている安心感がありました。おかげで警察署とのデータ連携も無事に実現できました」と福井氏は述べます。

遺失物の移動に合わせてステータスを変更
遺失物の移動に合わせてステータスを変更

成果と今後

使いやすい入力画面で確実な遺失物の管理を実現

(写真左)福井氏/(写真右)田村氏
埼玉高速鉄道株式会社
鉄道統括部 運輸部旅客課
福井 正人 氏(写真左)
埼玉高速鉄道株式会社
鉄道統括部 運輸部旅客課
田村 大輔 氏

導入後、遺失物情報の登録・検索操作は従来に比べて大きく簡素化されました。例えば、遺失物の色を登録するには、画面上に表示されるカラーパレットから該当色を選びます。キーボード入力を極力減らし、マウスによる選択式の入力画面にしたため、PC操作が得意でない駅係員でも容易に操作できます。「操作がしやすい」「すぐに使い方に慣れた」など、駅係員からの評価は上々です。
また、在中品(鞄の中身など)の情報も詳細に登録できるため、問い合わせ内容と遺失物の照合が迅速になりました。

システムは2012年6月から本格稼働を開始。土日も含めてトラブルなく稼働し、期待していたシステムの信頼性も達成できました。
「業務フローが大幅に改善されたにもかかわらず、開発に伴ったコストは安価に抑えられました。今後は、管理用タグに印刷しているQRコードをラベル化して、遺失物に添付できるようにすることを検討しています」(田村氏)

さらなる業務改善で、より一層の旅客サービス向上を目指しています。

導入企業プロフィール

埼玉高速鉄道株式会社

埼玉高速鉄道株式会社
開業日 2001年3月28日

埼玉高速鉄道株式会社

本社所在地 埼玉県さいたま市緑区大字大門字宮下3888番地
事業内容 鉄道事業・その他関連事業
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この事例に関するソリューション・商品

遺失物管理ソリューションは、人が多く集まる施設内で発生する忘れ物を、施設の運営者様が警察の代行として管理を実施するためのパッケージソリューションです。

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本ページの導入事例は、お客様への取材に基づき、2013年2月に公開された内容です。
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遺失物管理ソリューションは、2015年4月に、株式会社日立ソリューションズから、株式会社日立製作所へ移管されました。