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2023年10月25日から10月27日の3日間、幕張メッセで開催されたJapan IT Week秋。
10月26日に、当社マネージドサービス事業部セキュリティサービス本部 デジタルトラスト推進部の清藤 大介主任技師が、東武鉄道株式会社 経営企画本部課長の金子 悟氏とともに「生体認証とデジタルアイデンティティの活用により、リアル店舗での労働力不足を解決する取り組み」と題したセミナーへ登壇し、両社共同で立ち上げる予定のデジタルアイデンティティの共通プラットフォームについて講演しました。

東武鉄道×日立「生体認証とデジタルアイデンティティの活用により、リアル店舗での労働力不足を解決する取り組み」Japan IT Week秋 講演

東武鉄道と日立、共同でプラットフォーム立ち上げ

東武鉄道株式会社(以下:東武)と株式会社 日立製作所(以下:日立)は、生体認証とデジタルアイデンティティを活用した共通プラットフォームを共同で立ち上げることに合意し、8月29日に記者発表を実施しました*
セミナー冒頭では、清藤より、プラットフォーム立ち上げの背景となった深刻な労働力不足の問題と、それに伴う省人化・無人化の動きと課題を説明。
東武と日立でめざす姿として、「デジタル空間上に保存されている個人の属性情報であるデジタルアイデンティティに、生体認証を活用して安全にアクセスすることで、業種を横断して、決済、ポイント付与、本人確認などのサービスをワンストップで実現します」と構想を語りました。

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支払い時の動作、商品購入時の処理をワンストップで、さらなる機能も

続いて、本プラットフォームの機能を紹介しました。
決済・ポイント付与・本人確認などをワンストップで行えると、ユーザーにとっての利便性が向上するだけでなく、セルフレジでも年齢確認商品などを販売できるようになり、レジ工数の削減効果が期待できます。
さらに、ポータルサイト上での登録情報の一括変更機能や、飲料メーカーなどが実施するキャンペーンでのキャンペーンID登録機能も実装予定であり、ユーザーと企業の双方にとってメリットを創出できる旨を説明しました。

プラットフォームとしての特徴

本プラットフォームの特徴は、第一に、PBI*という日立独自の技術を活用し、生体情報を復元できない形に変換しセキュアに管理していることです。「生体情報はIDやパスワードとは異なり、漏えいしてしまうと取り替えることができません。本サービスでは、生体情報に戻せない形で暗号化しクラウド上に保管することで、仮に情報が漏えいしてしまったとしても生体情報そのものは漏えいしないため、『漏えいしても大丈夫』というきわめて高いレベルのセキュリティを維持して生体情報を取り扱います」と話しました。

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PBI:公開型生体認証基盤 Public Biometric Infrastructure

また、指静脈認証、顔認証の2つの生体認証の方式をサポートするため、企業側のメリットとして、利用シーンに応じた認証方式を選択可能であること、さらに、利用者の同意のもと登録された情報を業種横断で安全に共通利用することができるため、事業者個々でのシステム/サービス構築・運用と比べて迅速かつ手軽に導入することが可能である点を挙げ、最後には、「このプラットフォームを社会インフラとして定着させ、さまざまなシーンで活用していきたいと考えています」と今後の展望を強調しました。

Japan IT Week秋 日立講演の様子

デジタルの社会インフラを創出する

ここからは、東武鉄道 金子氏へマイクをバトンタッチ。東武グループが生体認証に取り組む理由を説明しました。
東武鉄道は、関東私鉄最大の鉄道ネットワークを持ち、グループ会社で運営する東京スカイツリー®は、電波塔として機能しており、リアルな社会インフラを作り上げてきた実績があります。
「社会全体のデジタル化が進展する中、『デジタルの社会インフラ』を事業として開拓していくことで、世の中をより便利にしていきたいという思いから、生体認証とデジタルアイデンティティを活用したプラットフォームの構想を進めてきました。」

日立と組む3つの理由

デジタルの社会インフラを創出するため、生体認証事業に取り組むことを決めた東武鉄道。パートナーとして日立を選んだ理由は、以下の3点でした。

  1. 複数の生体認証方式を採用し、シーンに応じた使い分けが可能
    ― ユーザーの視点に立ち、柔軟な組立を可能にしたいという構想が一致。
  2. 社会インフラとして定着をめざす発想
    ― 業種横断の共通プラットフォームとすることで、ユーザーは便利に、企業は導入が手軽に。
  3. 安心、安全な個人情報および生体情報の管理
    ― PBIの技術により、ユーザーと企業の双方が安心して使えるシステムを実現。

特に、3については「ここに尽きると思っている」とし、安全性に責任を持って事業を展開するコンシューマー向け企業としての強い思いをのぞかせました。

東武グループでロールモデルを構築していく

本サービスのファーストユースケースは、東武ストアでのセルフレジへの導入とし、そこから東武グループの複数施設へ拡大していく考えです。「まずはお客さまにとって身近なスーパーで、手ぶらで年齢確認・決済・ポイント付与がワンストップで実現する体験をすることで、手ぶらで完結する快適な世界観を感じていただきたい。その後、東武グループの幅広い業態で利用シーンを増やしていき、グループ外から見て『これって便利だよね』と感じていただけるような形を作っていければ」と、今後の展望を語りました。

Japan IT Week秋 日立講演の様子

講演後には、聴講者から多くの質問が寄せられ、セミナーは盛況の中、幕を閉じました。
当日の様子は、動画でもご覧いただけます。ぜひこちらもご覧ください。

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