ページの本文へ

Hitachi
お問い合わせお問い合わせ

中国銀行 × 日立製作所  金融機関のデジタル戦略を具現化する
「法人向け融資契約の電子化」
長年のサポート実績と
知見を活用し「DX」の
先進事例が花開く
中国銀行 × 日立製作所 金融機関のデジタル戦略を具現化する「法人向け融資契約の電子化」長年のサポート実績と知見を活用し「融資DX」の先進事例が花開く

従来の銀行から「総合サービス業」への進化をめざして、中国銀行は果敢に挑んでいる。地域の経済成長をけん引する地方銀行の雄として、積極的に変革を進め、新規事業を切り開いていくさまは、業界の枠を超えて範となるだろう。こうした挑戦を支える重要な取り組みが、経営資源の適正配分実現に向けた、さまざまな業務効率化施策だ。中でも注目すべきが、法人向け融資契約の電子化である。プロジェクトの過程で同行が立ち向かった課題と、見据える展望とは。

業務や法的な問題に精通した日立製作所と
法人向け融資の電子契約導入に着手

中国銀行は本店のある岡山県を中心に、海外を含め139店舗を構える。1930年の創立以来地域とともに発展を続けてきた。2017年には、2027年までの長期経営計画「Vision2027 未来共創プラン」を策定し、持続可能なビジネスモデルを構築すべく、構造改革に着手した。改革スタートから5年目の2022年には持株会社体制へ移行し、人材紹介など新規事業にも参入。事業領域を拡大し、「金融を中心とした総合サービス業」へと進化している。


中国銀行が描く長期経営計画「未来共創プラン」のビジョン

「Vision2027」の実現に向け、2017年にまず着手したのがBPR(業務プロセス改革)である。銀行から顧客へサービスを提供する機会を拡大するため、業務のシステム化、本部集中化などのBPRを推進し、営業人員の捻出と営業活動を拡大するなど、経営資源の適正配分の実現を狙ってのものだ。融資関連業務に関しても、営業店における融資業務の本部集中化や業務プロセスの効率化を進めてきた。その一環として、各システムに分散していた情報の集約、案件審査等におけるペーパーレス運用の実現や融資審査の効率化をめざし、2009年から稼働していた融資支援システムの改修を行う。日立製作所(以下、日立)が開発した同システム、改修を担当したのもやはり日立だった。

*
BPR ビジネスプロセス・リエンジニアリング(業務プロセス改革)

友田 直樹 氏
中国銀行
融資部 次長
友田 直樹 氏

改修が一段落した2021年になっても、効率化の手を緩めない。法人向け融資契約の電子化の検討が始まった。中国銀行 融資部 次長の友田直樹氏は、「当初(2017年ごろ)から電子契約の提案はもらっていたのですが、まずは目先の過剰な業務の見直し、ペーパーレスに向けた既存の融資支援システムの高度化、営業人員捻出のための融資事務の本部集中化から着手しました。それが一段落した頃、ちょうどコロナ禍により非対面や印鑑レスが求められていたこともあり、電子契約の検討を本格的に始めました。」と語っている。

電子契約の導入に向け、数社に提案を依頼。他行の情報収集などもしながら比較検討した。

契約に関わるシステムであるため、法関係においても深い知見が必要となる。最終的に日立に決めた理由を友田氏は振り返る。

「融資支援システムを長年にわたり、一緒につくり上げてきた日立は、当行の業務を熟知し、法的な問題についても精通していました。さらに契約書を保管する当行の債権書類管理システムも、日立の開発によるものでした。他のベンダーが入ると、こちらの開発負荷やコストが増加する面もあります。融資の起案から審査、契約、債権書類管理という流れを同一のパートナー企業で構築した方が、事務の運用を効率化できると判断しました」

SaaS未経験でも大丈夫
迅速な開発を実現

開発は2022年1月にスタート。融資部ではこれまで事務システムなど行内向けのシステム構築の経験はあったが、顧客向けのシステム開発は初めてだった。そのため、顧客が使いやすいシステムを構築することは簡単ではなかった。また今回導入した日立の「融資DX推進サービス」は、あらかじめ基本サービスがパッケージ化されたSaaSソリューションである。同行は融資事務でのSaaS導入の経験がなく、これまでとかなりやり方が異なるという苦労もあった。

その上でSaaSによるメリットは大きかったと友田氏は言う。

「慣れない顧客向けサービスでしたが、融資DX推進サービスには十分に練られた基本機能が用意されており、ゼロから作り上げる必要がなく助かりました。これまで、行内における融資案件協議の電子化や融資実行といったオペレーション業務の効率化など、業務に合わせてシステムを構築し改修を重ねてきましたが、ベンダーに苦労をかける上、自分たちのテスト作業も大変でした。今回はSaaSに合わせて事務の運用を考えましたが、それでも特段お客さまや営業店の行員から使いにくいといった声はあがりませんでした。今回の取り組みで改めて、カスタマイズを重ねる開発はベンダー・銀行双方に負荷が掛かると気づきましたね」

日立の融資DX推進サービスは、AWS上で提供している。これまで同行の法人融資(事業性融資)業務ではAWSの活用経験はなかったが、AWS活用による導入スピードやコストを抑制しながら高機能やセキュリティを活用できるメリットは認識しており、今回それを身をもって実感したという。クラウドにSaaSを組み合わせたことで、従来の銀行システムとしては異例のスピードで開発は進んだ。「新しいサービスなのでもう少し時間は必要かという気持ちもありましたが、開発はずいぶん速く進んだと感じています」(友田氏)。

日立との開発について友田氏は、「金融機関での開発経験が豊富な方がそろっており、要件定義時の提案も的確で、行内の協議などについても細かく相談できました。進捗管理もしっかりしていて、予定通りのスケジュールで全店稼働できました」と評価している。


融資DX推進サービスの全体イメージ。金融機関と取引先間だけでなく、不動産販売業者や保証会社なども含めた融資業務全体のDX推進を支援する

一連の業務をシームレスに
ペーパーレスで実現

開発の完了を受け、2023年4月から全店でサービスを開始した。4カ月経った8月末時点で、電子契約の実施率は当初の予想を上回る滑り出しを見せている。

融資業務のうち電子契約の対象としているのは、取引先より借用証書の差入れを受ける「証書貸付」と、事前に契約した極度内で融資が受けられる借入専用の「当座貸越」の2種類だ。電子契約の場合、証書貸付は契約書に収入印紙が不要となる。証書貸付・当座貸越双方、銀行の営業担当が取引先に印鑑をもらいに訪問する必要がなくなる。

業務の流れを見ていこう。融資の申し込みは、営業担当を通じてまたは直接取引先が行う。その後は案件協議に必要な資料を集め、融資支援システムを用いて行内審査を実施する。審査が決裁されると、該当の審査情報(案件内容)は電子契約システムに連携する。その内容をもとに営業担当者が同システム上で契約書を作成する。行内で契約書のチェックが終了すると取引先は「MyPage」と呼ばれる当該企業専用サイトから契約書を確認し、Web上で署名を行うことで、電子契約を含む一連の取引を完結できる。

法人向けの融資DX推進サービスは、取引先の企業内権限保持者の管理機能を有する。権限があれば代表権者以外でも署名対応が可能だ。署名が終わると銀行に通知され、最終確認を経て融資が実行される。

審査から契約書管理までデータはシームレスに連携され、すべてペーパーレスで業務が進む。ただし取引先への説明や問い合わせ対応は営業担当者が実施する。デジタルと人によるサポートを組み合わせた、柔軟なサービスを提供している。

融資DX推進サービス稼働に先立ち、同行では実際に使用する頻度の高い営業担当者、役席者に実際のシステム操作を含めた操作研修を行いたいと考えたが、コロナ禍の影響で実施できなかった。代わりに動画コンテンツや研修資料を用意し、行内の理解促進に努めた。既存の融資支援システムと同じ「日立製」のため使用感が近く、操作研修がなくてもある程度現場の理解は進んだ。

一方、活用がなかなか進まない営業店もある。取引先の「MyPage」作成が芳しくない営業店に対しては、融資部が状況をヒアリング。活用が進むようフォローを行っている。同行には休日に希望者を募って実施する「志学塾」(研修)があり、今後そこでの研修も計画しているという。

手間・コスト・紛失リスク
契約書送付にかかるこれらをゼロに

同行は2017年から始めた融資事務の本部集中化の一環で、融資事務センターを設置している。紙の契約においては、営業店から届いた契約書の事務処理や保管をすべてセンターで一括処理できる体制だ。それでも契約書などの現物授受にかかる手間とコスト、紛失リスクは残る。今回導入した電子契約においては、これらをすべてなくし、融資実行から保管までのリードタイムを短縮することができた。

当初の狙い通り、電子契約とすることで証書貸付の場合は収入印紙が不要となり、取引先を含めコストダウンにつながった。当座貸越についても営業担当が取引先に印鑑をもらいに行く必要がなくなり、効率化。取引先もスケジュールを調整し対応する必要がなくなり、サービス向上を実現した。

今後できるだけ早く着手したいと考えているのが、電子交付である。同行では証書貸付や当座貸越で約定返済がある融資を行った場合、「ご返済のご案内」という返済予定表を郵送している。電子契約であっても郵送している現状だが、これを電子交付に移行したい考えだ。融資DX推進サービスは電子交付機能を持つため、社内体制が整えば実現できる。「これができれば、お客さまは好きなときに借入金の返済のご予定を確認でき、当行も郵送コストを抑制できます」(友田氏)。

また、保証協会との連携融資についても電子契約を検討している。保証協会の連携融資は主管部門が異なるため協議が必要だが、融資DX推進サービスは「MyPage」を使って顧客だけでなく保証協会ともシームレスに連携可能。そのため融資部としては今回の仕組みを活用したいと考えているという。

最後に友田氏は、「どこの金融機関もいまは、AIなどの先進技術をいかに活用するか、悩まれていると思います。ただ銀行間の横展開はなかなか難しく、進んでいません。例えば融資審査など独自性があるところは共有する必要はありませんが、効率化など共通する先進技術の活用例については、業界全体で共有しDXを進めるといいのではと思います。当行もアンテナを高く張って、過去の価値観・手法にとらわれずよりよいサービスを提供していきたいですし、もし当行の取り組みにご興味があれば協力したいと考えています」と展望を語ってくれた。

挑戦する地方銀行の姿が日本中にうねりを起こし、成長と技術革新をもたらす重要な一翼になることを、これからも期待できそうだ。

「金融機関向け融資DX推進サービス」法人向けコンテンツ

デジタル化の進展やコロナ禍、人手不足などさまざまな理由から昨今、法人向け融資のオンライン化が求められるようになった。そこで日立製作所は、法人融資取引における一連の業務を、融資の審査システムと連携しデジタル完結できる本サービスの提供を開始した。非対面取引の推奨ではなく、デジタル技術を活用することで、法人融資にかかる事務負荷を低減。顧客と金融機関双方で享受できる機能を提供し、業務効率化と顧客サービス向上に貢献する。


「金融機関向け融資DX推進サービス」概要図

特に本記事で取り上げられている融資DX推進サービスの「法人向けコンテンツ」について。

  1. ①「電子契約コンテンツ」では、法人代表者以外の社員に取引権限を委任する管理機能を、サポート。電子署名は自然人が行う必要があるため、法人登記上の代表権者であれば代表者個人の電子証明書を用いて電子署名を行なうことができる。しかし企業規模が大きくなると、すべての電子署名を代表権者が行うことは難しい。一方で他の人が代表権者名で署名をすると、なりすましのリスクが生じる。そこで電子的に委任する仕組みを設け(委任者記録ファイル方式)、委任された代理人個人の電子証明書を用いて電子署名する機能をサポートすることで法的な要件を充足している。
  2. ②「当座貸越Webコンテンツ」では、当座貸越極度契約を締結済の顧客に対し、借入請求事務のWeb完結(紙レス、往訪レス、印鑑レス)をサポートする。行員の事務負荷を低減することに寄与できる。当コンテンツは、今後勘定系との実行連動を含めた自動化および当サービスの「電子交付コンテンツ」を活用した郵送レス化をサポートできるよう検討中である。

融資DX推進サービスの「法人向けコンテンツ」は、法人取引におけるDX化を加速するために、「保証協会付き融資のデジタル化」をサポートする。当コンテンツは、信用保証協会電子受付システムとの連携を含め2023年度中にサポート範囲を拡張するよう対応中。法人融資のデジタル完結化に向け、今後も製品開発を継続する。

本サービスはAWSを活用しており、短期間で行内ネットワークと接続したり、AWSの各種サービスを利用することで高水準のセキュリティ施策を簡便に実現できるなど、さまざまな優位性を実現している。

金融機関向け融資DX推進サービス 金融ソリューション:日立

  • AWS、Amazon Web Servicesは、Amazon.com, Inc.の米国およびその他の国における登録商標または商標です。