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物流センターの「仕分け」とは?ピッキングとの違いや、ミスを減らす現場効率化の仕組み

物流センターにおける仕分けのイメージ

「数量違いで今日も残業…」

「入庫作業やピッキングをもっと効率的にする方法はないか…」

「新人にどう教えればミスが減るんだ…」

物流現場の責任者であれば、一度はこのような課題に頭を悩ませたことがあるのではないでしょうか。日々の業務に追われる中で、 これらの問題は「仕方のないこと」として半ば諦められてしまうケースも少なくありません。

しかし、その課題の根本原因は、物流プロセスの中核をなす「仕分け」という工程の構造的な問題に起因している可能性があります。

この記事では、単なる用語解説にとどまらず、物流プロセス全体における仕分け工程の重要性を解き明かします。まずは言葉の定義と基礎知識を理解し、 その上で現場ですぐに実践できる改善策から、センター全体の生産性を飛躍的に向上させる次世代のアプローチまで、具体的な解決策を見ていきましょう。

なお、本記事では輸送拠点(TC: transfer-center)における方面別仕分けではなく、主にお客様の注文に応じて商品を仕分ける物流センター(DC: distribution-center)内の「オーダーフルフィルメント」のプロセスに焦点を当てて解説します。

【基礎】物流における「仕分け」の定義と戦略的役割

仕分け(ソーティング)の概念イメージ

物流における「仕分け(ソーティング)」とは、 「ある基準に基づいて商品を分類し、次の工程や目的地へ正しく流すための作業」です。 いわば、物流センター内における商品の「交通整理」です。この交通整理が滞れば、ピッキングや梱包、出荷といった後続の工程すべてに遅延や混乱が生じ、センター全体の生産性が著しく低下します。

仕分けは、センター内の様々なシーンで発生します。主要なシーンとその役割を整理すると、以下のようになります。

シーン 目的 なぜ必要か?
入荷 保管する棚(ロケーション)ごとに商品を分類する。 効率的な格納作業と、正確な在庫管理を実現するため。この精度が後のピッキング効率を左右する。
荷合わせ 異なる棚からピッキングされた商品など、別々の場所から集められた商品をお客様毎の注文商品として揃える。 お客様の注文商品を正確に揃えるため。特に、複数の商品で構成されるオーダーを完成させる上で欠かせない。
出荷 注文ごとにまとめられた商品を、配送トラックや方面別に分類する。 配送効率を最大化し、誤配送を防ぐため。最終的な顧客満足度に直結する。

よくある疑問「ピッキング」と「仕分け」の違い

仕分けと混同されやすいのが「ピッキング」です。いずれも物流センターからの出荷業務に関わる作業ですが、その目的とプロセスが根本的に異なります。

項目 ピッキング 仕分け
目的 必要な商品を集める 集めた商品を分類する
作業基準 オーダーリストやピッキングリストに基づき、指定された商品を棚から取り出す ある基準(納品先、方面、注文番号など)に基づき、商品を振り分ける

あなたの現場はどちら?「オーダーピッキング」と「トータルピッキング」の構造的違い

ピッキングと仕分けの違いのイメージ

仕分けはその前工程であるピッキング方式によって構造が決定されます。あなたの現場がどちらの方式を採用しているのかを理解することが、課題特定への第一歩となります。

オーダーピッキング(摘み取り方式)

注文ごとに必要な商品を一つずつ集めて回る方式です。ピッキングと同時に仕分けが完了するため、原則として独立した「仕分け作業」は発生しません。

構造的課題

例えば「A商品」を含む注文が100件あれば、作業者はA商品の棚に100回向かわなければなりません。注文数が増えるほど総移動距離が膨大になります。 また、人気商品の前で作業者が順番待ちをする「渋滞」が発生し、効率低下の原因となります。

トータルピッキング(種まき方式)

複数注文の商品をまとめて(トータルで)ピッキングし、その後で配送先へ振り分ける方式です。ここで、各配送先へ商品を振り分ける「種まき(仕分け作業)」が必須となります。

構造的課題

「集める」と「配る」という2つの工程が発生するため、「ピッキング」と「仕分け」のそれぞれ個別に人員・スペースが必要です。 また、まとめて持ってきた商品を分配する際、途中で1個でも数え間違えると「最後の箱に入れる数が合わない」という事態が起こります。 この場合、既に振り分けた箱をすべて検品し直す必要があり、1つのミスが全体の手戻りにつながるリスクを抱えています。

【課題解決の糸口】代表的な仕分け方法のメリット・デメリット

「誤出荷」「人手不足」「生産性の頭打ち」といった現場の課題は、現在採用している仕分け方法の構造的な限界から生じているのかもしれません。 改善策を検討する第一歩は、自社の方式が持つメリットと、避けられないデメリットを正しく認識することです。

ここでは、代表的な3つの仕分け方法を比較し、それぞれの長所と短所を分析します。

仕分け方法 概要 メリット デメリット
手作業
(リスト・伝票)
紙のリストや伝票を見ながら、人が商品を振り分ける最も基本的な方法。
  • 初期コストが抑えられる
  • 柔軟な対応が可能
  • 誤出荷の発生率が高い
  • 新人教育に時間がかかる
  • 作業速度に限界がある
  • 作業品質が個人の習熟度に依存する
  • 振り分け判断から棚に投入する作業まで人が行うため、作業者の負荷が大きく、人手不足の現場では生産性の課題に直結する
デジタル仕分け デジタル表示器(ランプ)の指示に従って商品を投入するシステム。
  • 作業ミスの減少
  • 直感的な操作で習熟が早い
  • 作業の標準化が容易
  • 人手が必要なことに変わりはない(振り分け判断は自動化されるが、棚に投入する作業の自動化はまだハードルが高い)
  • システムの導入コストがかかる
自動仕分け機
(ソーター)
コンベヤなどで運ばれてきた商品を自動的に行き先別に振り分ける大型設備。
  • 圧倒的な処理能力と正確性
  • 人手への依存を大幅に削減
  • 高額な初期投資が必要
  • レイアウト変更が困難
  • 一定の物量がないと投資対効果が見合わない
  • 手作業: 柔軟性と引き換えに「正確性」と「生産性」に構造的な限界を抱えています。
  • デジタル仕分け: 正確性を高めますが、導入するシステム設計によっては「移動」や「投入」といった物理的な作業の負荷が課題として残る場合があります。
  • 自動仕分け機: 生産性を飛躍させますが、莫大なコストと引き換えに「柔軟性」を失います。

この比較から分かるように、どの方法にも一長一短があります。高価な自動化設備を検討する前に、まず現在のレベルで改善できる点を徹底的に洗い出すことが重要です。それが、将来的な自動化の効果を最大化する強固な土台となります。

明日から実践できる!作業現場における仕分け品質と効率の改善策4案

作業における仕分けの品質・生産性が維持できない根本原因は、突き詰めると以下の3つに集約されます。

根本原因

  • 非効率な動線: 保管場所や仕分け場所のレイアウトが最適化されておらず、無駄な移動が発生している。
  • 情報の過不足: 作業指示が分かりにくい、あるいは不必要な情報が多く判断を迷わせる。
  • 作業手順の未整備: 人によって作業のやり方が異なり、品質にバラつきが生じている。

これらの原因を解消するため、明日からでも実践可能な具体的な改善策を4つご紹介します。

① ロケーション管理と動線分析

「どの商品が、どれくらいの頻度で出荷されるか」をデータ分析(ABC分析)し、それに基づいて商品の保管場所や仕分け場所を最適化します。 例えば、トータルピッキングにおける「種まき」作業では、出荷頻度の高い店舗の仕分け場所を作業開始位置の近くに配置するだけで、無駄な移動距離を削減できます。

② ピッキングと仕分けの担当分け

トータルピッキングにおいては、「まとめて商品を集めてくる担当」と「それを種まきする担当」を分けることで、作業の専門性が高まります。 各担当者がそれぞれの作業に集中できるため、作業効率と品質の両方を向上させる効果が期待できます。

③ 作業指示の最適化

ハンディターミナルやタブレットの表示を工夫し、作業員が直感的に理解できる、必要最小限の情報のみを提示する仕組みを構築することが重要です。 作業員にとって本当に必要な情報は「どの商品を(品番)」「どこから(ロケーション)」「どれだけ(数量)」という指示の情報です。 注文に関する情報、配送に関する情報など、それ以外の付加的な情報の表示は誤った作業や混乱を招くことがあります。

④ ミスが起きる箇所への重点対策

すべての工程を人の目だけでカバーするのではなく、「ミスが起きやすい場所」にのみ技術や仕組みを導入するのも、費用対効果の高いアプローチです。 例えば、類似品の判別や多数量の商品ピックアップといった、特にヒューマンエラーが起きそうな場面にのみ、バーコードスキャンや自動仕分けなどの仕組みをピンポイントで導入するなどもミスの削減に有効です。

ただし、ここで重要なのは、こうした個別機器の導入を『点』で終わらせないことです。将来的に倉庫全体をシステムでつなぐことを見据えて機器を選ばないと、 次章で述べる『部分最適の罠』に陥ってしまいます。

部分最適の罠を越えて。センターの「全体最適」を実現する自動化戦略

倉庫内プロセス連携・自動化戦略のイメージ

「最新の自動仕分け機を導入したのに、なぜか倉庫全体の生産性が上がらない…」

これは、自動化で失敗する典型的なケースです。原因は、特定の工程だけを改善しようとする「部分最適の罠」にあります。 これは、前後の工程との繋がりを無視した自動化が行われたことにより、現場に以下のような課題をもたらすのです。

「ボトルネック」による流れの停滞

どれほど特定の工程を高速化しても、全体の生産性は「ボトルネックとなる工程」の処理能力の影響を受けます。 例えば、工程間の能力差を無視して上流から商品を流すと、ボトルネックとなる工程に捌ききれない商品が滞留します。 作業スペースが商品で埋め尽くされれば、現場の生産性低下に繋がります。

工程間のズレによる「ロス」の発生

工程間のタイミングが数分ズレるだけで、作業者に「待ち(ロス)」が発生します。 例えば、「今作業場にある商品の仕分けは完了したが、次に仕分ける商品が届かない」といった「ロス」は、目に見えにくいものの、 積み重なることでセンター全体の生産性に大きな影響を与えるのです。

このような課題を生まないためには、以下のような対策を取ることが必要となります。

  • ボトルネックとなる工程から優先的に解消する(バランスを取る)
  • ボトルネックとなる工程に合わせて各工程の作業量を調整する
  • 「待ち(ロス)」が発生しないよう、各工程間で同期をとる

つまり、真の生産性向上を実現するには、個々の課題解決(部分最適)ではなく、倉庫全体のプロセスをデータで連携させ、 一つのシステムとして制御する「全体最適」のアプローチが有効なのです。

次世代の仕分け方式:日立の「LogiRiSM」が実現する全体最適

LogiRiSMのイメージ

これまで論じてきた「部分最適の罠」やピッキング方式に起因する構造的課題。これらを根本から解決するソリューションとして、 日立が提供する物流センターDXソリューション「LogiRiSM」をご紹介します。

LogiRiSMは、単なるピッキングや仕分けを指示するだけのシステムではありません。どのオーダーをどのタイミングで現場に投入するかという「オーダー投下」の最適化から、 現場の進捗状況をリアルタイムに把握し、計画を動的に「再計算」する高度な制御までを含みます。つまり、「ピッキング」「仕分け」「搬送」「荷合わせ」といった倉庫内の複数の出庫工程をデータで繋ぎ、全体を最適に制御する統合ソリューションです。

「オーダーピッキング」と「トータルピッキング」の「いいとこ取り」:日立独自のアルゴリズムが瞬時に導き出す、最適な作業計画

LogiRiSMは、個々のオーダーに含まれる商品の種類、数量、保管場所、そして他のオーダーとの関連性を瞬時に解析します。 例えば、ある注文は「A地点とB地点だけを回るオーダーピッキングが最適」と判断し、別の注文群には「B地点が混雑しているので、先にC地点のピッキングが効率的」と判断するなど、個別の状況に応じた最適な作業計画を自動で生成するのです。

これにより、作業者はピッキング方式を意識する必要がなく、システムからの指示に従うだけで、最も効率的な作業を実行することができるようになります。 判断や迷いの時間がなくなり、外国人労働者や新人作業員でも効率を下げずに作業が行えます。

タッチ数を最低限に:GTP×OTPで実現する生産性と品質の向上

LogiRiSMがもたらす最大の利点の一つが、「商品へのタッチ数が最小限で済む」ことです。ピッキングから仕分け、出荷までの工程で、人が商品に触れる回数を極限まで減らし、生産性向上と品質向上の両方を実現します。

これを実現するのが、GTP(Goods To Person)とOTP(Order To Person)を融合させた日立独自の制御技術です。LogiRiSMは、この技術を用いてAGV(無人搬送車)を制御し、 ピッキング対象商品が入った棚(GTP)と、これから商品を投入すべきオーダーの箱(OTP)を、作業者の目の前に同じタイミングで搬送します。 これにより、作業者は少ない手待ちで作業をすることが可能です。 また、作業者のタスクは、システムに指示された商品を棚から取り、箱へ移すという作業のみとなります。 これにより、ピッキングと仕分けという二つの工程が、一つの動作で同時に完了するのです。

参考:
GTP(Goods To Person): goods-to-person
AGV(無人搬送車): automatic-guided-vehicle

未来の競争力は「全体最適」の視点から

全体最適による将来像のイメージ

貴社の倉庫は今、どのような状況でしょうか。 地道な手作業の改善で、まだ伸びしろがある段階でしょうか。 それとも、機械を入れてはみたものの、「速さと正確さが両立しない」という壁にぶつかっている段階でしょうか。

もし、現状に限界を感じているのであれば、視点を「倉庫全体(全体最適)」へ広げるタイミングかもしれません。 人手不足や需要の変動といった課題を乗り越えるには、個別の作業改善ではなく、全体を俯瞰して制御する仕組みが必要と言えるでしょう。

日立の「LogiRiSM」は、特定のメーカーに縛られない「マルチベンダー対応」を実現しています。新たに導入する最新機器はもちろん、既に現場で稼働している他社製のAGVやソーターともシームレスに連携。 また、一部の高頻度出荷商品をあえて自動倉庫に入れず、「平置き」エリアで管理することで、自動倉庫の出庫能力を他の多様な商品のために確保し、全体のボトルネックを解消するといった、高度な戦略的運用にも対応が可能です。

日立は、貴社の「全体最適」をコンセプトだけに留めず、現場の実運用に落とし込みます。次のステージへ進むためのパートナーとして、ぜひ日立にご相談ください。

日立はトータルエンジニアリング
物流センターDXを推進します

物流センターの構築は、多くの要素が複雑に絡み合うため、全体の最適化が困難です。 日立は構想から運用までのすべてのフェーズにおいてお客様をワンストップでサポートし、 全体の最適化を支援します。お客様のニーズに合わせた最適な提案をしますので、 まずはお気軽にご相談ください。

  • 構想・設計から運用まで一貫対応
  • マルチベンダー対応
  • 全体最適を実現するシステム連携
  • AGV・自動仕分け機と柔軟に統合

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