Oracle9iなどの古いデータベースを複数利用していると、サーバーやOracleの保守期限切れになったり、情報漏えいや災害時の対策に頭を悩ませたりと課題が徐々に増えていきます。そこでサーバーリプレースのタイミングで、データベースもなんとか統合したいと考える方は多いのではないでしょうか。そんなお客さまに、日本オラクル株式会社(以下日本オラクル)のデータベース・クラスタリング技術「Oracle Real Application Clusters(以下、Oracle RAC)」と日立の統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」に搭載されているサーバ論理分割機構「Virtage」による新しいデータベース統合「Oracle RAC on Virtage」のご提案です。
データベースシステムを各部署が独自に構築したり、業務ごとに別々のデータベースを作成したりしていて、社内に多くのデータベースが散在している状況がよく見られます。このような場合、データベースの保守料が継続的にかかる、暗号化しておらず情報漏えいの危険性がある、地震や火災などの災害対策がなされていない、部門ごとにバラバラに管理されている、シングル構成でバックアップ頻度が低く信頼性・可用性に不安があるなど、課題が山積みです。
こうした課題を解決する方法のひとつとして、データベース統合が挙げられます。データベース統合には、以下のような方法があります。
まずPCサーバーを最新のブレードサーバーに統合する方法があります。
データベースを統合しなければ、インスタンス数やサーバー台数は大きく変わりませんが、ブレードサーバーは省スペース・省ケーブル・省電力性に優れ、運用管理を一元化できるため、TCO*削減につながります。
次に仮想化ソフトウェアを使用して1台のサーバー上に複数の仮想マシンを作成し、そこにデータベースを移行する方法があります。
メリットとしては、1台のサーバーに複数のデータベースを集約できること、各データベースシステムを異なるOSやDBMSのバージョンで構築できること、仮想化の可用性機能を利用できること、などが挙げられます。
課題としては、複数の仮想マシンが同居するため大きなデータベースが作れないこと、「Oracle RAC」がサポートされていないため、クラスタ化が保証されないことなどがあり、現実的には適用が難しい状況です。
こうしたなかで、Oracle RACを用いてデータベースを統合する方法が利用され始めています。
Oracle RACは各々のデータベースを複数のサーバーで並列処理し、サービスとスキーマという概念で複数のデータベースを独立して動作させることができるため、可用性やスケーラビリティに優れています。その他、システム稼働中に動的にCPUやストレージのリソースを自由に割り当てられるため、効率良くデータベースを集約でき、月末のピーク時にも容易に対応できること、1システムなのでディザスタリカバリ構成が容易に組めること、など多くのメリットがあります。
一方で、データベースがひとつに統合されることから、障害対応やメンテナンスの際にデータベース停止の影響がすべての業務に及ぶこと、同一バージョンに統合する必要があり、移行の工数が大きくなるといった難点もあります。
Oracle RAC とは
上記いずれの方法もそれぞれメリットがある反面、課題も残されています。そこで、これらの課題を解決し、各々のメリットを両立するために、日本オラクルと日立が共同でシステム稼働検証を重ねてきたのが、Oracle RACと日立サーバ論理分割機構Virtageによるデータベース統合「Oracle RAC on Virtage」です。
Virtageは日本オラクルがOracleデータベースの稼働を正式に認定した仮想化機構です。シングルデータベースはもちろん、Oracle RAC環境下でも安心して利用でき、既存のシングルデータベースを統合する場合には、そのままVirtage上に移行できます。これを機にVirtage上でOracle RACによるクラスタ構成を組み、ビジネス継続性を確保してはいかがでしょうか。
Virtageはハードウェアの論理分割方式であり、他の仮想化ソフトウェアとは異なり LPAR上のOSは物理環境と同一のI/Oドライバーを通して直接I/Oにアクセスします。これにより、Oracle Automatic Storage Management(ASM)やバックアップソフトなど、LPAR上で従来と同じソフトウェアを利用可能です。
また、CPUやメモリなどのハードウェアリソースに万が一障害が発生した場合、障害部位を使用しているLPARのみに影響範囲を局所化できるため、縮退運転で業務の継続が可能です。
Virtageでは、Oracle以外にもWeb/APサーバーやバックアップサーバー、ファイルサーバーなどもLPAR上に構築できるため、仮想化を用いたプライベートクラウド環境を構築し、マシン設置スペースの削減や運用負担の軽減が図れます。
Virtageでは、6コアCPUを2個搭載した計12コアのサーバーを使用するような場合、他の仮想化ソフトウェアでは実現不可能な多くのコア、たとえば10コアを1つのLPARに割り当てることができます。これにより、月末、期末のバッチ処理などの多くのCPUコアを必要とする業務にも柔軟に対応できます。
さらに、BS2000の高性能サーバブレードなら、より多くのCPUをLPARに割り当てられるため、大規模なデータベースを問題なく統合することができます。
Oracle RACによるデータベース統合を物理環境で実行する場合、システムが1つのインスタンスとして稼働するため、バックアップやパッチ適用がすべてのデータベースに反映されます。一方でVirtageを利用した場合、LPAR単位で設定変更やリブートが可能なため、他のLPARの業務を止めずにバックアップやパッチ適用、本番環境への移行などを個別に実行できるようになります。
また、データベースごとに異なるOSやDBMSのバージョンを利用できるため、古いデータベースからの移行にも柔軟に対応できます。
「日立-オラクルVirtageソリューションセンター」のご紹介
日立と日本オラクルは本センターでのシステム検証を通して、Virtageと「Oracle Database 11g」や「Oracle Real Application Clusters」を組み合わせた高い信頼性、可用性を持つデータベースシステムの構築・統合に向けてのコンサルテーションや事前評価などを行います。さらに「Oracle Active Data Guard」などの予備システムの効率的な運用を実現するソフトウェアと「Oracle Database 11g」、Virtageを組み合わせた事業継続計画(BCP)を実現するシステムの提案・構築支援も行っています。
[ TechTargetジャパン 2012年3月]
「Oracle Real Application Clusters」の稼働環境として、日立のサーバ仮想化機構「Virtage(バタージュ)」が認定された。
メインフレームに由来する信頼性を持つVirtageとOracle RACのコラボレーションは、基幹系システムのクラウド化を後押しすることになるだろうか。
[ ITmediaエンタープライズ 2011年8月 ]
Oracle OpenWorld Tokyo 2012、4月4日の日立製作所の講演では、日立のサーバ仮想化技術であるVirtageとOracle製品を組み合わせて、相互の特長を活かし障害や災害に強いシステムを構築した具体例、検証結果を交えた解説が紹介された。
[ ZDNet Japan 2012年5月 ]