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【Case Study】丸善薬品産業株式会社(日立HCIソリューション導入事例)

HCIでシンプルな運用性と拡張性を確保 次世代戦略に向けた基幹インフラシステムを刷新

化学品専門商社の丸善薬品産業株式会社(以下、丸善薬品産業)は、基幹システムのインフラ更改に合わせ「日立HCIソリューション for VMware vSAN」を導入。従来の課題であったストレージのリソース不足、バックアップ時間の増加、運用効率の悪化などをトータルに解決する、次世代戦略に向けた基幹インフラシステム刷新を実現しました。

将来を見据え、基幹インフラシステムの刷新を決断

写真:丸善薬品産業株式会社 溝口 瑛 氏(左側) 丸善薬品産業株式会社 安田 行統 氏(中央) 株式会社ニッセイコム 渡辺 友二 氏(右側)
(左から)丸善薬品産業株式会社 溝口 瑛 氏
丸善薬品産業株式会社 安田 行統 氏
株式会社ニッセイコム 渡辺 友二 氏

 大阪に本社を構える丸善薬品産業は、1895年の創立以来、中核事業となる化学品に加え、建設資材、ファインマテリアル、食品、ライフサイエンスと、時代の要請に合わせて事業領域を拡大。韓国・中国・マレーシア・ドイツにも海外拠点を展開するグローバル商社です。2020年にスタートした中期経営計画では、さらなる成長に向けた組織力の強化や、事業全体におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を掲げています。この方針の一環としてまず推進したのが基幹インフラシステムの刷新です。

 「当社は2014年、仕入・販売・在庫管理・会計などの機能を統合した基幹システムの基盤に、ブレード型サーバーを導入しました。それから5年を経る間に、事業拡大によるデータ量の増大や業務アプリケーションの追加などで、ストレージ容量不足やバックアップ時間の増加、運用管理の負担増などが課題になってきました。そこでサーバーの保守期限切れに合わせ、将来のビジネス成長に対応できるインフラへの刷新を決断したのです」と、情報システム部 部長 安田 行統氏は語ります。

 DXをにらんだ業務のデジタル化や新規事業の創出を図っていくには、新たな価値を生み出すデータ活用や、IT戦略をリードする情報システム部のコア業務への注力が重要なポイントとなります。

 「私たち情報システム部は限られた人員で、全国の支店・営業所からの問い合わせや要望に応えていかなければなりません。新たなインフラには、リソースの柔軟な拡張とともに、なるべくシンプルな構成で運用管理の負担を低減できる環境が必要でした」と溝口 瑛氏は語ります。

 こうした要望に対し、同社のシステム構築・運用を長年サポートしてきた株式会社ニッセイコム(以下、ニッセイコム)が提案したのが、複数のサーバーリソース(コンピューティング機能+ストレージ機能)を垂直統合し、シンプルな構成で容易なスケールアウトを可能とする仮想化基盤 HCIでした。

システム全体が検証済みで提供される安心感

 「ひと言でHCIと言っても、ベンダーごとに仮想化ソフトや構成、管理ツールなどが異なり、選択肢は多岐にわたります。ニッセイコムには当社の要件に合った複数の候補を提示していただき、そのなかから最終的に選んだのが日立HCIソリューション for VMware vSANでした。当社の既存環境(VMware ESXi)からの移行が容易な点も評価のポイントでした。また日立のHCIソリューションは物理サーバーや仮想化ソフトウェア、管理ソフトウェア、ネットワークスイッチなど、すべての構成要素がソリューションとして検証済みで提供される安心感があり、これが大きな決め手になりました」と安田氏は経緯を振り返ります。

 システム導入を担当したニッセイコムの渡辺 友二氏も、「日立のHCIソリューションはお客さま要件に合わせ、最適にセットアップされた環境が出荷され、構築から運用、障害対応までワンストップでサポートされるのが大きな強みです。日立とVMware社の長年の協業で培った知見やノウハウも含め、当社としても安心して提案できました」と続けます。

 一方、溝口氏は日立HCIソリューション for VMware vSANに標準搭載されている統合システム運用管理 JP1に大きな魅力を感じたと話します。

 「以前からJP1はジョブの自動化などで使っていましたが、HCI環境でもバックアップやリストア、仮想マシンの追加、さらにはシステム全体の運用監視など、複雑で手間のかかる業務を自動化することで運用負荷が低減できることが非常に助かると考えました」と溝口氏は語ります。

 情報システム部とニッセイコムは2020年4月からHCIシステムの設計を開始。日立の工場で構成済みの環境を6月に導入し、9月には早くも本番稼働を迎えました。ニッセイコムの渡辺氏は「スケジュールは非常にタイトでしたが、VMware ESXi、VMware vSAN、VMware vCenter®も含め、日立側で設定を終えた状態でHCIシステムが納品されたため、上位アプリケーションの移行からテスト、本番稼働へとスムーズにつなげることができました」と日立HCIソリューションの完成度を高く評価しています。

図:「日立HCIソリューション for VMware vSAN」を適用した新基幹システム
「日立HCIソリューション for VMware vSAN」を適用した新基幹システム
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バックアップ時間を約77%短縮

 HCIの導入によって大きく変わったのが、設置スペースと消費電力の低減です。ラックキャビネットの搭載スペースが14Uから6Uへと半分以下になったことに加え、消費電力量も約25%低減。同社が進める環境マネジメントの取り組みにも貢献しています。

 またバックアップ装置を現行のLTO(磁気テープ)からHA8000Vバックアップアプライアンス(Arcserve UDP)に変えたことで、継続的な増分バックアップと重複排除が活用できるようになり、バックアップ時間を約77%短縮。ディスク容量も削減されました。

 「これまで翌朝の始業時間ギリギリまでかかっていたバックアップが、今では大阪から福岡へのデータレプリケーションも含めて数時間で終わります」と溝口氏は語ります。

 さらに、標準搭載されたJP1/Automatic Operationと日立の運用ノウハウを盛り込み頻繁に行われる設定変更や更新操作をテンプレート化した「Hyper-Converged Infrastructure Content Pack(HCI Content Pack)」により、仮想マシンの追加・削除はもちろん、頻繁に行われる設定変更や更新操作、システム稼働状況の把握や障害発生状況の確認までがトータルに自動化され、作業負担と人為的ミスの低減を実現。安田氏は、「これまでビルの計画停電にともなうシステム停止・起動の手順が複雑で、業務を引き継ぐ際の悩みの1つでした。しかし今回からJP1で自動化できたため、将来的にも安心して運用できます」と語ります。

 丸善薬品産業は今後、運用性と拡張性に優れたHCIシステムの特性を生かし、次世代戦略に向けた全社業務のデジタル化とデータ活用による意思決定のさらなる迅速化を推進していく予定です。

 「HCIを基幹システムの基盤に採用することで、将来の環境変化にも柔軟に対応できる基盤に刷新できたことが最大のメリットです。システム監視や自動化など、まだまだ使いこなせていない機能がたくさんありますが、日立からさまざまなアドバイスや提案をいただきながら、IT戦略の進化につなげていきたいと思います」と安田氏は抱負を語ります。

 その期待に応えるため、日立はニッセイコムとともに、今後もHCIシステムの効果的な活用とデジタル化を加速させるソリューションを積極的に提案し、丸善薬品産業のDXをサポートしていきます。

  • 本記事は、日経×TECH(2021年2月2日〜)に掲載されたものです。

お客さまプロフィール

丸善薬品産業株式会社

[本店所在地] 大阪市中央区道修町2丁目4-7
[創業] 明治28年3月28日
[資本金] 3億3千万円(払込資本金)
[社員数] 269名(令和元年10月31日現在)
[事業内容] 化学品、建設資材、ファインマテリアル、食品、電子材料ビジネスユニット、アグリ、ライフサイエンス事業

株式会社ニッセイコム

[本店所在地] 東京都品川区大井 1-47-1 NT ビル
[創業] 1974年2月
[資本金] 3億円
[社員数] 856名(2020年4月1日現在)
[事業内容] システム開発から教育・サポートまでのシステムインテグレーション、アプリケーションパッケージの開発・販売およびASPサービス、その他

お問い合わせ先

(株)日立製作所 ITプロダクツ統括本部 HCI拡販センタ

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