特集記事:キーマンズネット掲載
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●アイ・ティ・アール 生熊 清司氏(以下、生熊氏) 「ビッグデータ」は、今年に入ってから目にする機会が増えた言葉です。これまでも情報が激しく増加していると言われてきたのですが、企業は、企業内にあるデータの分析をしていればよいという状態でした。ところが今、どうもこれまでとは違うぞと、このままでは“想定外”の問題が起きた時に対応できないようだと分かってきました。 ●日立 山口 俊朗氏(以下、山口氏) これまでは社内にデータを蓄えて一定期間後に処理して情報を得ていましたが、それでは“想定外”の変化には対応しきれないという現状ですね。必要な情報や価値ある情報は、どこかからやって来ると思っていても来ない、変化に対応するためには、自分でデータを取りに行かなければならない…という状況でしょうか。 ●生熊氏 変化に対応するには、たくさんのデータをかき集めて来る必要がありますが、そのようなデータは社内にはありません。経験していないことが起きているわけですから、社内のDWHを探っても見つかりません。 ●山口氏 一方で、大企業では、自分自身が持っているデータも増大していますので、社内データの処理にかかる時間が増えています。例えば経営層に「あのデータを調べてほしい」と言われた時に、1週間かかっていては意味がありません。その日のうちに分かってこそ意味がある、というようにスピード感が重要視されています。だからこそ、大量のデータを高速処理するシステムが求められるようになりました。そんな折に登場した、大規模データの分散処理が行えるオープンソースソフトウェア(OSS)のHadoopの価値は大きいと感じています。 ●生熊氏 アイ・ティ・アールでは毎年「IT投資動向調査」を行っていますが、3年ほど前から企業では、ITコストや業務コストの削減を最重要視していたものが、ITをビジネスや経営に貢献させることをより重視するように変化しています。ITでのコスト削減は、やりつくしたと。国内のみならず海外との競争も厳しくなってきた今、利益を上げるためにも、ビッグデータに期待が集まっているのではないでしょうか。 ●山口氏 これまでコスト削減のための“手段”だったITを、 “武器”として活用していこうというように意識変革が起きているようですね。経営層、CIO、CTOは、ビッグデータを活用することが企業競争力を生み出す源泉になると感じ始めているのではないでしょうか。何ができるのか、一緒に模索したいという声が私たちにも届くようになってきています。 |
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●山口氏 日本ではまだ、試行錯誤している企業が多いのですが、少しずつビッグデータの活用を始めている企業や団体が出てきています。 ●生熊氏 証券取引所はビッグデータを扱っていますし、コンピュータの処理速度が取引の命ですから、社会の要請や利用者のニーズに適った活用の仕方ではないでしょうか。日本ではほかにも、公共系のビジネスでビッグデータの活用が期待できそうです。社会インフラの分野でも、例えば、車載のGPS機器がデータを送信して瞬時に判断することで渋滞解消に貢献できるといった試みが今、大手自動車メーカーでも行われていますね。 ●山口氏 まさに日立でも、都内を走行するGPSを搭載した約2500台の自動車の位置情報を活用し、3年ほど前に地図上に渋滞情報として可視化するという試みを行いました。高速道路にはセンサがあるので渋滞情報は分かりやすいですが、一般道の渋滞を知るためには、実際に走る自動車にセンサを付けて、それを吸い上げた大量のデータを活用しようという取り組みです。現在は、多くの自動車にGPSが搭載されていますので、可能性は更に広がっていると考えています。 ●山口氏 教育の分野でもビッグデータの活用に関する研究が始まっています。中でも北海道大学では、クラウド環境でビッグデータの分析・研究が行えるためのHadoopなどの仕組みが用意されています。全ての大学で大きなデータセンタを持つことはできませんから、全国の大学にサービスを提供する「北海道大学アカデミッククラウド」というクラウド環境構築を日立が行い、クラウド環境でもHadoopが有効に機能する工夫をしています。同様の環境を提供することで、リソースを持たない企業でも、クラウドを使えばビッグデータの処理を始めることができるというケースです。 ●生熊氏 このようなケースは、これまではリソースが少ないから、エンジニアが少ないからとビッグデータを使ったビジネス展開をあきらめていた中堅・中小企業の人たちにもあてはまりそうです。クラウドを使えば、リソースを持たなくてもビッグデータの分析が実現できるということですね。 ●山口氏 やはり「途中でやめる」という選択肢を残しておきたい企業もいるはずです。だから日立では、ビッグデータ分析に興味を持つ企業にクラウド上でHadoopが使えたり、リアルタイム分析が行えたりという、安価にトライアルできる場が必要と考え、サービスとして用意することにしました。 |
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●山口氏 今、日立にはビッグデータへの取り組みについて、多くの声が寄せられています。 ●生熊氏 これまで情報システム部門は運用管理など、システムの“お守り”に多くの時間を割いてきましたので、クラウド化が進めば、“お守り”部分の業務が軽減します。したがって、情報システム部門はその分、ITを活用した新しいビジネスへの提案をしなければなりません。その提案の1つが、ビッグデータへの取り組みとなるのでしょう。「Hadoopを教えてほしい」という相談は、ベンダへの質問と言うよりコンサルティングに近い相談かもしれませんね。 ●山口氏 そうですね。企業の相談内容は本当に様々です。だからこそ、企業がどんな課題を抱えているのか、それをヒアリングして適切なシステム形態を導くというアセスメントが重要と考えています。 ●生熊氏 アメリカなどの企業では、HadoopのようなOSSをよく使っているのですが、それは情報システム部門の人数が日本企業よりも多いという背景があります。日本ではやはり、ベンダがOSSをサポートしてこそ普及が進むという面があります。私も過去にベンダに勤めていた経験から、「エンドユーザはもっとベンダを使うべき」と考えています。最先端のIT情報を持っているのがベンダですから、そこに積極的に聞くのが早道なんですよね。今後は、ベンダからの売り込みを待っていると、ほかの企業が自らベンダに相談して、いち早く動いてしまうかもしれません。 ●山口氏 「もっとベンダを使うべき」という意見に賛成です。ビッグデータ分析はまだ新たな分野ですので、我々も試行錯誤の中にいると感じています。ですから、お客様の声を聞くことで一緒に成長していきたいという思いもあります。 ●生熊氏 ユーザとベンダが、買う側、売る側…と対立する立場というのではなく、目標に向かい一緒に進む並走型のビジネスと言うイメージでしょうか。それは、より先進的な付き合い方と言えると思います。ベンダは、エンドユーザのニーズを吸収して成長していきます。ですからエンドユーザもためらわずに、どんどんベンダに相談して、お互いに成長するというのが良い関係ではないでしょうか。 ●山口氏 ビッグデータ時代というのは、ほかの人や外のデータとの組み合わせにより、これまで捨てていたようなデータでも宝になるかもしれない時代。お互いに新たなビジネスや価値を生むもとになるかもしれませんから相談は大歓迎です。
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対談を通じて、「ビッグデータ活用」が新たな時代の扉を開きつつあることを、ひしひしと感じる読者も多いのではないだろうか。自社には自社のビッグデータ活用への道があり、それを発見することが、大きな価値へとたどり着くための第一歩となるのだろう。その道を見つけるためにも、ともに歩むパートナー選びは更に重要となる。その道筋を見つけるためにも、日立の「大量データ分散処理アセスメントサービス」について、この機会に詳しく調べてみてはいかがだろうか。