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データサイエンティストを3000人育成。
「Lumada Data Science Lab.」がお客さまと協創する未来とは

2021-03-31

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吉田 順

株式会社日立製作所 Lumada Data Science Lab.

副ラボ長

日立製作所が2020年4月に設立した「Lumada Data Science Lab.」(以下、LDSL)に集う一人ひとりに光をあてるインタビューシリーズ。今回登場するのはLDSLの吉田順です。データサイエンティストを3,000人育成しているという吉田にLDSLで取り組んでいることやお客さまとの協創について聞きました。

データサイエンティストを3000人育成している狙いについて教えてください。

今後、ビッグデータの時代が来るだろうということで、2012年にお客さまのビッグデータの利活用をトータルに支援するデータ・アナリティクス・マイスター・サービスを立ち上げました。最初はわずか十数名からのスタート。社内では200人を超える人財がデータサイエンスの仕事をしていたのですが、当時はまだバラバラに取り組んでいる状況でした。

ビッグデータからAIの時代に切り替わっていく中で、データサイエンスに関係するビジネスが拡大し、段々とAIという言葉が一般的にも浸透していきました。そうした中で一貫して言い続けてきたのは、人財育成の重要性です。なぜなら、お客さまの業務課題を協創によって解決することが私たちの目的だからです。AIに精通した人財を一定数揃えないと、お客さまのAI活用はもちろん、そもそも課題を明確にするためのディスカッションやコミュニケーションも進みません。そこで打ち出したのが、データサイエンティストを3,000人育成する計画です。

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どのようにしてデータサイエンティストを育成しているのでしょうか?

まずは人数を増やして、社内のデータサイエンティストの裾野を広げるためにベーシックな研修を提供しています。それを受講することによって、データサイエンティストとして基礎からステップアップできます。そして、知識を学ぶだけでは仕事に生かせないのでOJTを重視しています。モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITなど社内の各セクターからLDSLに来てもらい、データサイエンスの知見と経験を持ち帰ってもらうプログラムを実施しています。実際にお客さまの課題に向き合う実践的な内容なので、各セクターに戻った後でも役立っていると好評です。

また、データサイエンティストとして各自が持っている知見やノウハウを共有するために、データサイエンス部会という有志のコミュニティを作りました。日立グループ全体から参加者がいて、現在では2,500人以上の集まりになっています。AIを活用したビジネスを進めるのと同時に、AIハッカソンを実施するなどして刺激を受けながら楽しく仕事をするという価値観を大事にしています。

お客さまからはどのような問い合わせがありますか?

「データサイエンティストを育成したいが、どうしたら育てられるのか」というお問い合わせをいただきます。それに対しては、日立社内でデータサイエンティストを育成してきたノウハウがあるので、自信を持って「ノウハウがあるのでご支援できますよ」とお答えしています。

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実例としては、お客さまのデジタル組織におけるデータサイエンティスト育成計画を立案したり、ご担当者様と一緒に実際のプロジェクトに取り組み、席を並べて一緒にデータ分析をするなど、育成のご支援をしたことがあります。通常のやり方であれば日立側でデータ分析を実施してその結果をご提供していますが、お客さまと一緒に悩みながら進める仕事だったので印象に残っていますね。

LDSLでデータサイエンティストの方々はどのように仕事をしているのでしょうか?

LDSLで働くのは楽しいと思いますよ。みんなもそう思ってくれているはずです(笑)。研究所のメンバーと事業部のメンバーが一緒になってワイワイやっていて、常に先端的な技術に触れられるのでスキルアップもしやすいですね。

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ノウハウをみんなで共有する仕組みを取り入れているので、組織に一体感があります。共有することにKPIを置いていて、自分のノウハウをブラックボックスにしたり、囲い込んだりしないような仕組みを作っています。リーダークラスにはいくつかのKPIを設定して、メンバーが仕事をしやすいチーム作りをしてもらっています。

また、育休の取得などライフイベントにあわせた働き方の多様性が尊重される仕組みと雰囲気があることや、分析対象となる事業領域が幅広く興味のある分野に取り組めることも魅力としてあげるメンバーが多いです。LDSLでは最初に何をやりたいのか聞くようにしています。「この業界のデータ分析をやりたい」「画像処理をやりたい」「自然言語処理をやりたい」などの希望を聞いて、できるだけ自由に取り組んでもらいます。やはり、好きなことをやってもらうとうまくいくことが多いですね。

今後、取り組みたいことを教えてください。

企業における業務の効率化や高度化、社会インフラの保守など、AIを使う領域がどんどん広がっています。さらにコロナ禍で働き方が変わるなど、変化の激しい時代の中で、どうやって安全安心なシステムを提供していくのか。お客さまとこれからも取り組んでいく大きなテーマです。

日立はモビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITという5つのセクターに分かれ、OT(Operational Technology)×IT×プロダクトによる社会イノベーション事業をグローバルに展開しています。

LDSLには、各セクターから前例のない先進的なプロジェクトの相談が寄せられます。そのため、高い分析スキルを持つデータサイエンティスト、AI・アナリティクス分野の技術を熟知する研究者、OTの深い知見を有するエンジニア・コンサルタントが集まっています。

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私たちの強みは、やはり実業があり、さまざまな分野のデータや業務のノウハウがあるということです。実業で培ってきたOTのナレッジとAI・アナリティクスを掛け算しながら、今後もデジタルソリューションを提供していきます。

お客さまとの関係で重視しているのは、ツールだけを提供して終わりにするのではなく、課題解決するために寄り添って一緒に考え、一緒に答えを出していく、価値をつくっていく協創活動をすることです。私自身は新しいものが好きなので、お客さまと一緒に “次の時代に来るもの”を見据えて、どんどん挑戦していきたいですね。