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Hitachi

核融合・加速器

核融合は、将来のエネルギー源の有力な選択肢と考えられ、その実現にむけ世界各国で、そして国際協力で、核融合発電炉の開発が推進されています。また、高エネルギー荷電粒子を発生する加速器は、素粒子・原子核物理など先端科学の発展を牽引しています。
当社は、電磁気技術とともに、超高電圧、超高真空、極低温・超伝導の先端技術を駆使し、機器開発を通して先端科学の発展と技術の社会実装に貢献しています。

核融合開発への貢献

ITER(イーター:核融合実験炉)

ITERは、エネルギー問題と環境問題の根本的な解決が期待できる「核融合エネルギー」の科学技術的成立性を実証するために、世界7極が参画しフランスに建設されています。当社は、ITER用加熱電流駆動用中性粒子ビーム入射装置(NBI)に先駆けてイタリアで建設が進められている1MV超高圧電源試験施設の主要機器を製作するなど、ITER計画に貢献しています。


ITER用NBIの電源機器群
(図提供:量子科学技術研究開発機構)


イタリアに建設中の試験設備(NBTF)
上:直流フィルター付近
下:1MV絶縁変圧器

LHD(Large Helical Device: 大型ヘリカル装置)

LHDは、日本独自のアイデアに基づいた、特徴的ならせん状の超伝導コイルを用いて核融合プラズマを閉じ込める装置です。当社は、全体組立メーカとして建設に参画し、1998年の運転開始以降、コイル冷却システムや真空容器内機器の追設なども実施してきました。今後も、安定した運転保守や高性能化のための装置改造を通じて、実験運転を支援していきます。


LHDの極低温部組立


プラズマ真空容器の内部
(写真提供:核融合科学研究所)

加速器機器

加速器は電子やイオンなどの荷電粒子を高速に加速する装置で、その種類は宇宙や物質の起源を探る高エネルギー加速器をはじめ、標的からの二次粒子を利用する大強度ビーム加速器、放射光を物質研究に利用する蓄積リングなど、多種多様です。当社は国内外の研究機関の計画に参加し、大型の電磁石や精密な高周波加速管、将来の超伝導加速器部品など、さまざまな機器を納入しています。これらを通じて基礎科学の発展に貢献するとともに、医療・産業分野への応用にも取り組んでいます。


J-PARC加速器の電磁石群
(周長1567m)


SuperKEKB加速器向けの
偏向電磁石(全長4m)


ILC(国際リニアコライダー)開発に向けた
超伝導加速空洞用クライオスタット

超伝導機器

超伝導技術は、核融合・加速器に用いられる機器の高性能化の鍵のひとつです。超伝導の採用により、従来の常伝導では達成できない高い磁場性能を達成することができます。当社は国内外の研究機関向けに、さまざまな超伝導磁石を製作しています。さらに、高温超伝導材(MgB2)を採用した伝導冷却式の超伝導磁石を開発し、高性能化だけでなく省エネルギー化にも貢献しています。


欧州原子核研究機構のHL-LHC加速器向け
ビーム分離用超伝導磁石(全長7m)


J-PARC向けミュオン輸送用
超伝導ソレノイド磁石(全長6m)


高周波装置用
伝導冷却式高温超伝導(MgB2)磁石