U氏は検索サイトに、作業者、検知、異常…などのキーワードを入力し、情報を探した。そしてヒットしたのが、日立の品質制御支援システムDSC/QCだ。
DSC/QCは、動画から作業者の異常な動作をシステムが自動検出するという。これだ!とU氏は思った。しかも3次元カメラなど特別なカメラはいらないらしい。導入したカメラがそのまま使えそうだ。早速、U氏は「お問い合わせ」をクリックした。
日立の説明を聞き確信を得たU氏は、DSC/QCの導入をスタートする。サーバにアプリケーションをインストールしてカメラを接続。やはり既設のカメラで問題ないそうだ。そしてお手本となる熟練者の作業を撮影してシステムに取り込む。DSC/QCは、熟練者の、例えば右手と左手がどのように動いたかを標準とし、その位置から逸脱した動作を作業異常として検出するのだ。そして、どこまでを逸脱動作とするかといったチューニングなど事前作業をきめ細かく進めていく。
「すべての作業者へ動画に基づいた標準動作を再徹底することも、事前作業として重要でした」。
そして約2か月でシステムは本稼働を迎えた。
本稼働初日の夕方、早速U氏はDSC/QCの検知結果リストを確認する。その日撮影した5名分の全動画からDSC/QCが作業異常と判断した作業がリストアップされていた。クリックひとつで各作業の動画を再生できる。作業改善前ということで異常は多く出たが、その確認は1時間ほどで終わった。
「人間がすべての動画を検証するのは不可能です。しかしDSC/QCなら膨大な動画を高速でチェックして、人間が認識困難な異常も検出してくれる。当社のケースでは、DSC/QCが検知した作業異常の約40%しか目視では見つけられなかった計算になります。効率と品質の両面で検証業務を大きくレベルアップしてくれました」。
その後、数週間にわたるDSC/QCを使った検証により、新たに多くの作業異常が見つかった。
U氏は該当する作業者に対して、標準動作と逸脱動作の比較画面を使って指導を行う。これもDSC/QCの機能だ。比較動画なら言葉より理解は早く習熟も早まる。こうした一連の取り組みによりC社の歩留まり率は改善された。
「作業者の習熟度の向上はものづくりの永遠のテーマです。いま外国人の従業員もますます増えつつあり、動画による指導はきわめて効果的です。これからもDSC/QCによる作業異常の検知と育成指導で、品質に磨きをかけ続けてまいります」。